スーツファクトリーからカオサン周辺へ
スーツ屋を出て、カオサンに向かって歩き出した。
ニワトリと一緒に。
トゥクトゥクに連れてこられたので、細かい位置はよく分からない。
方角的にはカオサンの北にいるはず。
スマホで位置を確認すると、やはりカオサンの北、川を一つ挟んだあたりが現在地だ。
持っていたコンパスで方角を確認し、南の方へ進む。
川に出た。
ここを渡ればカオサン周辺のはずだ。
カオサン周辺の顔ぶれ
川を渡った辺りから、タイ人より欧米人を多く見かけるようになった。
今朝まで滞在していたパヤタイ駅周辺では、周りがタイ人ばかりで、たまに欧米人を見かけるぐらいだった。
ところがこの辺りでは、道を歩いているのもカフェにいるのも欧米人ばかりだ。
大学生のころ、世界各国の人たちと関わったことがあるので、特に欧米人やタイ人に対して含みがあるわけではない。
肌の色や見た目が違えど、文化が違えど、同じ人間同士、感じることや考えることは大体同じだというのは分かっている。
それでも、見た目の面でマジョリティーの中のマイノリティーになってしまうと、どうしても周りを意識せざるをえなくなる。
カオサン通りの散策
歩き続けてやっとカオサン通りに着いた。
観光地らしい風情。
道の左右には屋台が並び、お土産・ゴールド・シャツ・水着などを売っている。
ここカオサン通りは、バックパッカーの聖地と呼ばれている。
様々な本で見かけるので、ぜひここに来てみたいと思っていた。
だが実際に来てみると、ここは緑の葉っぱマークだらけだった。
葉っぱの看板を出している店のドアが開くと、ムワッと独特の臭いがする。
2024年7月現在、タイは大麻が合法になっており、ここでは大っぴらに大麻を吸えるようになっているのだろう。
2025年に、また大麻が規制されるというのをネットニュースで見たが、その方が良いと思う。
ここには泊まりたくないので、カオサンから少し外れたところで、泊まる場所を探すことにしよう。
カオサン周辺の散策
ホステルを探して歩きまわる。
大きなラウンドアバウトがあったりして、車通りも多い。
道には屋台もあり、歩くのは一苦労だ。
外観が統一された、商店街のような通りもあった。
ゴールドを売っている店が多い。
私のような旅行者には無縁の場所だ。
カオサンから離れると、いまいち、ホステルの標識が見つからない。
疲れた。
カオサン周辺を歩き回り、同じ場所を行ったり来たりした。
レストランでコーヒーブレイク
道を歩いていると、「オハヨー」とか、「ドコイクノ」とか話しかけられる。
何故こちらが日本人だとわかるのだろう。不思議だ。
花火の柄の手ぬぐいを首にかけているからだろうか。
通りに開けたレストランを見つけ、何となくメニューを見ていたら、店員に声をかけられた。
一休みしていこう。
日本にいるときは、レストランやカフェなんてほとんど利用したことがなかったのだが、タイに来てから抵抗なく利用するようになった。
英語もタイ語もよく分からないのだが、すんなり中に入り、すんなり注文している。
不思議なものだ。
下の地図の場所周辺だったと思う。
アイスとホットカフェラテを注文。
しばらく休憩。
カオサンから南へ
正午に近い昼過ぎ。
レストランで小休止をした。
さて、ホステル探しを続行しよう。
レストランを出て、あてもなく南に向かう。
図書館と大通りに出た。
大通りはものすごく交通量が多く、車やバイクのフライングは当たり前。
何とか横断し、大通りに沿って歩く。
不安な道行き
何だかとても疲れた。
今日一日で色々なことがあった気がする。
パヤタイから歩いてきて、トゥクトゥクに乗せられ、よくわからない寺やスーツファクトリーに連れて行かれた。
頭は冷静だったが不安なものは不安だった。
