三日目の朝
北海道に着いてから三日目の朝だ。
昨日はあちこち回ったので、すっかり疲れていた。
おかげでぐっすり眠ることができ、良い目覚めだ。
今朝は昨日の暑さから一転、だいぶ涼しい。
きっと昼頃にはまた暑くなるのだろう。
まだ時間が早い。
コーヒーを飲みながら小説を読んで時間をつぶす。
一日目から読み続けていた、乱鴉の島を読み終えた。
北海道に来てからというもの、時間の不思議さについてずっと考えていた。
小説内に出てきた、「一瞬」という言葉のくだりに共感を覚える。
小説を書くための「構成の原理」も面白い。
推理小説の楽しみは、犯人とトリックを当てることだが、それとは別の楽しみもある。
小説は、著者の人生観を少なからず反映したものだと思う。
人生観は、必ずしも内容だけに表れるのではなく、文体や言葉の使い方、行間の取り方、全体の雰囲気などの様々な部分から、何となく感じられる。
小説を読みながら、著者と自分自身との価値観をぶつけあうのが、文章を読むことの楽しさの一つだ。
さて、今日の予定だ。
大雪山を見に、層雲峡まで行ってみようと思っていたのだが、ガソリン代がかかるという、みみっちい考えが頭をよぎる。
昨日のへそ神社のおみくじに書いてあった、「お金を使うな頭を使え」という警句が心に残っていた。
今日のメインは旭山動物園だ。
とりあえず動物園に行ってから、その後のことを考えよう。
まだ開園までに時間がある。
どこかで時間をつぶそうと思い、当麻町にある鍾乳洞まで行ってみることに。
鍾乳洞が開くまでも、まだ時間がある。
とりあえず行ってみよう。
無人の小沢ダムへ
鍾乳洞の付近に来たが、まだかなり早い。
道の先に小沢ダムというダムがあるようだ。
鍾乳洞を通り過ぎ、ダムへ行ってみることに。
ダムまでの道は細く、すれ違いが難しい。
ダムの駐車場に着いた。
野花が多く咲いている。
ダムの周囲を歩く
人っ子一人いない。
鳥と虫、蛙の鳴き声があたりを満たしている。
静かでのんびりとした場所だ。
これだ。
北海道に求めていたのは、こういうものだ。
人っ子一人いない、野生の動物でも出そうな広い景色。
シカやクマでも出そうな雰囲気だ。
ダムの周囲を散策して十分楽しめた。
そろそろ時間だ。
鍾乳洞まで行ってみよう。
当麻鍾乳洞のグリーンパークでバードウォッチング
小沢ダムを出て、鍾乳洞の駐車場に着いた。
この辺りは散策もできるようだ。
鍾乳洞に入る前に、少し歩いてみよう。
緑に囲まれ、辺りには鳥の声が響いている。
300mmの望遠レンズに切り替え、鳥の姿を探しながら散策する。
鳥が木の枝を飛び渡るところを発見。
これはキビタキのようだ。
キビタキしか見つけられなかった。
鍾乳洞の方に戻ろう。
駐車場に戻ると、すぐ近くから鳥の声が聞こえる。
カラスだ。
松の木の上に巣を作っていた。
当麻鍾乳洞の内部へ
鍾乳洞へ向かう。
入場券売り場と、鍾乳洞の入り口は二階にある。
鍾乳洞は学術的に価値があり、北海道指定天然記念物となっているそうだ。
鍾乳洞に入るのは本当に久しぶりだ。
大昔、福島のあぶくま洞に入ったっきりだったかもしれない。
内部は結構広く感じる。
とても見ごたえがある。
つらら石・石筍・石柱
一口に鍾乳石といっても、いくつかの種類がある。
下の写真の中に小さく見えるが、つららのように垂れ下がっているのが「つらら石」。
このように、タケノコみたいに地面から伸びたようになっているのが「石筍」。
天井から垂れ下がったものが下まで伸び、下の部分にくっついているのが、石柱である。
色々な鍾乳石が見える。
一回りして出口へ
