このページでは、魚を締める理由や、ナイフやハサミを使った魚の締め方について説明します。
魚を締めるというと残酷な気もしますが、その是非についても書いていきます。
釣った魚を締めることの是非
大きい魚が釣れたら、エラや脊椎部分などにナイフを入れ、魚の息の根を止めるとともに、血抜きをします。
このような、釣った魚を処理する行為を(活け)締めと言います。
下の画像は、カヤックフィッシングで釣ったマダイを締めたときの画像です。

これから魚の締め方について解説していきますが、まず、このページを読んでいる方は、魚を締めるという行為に対してどんなイメージを持っているでしょうか。
以前、アオリイカを締める動画に、たくさんの批判コメントが付いたというニュースを見たことがあります。
その批判は、生き物を締めるという残酷な行為を、面白半分で動画に撮るとは何事だ、という論調だったようです。
生き物を締めて、息の根を止めることは残酷なこと、そう考えている方のコメントだと思います。
かく言う私も、魚を締めるということを初めて知った時、魚がかわいそうだと思いました。
また、何故そんなことをしなければいけないのかと、疑問にも思っていました。
魚を締めるのは、食味を落とさないためというのが一つ目の理由です。
早めに魚を締めて絶命させておくと、魚が暴れないため、魚の身が痛みません。
また、同時に血抜きを行っておくと、身に血が滲みにくくなり、身の鮮度が保たれるため、より美味しく魚を食べることができます。
私は、魚を締めることにはもう一つ意味があると思っています。
釣った魚を放置したり、生かしたままクーラーに入れておくということは、魚にとってかなりの苦痛だと思います。
魚は陸上で呼吸ができませんし、自由に動くことができません。
暴れれば表皮も傷ついていくでしょう。
陸に上げたままにしておくことで、かなりの恐怖も感じているのではないかと思います。
その状態のまま生かしておくというのは、締めて絶命させることよりも残酷なことではないでしょうか。
私はそう考え、魚ができるだけ苦しさを感じないよう、釣った魚はできるだけ早く締めることにしています。
魚を締めるという行為は、残酷な行為に見えますが、魚の苦痛を最小限にする行為なのではないかと思います。
下のページに書きましたが、私はカヤックで一匹のイナダと戯れてからというもの、魚に感情移入するようになってしまいました。

魚を釣ったら早めに締めて、できるだけ魚に苦痛を感じさせないようにしたいと思っています。
魚を締めるナイフについて
では、実際の締め方を書いていきます。
まず道具についてです。
青物釣りのタックルのページに少し書きましたが、魚を締めるとき、基本はナイフを使います。

ナイフは危険なので、取り扱いにはご注意ください。
使う時だけでなく、持ち運びにも注意が必要です。
正当な理由なく、刃渡り6cm以上のナイフを持ち歩くと、銃刀法違反に抵触する可能性があるそうです。
また、刃渡り6cm未満のナイフでも、軽犯罪法違反となることがあります。
ナイフを持ち運ぶ際に大事なことは、ナイフを使う用途をはっきりさせることと、すぐに取り出せるような状態にしておかないことです。
ナイフを持ち運ぶ時は、サヤにしまい、カバンの底に入れておきます。
また、使うときだけ速やかに出し、使ったらすぐに仕舞いましょう。
事故や事件防止のためにも、ナイフは釣りの時以外に携帯しないようにしておきます。
ナイフの選び方ですが、ナイフは折り畳み式ではないものを選びましょう。
魚を締めるとき、特に大物を締める場合は、けっこう力をかける必要があります。
折り畳み式のナイフでは、力をかけた時に、折りたたまれて手を怪我をする恐れがあります。
私は魚を締めるとき、シースナイフ ロングを使っています。
頑丈で錆びにくく、40~50cmの青物を締めるのであれば充分なナイフです。
鞘付きなので、持ち運びも安全です。
このナイフは、60cmぐらいまでの魚ならば、問題なく締めることができます。
それ以上の魚を締めるならば、もっと刃が厚く、パワーのある刃物が必要です。
ナイフ以外の道具について
私は魚を締めるとき、脳締めという行程も行うのですが、脳締めにはDAIWAのフィッシュピックがおすすめです。
ナイフでもできないことはないですが、フィッシュピックのほうがやりやすいです。
また、私はハサミで魚を締めることもあります。
使っているのは、シマノのバンノウハサミです。
後で詳しく説明しますが、足場が不安定な場所や、カヤックフィッシングでは、このハサミでエラを切り、血抜きだけ行います。
他に、足場が水面まで高いところでは、水を汲むロープ付きのバケツが必要です。
バケツの中で魚を締めたり、釣り場を汚してしまったときに洗い流すことができます。
重り入りのものだと、海中に落とした時に水が入りやすくなるので便利ですが、重くなる分、携行に少し不便です。
魚を締めるタイミングと場所
では、魚の締め方についてです。
魚を締めるのは、釣ってからしばらくして、魚が落ち着いてからの方が良いという話もあります。
その方が、血が抜けやすいそうです。
ですが、私は魚を釣ったらすぐにストリンガーにつなぎ、手早くナイフで締めてしまいます。
前に書いたように、できるだけ魚を苦しませたくないからです。
なお、ストリンガーの使い方などは、下のページをご覧ください。

