【自称先生の客引きに捉まりラッキーブッダの寺院とスーツファクトリーに連れていかれる】バンコクで初の海外に慣れるまで

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自称先生に会う

 

カフェを出て、カオサン通りへ向けてさらに歩を進める。

 

大きな交差点の手前、あと少しでカオサンだというところで、見知らぬ人に英語で声をかけられた。

 

後で調べたところ、ラマ7世王博物館のあたりだったと思う。

 

声をかけてきた人は近くの大きな建物を指さし、ここで先生をやっていると言う。

 

人懐っこい感じだ。

外国人の私が歩いているのを見かけ、声をかけてきたらしい。

 

何だかよく分からないが、カオサンでホステルを探すには時間が早いので、とりあえず話を聞いてみることにした。

 



自称先生との会話

話を聞いてみるも、向こうの英語が聞き取りづらく、またこちらも英語が不得手だったこともあり、何を言っているのかよくわからない。

 

こちらが頓珍漢な返しをするので、向こうがメモなども駆使しながら教えてくれたところによると、

・スーツのファクトリーがある

・今日はブッダホリデーで、寺院の見学が無料になる

・青色のトゥクトゥクはガバメント(政府)のトゥクトゥクで、90バーツでどこでも連れて行ってくれる

・カオサンノーグッド、アユタヤグッド、チェンマイグッド

とのことらしい。

 

※帰国してから、このときの体験を思い出してみると、この人はただの客引きだったに違いない。

 

ただ、最初の声のかけられ方などが自然で、先生という肩書もあり、会った当初は全く疑っていなかった。

 

自称先生は「ブッダ!ホリデー!フリー!!」と連呼し、私を青いトゥクトゥクに連れて行こうとする。

 

本来なら付いて行ってはいけないのだろうが、どこかで時間を潰そうと思っていたので、乗り掛かった船だと思い付いて行ってみることに。

※この文章を書きながら、このときのことを思い出すと、とても迂闊だったと思う。

 

運転手はガタイが良く、人相が悪かった。

 

トゥクトゥクに乗せてもらい、まずはラッキーブッダの寺院へ行くようだ。

 

ラッキーブッダの寺院へ

道中、運転手が声をかけてくるが、英語はよく分からないし、周りもうるさくて何を言っているか分からない。

 

こちらが頓珍漢な返しをしていると、話しかけてこなくなった。

 

このあたりで、ちょっとずつ自称先生や、運転手に対して疑いを持ち始めていた。

 

そうこうしているうち、トゥクトゥクがどこかの寺院に到着した。

 

運転手は寺院の前で待っていてくれるそうだ。

寺院は右回りで回るように言われた。

 

全てのものに疑心暗鬼

寺院入り口の駐車場を抜けると、一人の男が近寄ってきた。

 

寺院を案内してくれるらしい。

 

海外旅行の本で、無料のガイドと称して後からガイド料を請求してきたり、寄付を求めてきたりするという手口について、何度も見ていた。

または、自称先生やトゥクトゥクの運転手の仲間かもしれない。

 

疑心暗鬼になっているので、この人を全く信用できない。

向こうから話しかけてくる人は全員怪しい。

 

英語で話かけてくるのだが、あまり聞き取れないし、心中穏やかではないので、話の内容が頭に入ってこない。

相変わらず頓珍漢な返答をしながら後を付いていった。

 

この人も、寺院の隣にある小学校の先生だと言っている。

「先生」という肩書は信用できなくなっていたので、この時点で警戒心が最大になった。

 

ラッキーブッダに参拝

寺院の右手に小さなお堂があり、中で参拝することができるようだ。

 

参拝後、堂内でコーヒーを飲んでいっても良いらしい。

 

お堂の前の休憩スペースで、パソコンを広げてくつろいでいる人がおり、ちょっと安心する。

 

お堂に入ってブッダ像の前に正座する。

ガイドによれば、このブッダはラッキーブッダだそうだ。

 

ピクチャーがどうこうと言われたのだが、「写真を撮っても良い」なのか、「写真を撮ってはダメ」なのかよくわからなかったので、写真は撮らずにおいた。

 

参拝の仕方がよく分からず、何か言われるのだが、それもよく分からない。

折よく、地元の方が参拝をしているので、それを見ながら真似をした。

 

手のひらを下にし、両手を前に伸ばし、頭と両手を地面に着けるような形で参拝する。

 

それを何度か繰り返しながら、こんなことをしていて大丈夫なのだろうかと自問する。

せっかくの参拝だが、頭の中は雑念だらけだ。

 

参拝していると猫が寄ってきた。

ずいぶん人懐っこい。

 

撫でても大丈夫だと言われたので、しばらく撫でていた。

 

体を横たえて腹を見せるので、わき腹を撫でようとしたら、猫に怒られてしまった。

 

境内の散策

参拝の最中、ガイドの人はいなくなっていた。

 

ガイド料を請求されることもなく、どうやら悪い人ではなかったらしい。

たぶん。

 

