北鎮記念館へ
旭山動物園を出て、今度は旭川市街地にある北鎮記念館へ向かう。
北鎮記念館は、北海道の開拓から日露戦争、そして第二次世界大戦ごろまでの、文章や展示品を見ることができる。
ゴールデンカムイで有名になった、第七師団関係の展示品も多い。
ゴールデンカムイを読んだことがあったので、ここ北鎮記念館の展示に興味があった。
また最近、偉人の書を見るのが趣味になっていたので、当時の軍人や有名人の書が見られないかと思い、訪れることにしていたのだ。
記念館は、陸上自衛隊駐屯地の敷地内にあり、少し緊張する。
駐車場に車を停めて中へ。
北鎮記念館の内部へ
北鎮記念館は入場無料である。
入り口のところで、見学に際しての説明を受ける。
一階には土産物屋と展示があり、メインの展示は二階にある。
陸軍関係の展示がびっしりとあった。
この展示を無料で見られるというのは、とてもありがたいことだ。
開拓当時のことが展示されていた。
とても過酷な労働だ。昔の人の多大な苦労のおかげで、今こうして観光を楽しめている。
西郷隆盛の書が展示されていた。
西郷隆盛といえば、どのような人物像を思い浮かべるだろうか。
西郷隆盛に関して、学校では征韓論ぐらいしか学ばないが、一番の特徴は大きな人柄にあると思う。
西郷隆盛のことを知るには、内村鑑三の代表的日本人を読むのが良いと思う。
第十八師団長・鯉登中将の書も展示されていた。
「鯉登」という名前を見ると、やはりゴールデンカムイの鯉登少尉を思い浮かべる。
経歴などを調べてみると、作中の鯉登少尉のモデルとなった人物のように思われる。
月島軍曹のモデルになった人などもいるのだろうか。
明治天皇による宣戦の詔勅や、乃木希典大将の書などもあった。
大正や昭和のころの、レトロな雰囲気を感じさせる展示が非常に良い。
二階を見終え、一階に戻る。
一階にも展示があり、第七師団や陸軍関係の書籍などを閲覧できるようになっている。
お土産屋も回り、記念館を後にした。
旭川市街地を出て神居古潭へ
他に旭川で訪れたいところがいくつかあったのだが、何となく旭川を出たくなった。
海を見たい。
小樽を出てからというもの、海を見ていなかった。
国道233号に入ったのを機に、そのまま旭川を出ることにした。
しばらく進み、今日の目的地の一つ、神居古潭に着いた。
ヒグマ出没のため、通行禁止になっている。
ここも、ゴールデンカムイの作中に出てきた場所だ。
カムイコタンという名前からも分かるように、アイヌゆかりの地である。
おう穴群があるそうで、見たかったのだが、通行止めになっているのは仕方ない。
おう穴とは、小石の回転によってできた円筒形の穴のことである。
遠くに見える大岩は、クッネッシリというアイヌ名が付いている。
私がここを訪れた時、ちょうどテレビ局も取材に訪れていた。
たまたまスマホでニュースを見て知っていたのだが、最近、ここで痛ましい事件があったのだ。
ゆったりと流れる川を見ながら、何だかいたたまれない気分になってきた。
車の中で経をあげ、当地を後にした。
手紙の良さ
神居古潭を出て、国道233を進んでいく。
途中、深川市に立ち寄り、イオンで昼飯を買った。
通りがかった郵便局で、知人にポストカードを出す。
SNSの普及によって、手紙を出す文化が廃れてきている。
文章を、無料で時間もかからず送れるようになった今だからこそ、手書きの手紙を手間かけて送ることに、より大きな価値があるのではないか。
ところで、ポストカードはお土産にも良い。
安いし場所も取らない。
訪れた場所の思い出品としても優れている。
この旅では、各地でポストカードを買い集めた。