何とかカオサンまで来たものの、人も車もバイクも多く、とても疲れる。
今日泊まる場所が見つかるかどうかも、不安で仕方ない。
不安なことばかりだ。
何よりこの暑さ。
汗が止まらない。
頭がぼーっとして腰が痛い。
熱中症になりかけているのかもしれない。
大通り沿いのベンチに腰掛ける。
大通り沿いには高級そうなホテルがある。
そういうところを当たってみるか。
いや、まだ正午だ。
もうしばらくホステル探しをしてみよう。
だが、体力が限界に近付いている気もする。
八陳号ホステルを発見
大通りからさらに南へと進み、商店街に入った。
一件の店の扉に掲示されていた、Hostelの文字が目に留まる。
外の看板に、「八陳号」という店の名前が書いてあった。
早く休みたかったので躊躇いなく中に入った。
2名の私より若そうな店員がいた。
良い人たちのような気がする。
ここは普通のカフェのようだった。
中国っぽい内装。
とりあえず、「ディスイズ ホステル?」と語尾を上げて聞いてみる。
そうだと言われたので、「アイ ワントゥー ステイ ヒアー(私はここに泊まりたい)」とか、「アイ ニード ワンルーム」などと言ってみる。
最初は値段などを聞くのが普通なのかもしれないが、疲れていて早く休みたかった。
色々と説明をしてくれるのだが、私は英語がさっぱりだ。
値段の数字だけ聞き取ることができ、一泊800バーツで、ブレックファスト(朝食)が100バーツらしい。
合わせて900バーツとなると、レスティニーホステルで考えていた一日の予算を少し越えてしまいそうだ。
そこで、「アイ ドント ニード ブレックファスト」と言ってみると、合計700バーツだと言われた。
そういうことか。
一泊700バーツで、朝食が100バーツ、合わせて800バーツということだったのだ。
もっと英語の勉強をしなければいけないと痛感。
900が800バーツになると、途端に安くなった気がする。
やっぱり朝食も付けてもらうことにした。
心底安心
話がまとまり部屋に案内してもらう。
案内してもらっている最中、「アイム ノット グッド アット イングリッシュ(私は英語が苦手です)」などと言い、「ミー トゥー」などと返されたのだが、とんでもない。
部屋に着いた。
今日泊まる場所が決まり、心の底から安心した。
日本に帰ってからGoogleマップで調べてみたが、「ホテル」で検索しても、このホステルは地図上に表示されなかった。
自分の足で宿泊場所を探すのは、こういったよく知られていない場所を見つける楽しみがある。
宿泊費も悪くない気がするし、店員は皆親切だった。
ちなみに、ホステルの場所はここだった。
気だるい午後
疲れ果てながらホステル探しをしていたのだが、ようやく決まってほっとした。
宿泊場所が決まると、何だか町に受け入れられたような気分になる。
大げさな気がするが、自分の居場所があるというのは、それほど安心を得られるものなのだ。
衣食住とはよく言ったもので、どれかが欠けては気分が安定しない。
シャワーを浴び、洗濯をしてさっぱりした。
洗濯物を干すのにビニールひもが大活躍だった。
体中に倦怠感がある。
部屋を暗くしてベッドに横たわる。
だめだ眠れない。
疲れているのだが、妙に目がさえている。
頭の中を色々な考えが巡っている。
ベッドで何度も寝相を変えるが、いつまでも寝付けないので、日記を書いたりスマホを眺めたりする。
こんなもので良いのかもしれない。
自然に眠くなったら眠ればよいのだ。
これからの予定
眠れないのでスマホをいじる。
地図を見ると、ここは王宮やワットポーなどの観光名所に近い。
明日は観光地巡りをしてみようか。
このホステルは立地も良いし、店員も雰囲気も良さそうだ。
もう一泊して、余裕をもって観光地巡りをしたい。
連泊の旨を後で店員に伝えておこう。