しばらくここにいても良いと言われていたので、猫を撫でながら佇み、適当なところで外に出た。

 

 

この寺院は改装の最中で、作業をしている人たちがいた。

 

 

 

 

 

ぐるっと一回りし、正面に戻ってきた。

 

ところで、日本に帰ってから知ったのだが、このとき私がしていたのは左回りだった。

 

右回りというのだから、寺院に向かって右に進めばよいのだろうと思ったのだが、向かって左に進むのが右回りだ。

右回りは時計回りのことである。

 

トゥクトゥクのもとに戻る。

 

心証は真っ黒

寺院を見学し終えて外に出ると、運転手が待っていた。

 

次はスーツファクトリーに連れて行かれるようだ。

 

トゥクトゥクに乗る前、運転手に、本当にどこでも90バーツなのかと確認した。

自称先生の客引きに捉まった時、このトゥクトゥクは政府のトゥクトゥクで、どこでも90バーツと言われていたのだ。

 

運転手はこちらが疑っていると思ったようで、何やらメモを見せてくる。

 

日本語で書かれたメモで、日本人の署名入りだ。

 

曰く、

「この運転手さんは、寺院とファクトリーにお客を連れて行くと、ガソリンのチケットをもらえて得をする」

というようなことが書いてあった。

 

思わず笑ってしまう。

政府のトゥクトゥクのはずなのに、そんな契約があるものか。

 

心証は真っ黒だ。

青いトゥクトゥクが政府のトゥクトゥクだというのも、噓なのだろう。

 

自称先生とこの運転手はグルなのかもしれない。

きっと、次に行くスーツファクトリーでは、スーツを買わないかと営業を受けることになる。

 

本当ならここで(いやもっと前の時点で)さようならをするべきだった。

 

だが、私は営業職をやっていたので、スーツファクトリーでどのような営業をかけられるのか興味があった。

 

今後の参考に手口を見てみたいという誘惑に勝てず、再度付いて行ってみることにした。

もちろんリスクヘッジは最大限にしたうえで。

 

このときはトゥクトゥクの運転手に対し、不信感しかなかった。

 

だが、バンコクで色々なものを見て考えた後では、トゥクトゥクの運転は大変な商売で、こういう副業をしないと生活していけないのでは、と考えるようにもなった。

トゥクトゥクと客引きは親和性が良いこともある。

 

トゥクトゥクの運転手について、また後のページで書いてみようと思う。

 

トゥクトゥクの乗り心地

 

不信感を抱きつつも、トゥクトゥクに乗るのは結構楽しい。

 

車高が低く、地面との距離が近い。

 

ガタンガタン揺れながら、バイクのように車の間を縫って快走する。

アトラクションに乗っているようだ。

 

乗り心地を楽しみつつ、現在地はしっかり把握しておく。

 

スーツファクトリーで問答

スーツファクトリーの入り口にトゥクトゥクが停まる。

 

見た感じは普通のスーツ屋だ。

アルマーニのスーツを売っているそう。

 

トゥクトゥクの運転手に「アイハブノーマネー」と言うと、日本語で「ミルダケミルダケ」と言ってスーツ屋に入るよう促してくる。

スーツ屋の入り口では、営業マンらしき人が待ち構えていた。

 

促されるまま中をのぞくと、ちゃんとしたスーツ屋らしく、普通の買い物客もいる。

 

席に案内されそうになったので、また「アイハブノーマネー」と言ってみる。

 

すると営業マンは電卓を取り出し、「ディスカウントで、20000バーツ(100000円)のスーツが30%引きになる」と言ってきた。

そんな無茶苦茶なディスカウントもないだろう。

 

さらに、「でもお金が、、、」と伝えると、「クレジット」やら「アップルペイ」があるだろうと言い出した。

 

この時点で営業の参考にはならないと見切りを付け、「アイハブノーマネー」を繰り返しながら店を出ることにした。

 

営業の鉄則

営業は、先にお金の話で勝負をしてはいけない。

 

相手がお金のことを気にしても、まずは商品がどれだけ良いものか、何故あなたに必要なのかを説いたうえで、最後にお金の話をするのが定石である。

 

特に、ザックを担いでシワシワのシャツを着ており、首に手ぬぐいを巻いているような貧相な恰好をした旅行者に、高いスーツを買わせるには、よほどの営業技術が必要だ。

まず定石を外しては、絶対に買わせることはできない。

 

もしかすると、営業マンも私の恰好で見切りを付け、早く出て行ってほしいと思っていたのかもしれない。

 

外に出ると、トゥクトゥクの運転手が何事かを無線で話していた。

 

手切れとして、また、暇つぶしをさせてもらったお礼として90バーツを渡し、ここを後にした。

 

さて、これからどうしようか。

 

そういえば、自称先生と話をしていたとき、「カオサンノーグッド」「チャイナタウングッド」とか言っていた。

 

カオサンには行かない方が良いと言っていたので、なんとしてもカオサンに行ってやろうという反抗心が頭をもたげてくる。

 

当初の予定通り、カオサンを目指して歩を進めることにした。

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