郵便局から道路に出ると、相変わらず、道が真っすぐで遥か彼方まで続いている。
暑さのためか、逃げ水が見えるようになった。
道の駅 鐘のなるまち・ちっぷべつ
秩父別町に到着。
道の駅 鐘のなるまち・ちっぷべつに車を停める。
「ちっぷべつ」という字面から、コミカルで面白い響きを感じる。
前に訪れた「しむかっぷ」と良い勝負だ。
道の駅には展望台や日帰り温泉があった。
ちょっと登ってみよう。
町の規模は小さいが、雰囲気が良い。
各町ごとに独特の雰囲気がある。
一つの町でゆっくり過ごすのも良さそうだ。
道の駅 サンフラワー北竜へ
秩父別を通り過ぎ、今度は道の駅 サンフラワー北竜に着いた。
周囲は田畑で開けており、風がとても強い。
サンフラワーには、宿泊施設や日帰り温泉などが併設されている。
ここ北竜町は、「太陽を味方につけた町」だそうだ。
すごいスローガンだ。
どんな危機があっても乗り越えられそうな感じがする。
サンフラワーパーク 北竜温泉に入る
日帰り温泉に入る。
サンフラワーの温泉は、黄色く透明で無臭っぽい。
しょっぱく、肌がスベスベになる。
露天風呂へ。
田園を渡る風が吹き抜け、涼しく心地よい。
心身がお湯と一体になるような感じで、永遠に入っていられる気がする。
荷物の整理と夕食
入浴後、使ったタオルを干して荷物を整理する。
日中に行動しているとき、買ったお土産や使った道具を、後部座席に放り込んでいた。
その日の終わりに、荷物を整理して次の日の準備もするのが日課になっていた。
この旅も三日目になる。
使うものと使わないものがはっきりしてきた。
テントや自炊道具・300mmレンズ・三脚などは使わないので、車の奥へ押し込む。
荷物を整理した後、近くのセコマに夕食を買いに行く。
セコマの神髄は、このパックに入ったパスタ類だと思う。
とても安いのに美味い。
値段なりに量は少ないのだが、ここにもう一品付け足せば、一食に十分な量だ。
ソフトカツゲンは、カルピスを少し酸っぱくして、甘みを少なくした感じだ。
さっぱりしていて美味い。
北海道にきてから、ずっと食事をコンビニで済ませている。
もっと海産物を食べたい気もする。
明日からは海岸沿いを行くため、店を探してみようか。
今日の行程
今日は当麻を出発し、小沢ダム、当麻鍾乳洞、旭山動物園、北鎮記念館、神居古潭と見学してきた。
昨日よりはだいぶ走った距離が短い。
今日の回想
新潟を発って四日。
北海道を回り始めて三日が経とうとしている。
ホームシックにはならないが、家で飲む熱い紅茶やドリップコーヒーが恋しい。
これまでは、大きめの市街地を走ることが多く、地図やナビとにらめっこで車を走らせてきた。
明日からは海沿いの一本道、オロロンラインを行くので、あまりルートを気にしなくてよくなる。
運転をしているとき、変な感覚に捉われていた。
自分が今いるのは北海道ではなく、どこか別の場所なのではないか。
新潟からフェリーで小樽に向かったはずが、実は全く別の場所で降ろされ、走らされているのではないかと。
もちろん、そんなことがあるはずはないのだが、そんなことを考えてしまうのは、自分にここら辺の土地勘が無いからだと思う。
どの方向に何があるのか分からないので、ただ地図に従って車を走らせ、目的地に向かうだけになっている。
こんなことも、旅をしてみないと味わえない感覚だろう。
昼は暑かったが、日が暮れると急に気温が下がる。
おかげで夜は寝やすい。
夜中に目が覚める。
胃もたれしたような感じで苦しい。
こういうとき、一人だと本当に不安になる。
真っ暗な中、たくさんのカエルの声が遠くから聞こえている。