魚を締めるときは、力を入れてナイフを扱うので、できるだけ足場の広い、安定した場所で行いましょう。
陸地で魚を締めると、魚の血で釣り場を汚してしまいますし、空気に触れた血が固まってしまい、血が抜けにくくなります。
できれば水中で締めるのが良いです。
水面に手が届く場所なら、魚をストリンガーにつないでから、水中に入れてナイフで締めます。
背の高い堤防の上で締めるときは、水中で締めるのは無理なので、水を入れたバケツに魚の頭を突っ込んで締めます。
脳締めについて
魚を締めるときは、まず利き手にナイフかフィッシュピックを持ち、もう片方の手でしっかりと魚体をつかみます。
魚をつかみにくければ、タオルでおさえると良いです(が、タオルは魚臭くなります)。
体の部分をつかみにくければ、下の画像のように、ストリンガーのフックと口の部分をつかんでも良いでしょう。
魚を押さえたら、まずは魚の脳に、ナイフかフィッシュピックを入れて脳締めをします。
脳締めは、魚を一瞬で絶命させるために行います。
この行程は飛ばしてもかまいませんが、やっておくと血抜きの時に魚が暴れません。
脳締めは、ナイフよりも、先述のフィッシュピックのほうがやりやすいです。
魚によって脳の場所は違いますが、イナダやツバスの場合は、下の画像の辺りです。
画像の黒線付近にナイフを入れます。
サゴシの場合は、下の画像の黒線のあたりです。
どの魚も、大体、エラの線の上あたりが急所です。
ナイフを入れたら、ナイフを少しひねります。
上手くいくと、魚の目がひっくり返り、魚体がぐったりします。
脳締めをもっと手っ取り早くやるには、ナイフの背や柄などの硬い部分、もしくは、落ちている石や木の棒などで、魚の頭を叩きます。
ホウボウやキジハタなど、頭骨がある魚の場合はナイフが刺さりにくいため、叩いて締めるのが良いでしょう。
血抜きについて
魚がぐったりしたら、続いて血抜きをしていきます。
エラ蓋の中にナイフを入れ、背骨ごと、背骨の上にある神経を切断します。
同時にエラを傷つけて出血させ、血抜きします。
尾の付け根の辺りも切っておきましょう。
後は魚を水に入れておけば、血が抜けていきます。
私はカヤックフィッシングで魚を釣った場合、作業スペースが狭く、力をかけにくいことから、脳締めと脊椎を断ち切る行程を省くことにしています。

釣った魚をストリンガーにつなぎ、エラにハサミを入れ、血抜きだけ行います。
陸で釣りをしている場合でも、足場が不安定な場合や、釣れた魚が大きすぎて、手持ちのナイフで締めるのが難しい場合は、エラを切って失血死させるだけでも良いと思います。
魚を締めたら海中に入れましょう。
10分もしたら、水から出して、クーラーに入れた方が良いでしょう。
私の場合、足場の悪い磯に行くことが多く、大半の釣行ではクーラーを持って行きません。
そのため、魚を締めて海中に入れたら、釣りが終わるまで放置しています。
ストリンガーの使い方のページに書きましたが、ストリンガーは血抜きするためだけではなく、クーラーを持っていくのが大変な釣り場で、魚を保管しておくのにも使います。

水温の低い時期であれば、2~3時間ぐらい魚を水中に入れておいても、刺身で美味しく食べられます。