鍾乳洞は狭く、身をかがめないと通れないような場所もある。
古代中国の薬学書に、「神農本草経」というものがある。
日本語訳されたものを見たことがあるが、草木や石などの薬効が記されていた。
その中に鍾乳石の記述があった。
古くは、鍾乳石が薬として使われていたのだ。
大きな空洞に、ひんやりとした空気感。
見どころも多く満足した。
当麻鍾乳洞のロックガーデン
鍾乳洞から出て、庭を拝見させてもらった。
滝とコケが素晴らしい。
我が家にもこんな庭が欲しいものだ。
当麻鍾乳洞を後にした。
旭山動物園へ
当麻鍾乳洞から次の目的地、旭山動物園へと向かおう。
当麻町の周辺は水田が多い。
富良野は畑に田んぼ・牧草地と、バリエーションが豊富だった。
地域ごとに、土地の利用法が違うのも面白い。
旭山動物園に到着。
平日だというのに、駐車場には車が多い。
ここも青い池と同様、海外の人が多かった。
動物園に入場する。
園内の説明書きやWikipediaからの引用だが、ここ旭山動物園は、動物の行動展示が特徴だそうだ。
ただ動物を見せるのではなく、動物たちの本来に近い姿が見られるよう、展示スペースに工夫が凝らしてあるそうだ。
園内の掲示曰く、
動物たちの本質的な素晴らしさ・たくましさを感じて
もらうことがこだわりの一つであるという。
フラミンゴ舎~ほっきょくぐま館
さて、最初はフラミンゴ舎へ。
フラミンゴを見たのは何年ぶりだろう。
次はカモのスペースへ。
子どもたちが親ガモについていく。
新潟の瓢湖でも見たキンクロハジロだ。

次はぺんぎん館へ。
ペンギンが泳ぐ所を、下から眺められるようになっている。
残念ながら今はいないようだ。
泳いでいる姿はさぞかし壮観だろう。
次はアザラシだ。
北海道を一周する中で、野生のアザラシを見てみたいものだ。
後日に行こうと思っている襟裳岬に、ゼニガタアザラシが生息しているらしいのだが。
ここには有名な、円筒型の水槽がある。
さて次は、、、
ホッキョクグマだ。
暑さのせいかへばっている。
分厚い手の甲と大きな爪。
この手で引っかかれたら、ひとたまりもないだろう。
レッサーパンダ舎~もうじゅう館~マヌルネコ舎
次はレッサーパンダ。
暑いのか、ハアハア言っているようだ。
次はもうじゅう館へ。
たぶん、生まれて初めてトラを見た。
のっしのっしと練り歩いている。
そのトラの檻の隣には、、、
眉間のしわがおっかない。
ライオンの檻と、先ほどのトラの檻は併設されている。
ライオンのメスがトラの動きを窺い、トラもライオンたちを意識しているようだ。
ライオンのオスはずっと寝ているが、まごうこと無き猛獣である。
近くには他に、ヒョウたちもいる。
珍しいマヌルネコ。
古代から姿が変わらないらしい。
エゾシカの森~えぞひぐま館
エゾシカだ。
青い池の帰りで、野生のエゾシカを見かけていた。
北海道では野生のエゾシカに会いたいと思っていたのだが、これから何頭も見かけることになる。
エゾシカの角は毎年生え変わるらしい。
エゾシカの角の加工品は、北海道の特産品だ。
角を使ったキーホルダーや、犬用のおもちゃなどを各地の土産物屋で見かけた。
エゾシカの隣には、、、
オオカミだ。
オオカミも生まれて初めて見た。
暑いのでみんな寝ている。
寝ているのは夜行性だからかもしれない。
えぞひぐま館。
体を揺らしながら、のそりのそりと歩いている。
時折、飼育員がいるドアの前まで来て、餌をねだるようなしぐさをする。
檻を隔てて見る分には可愛げがあるが、山などで出くわしたら絶望しそうだ。
てながざる館~北海道小動物コーナー
テナガザルだ。
歌うような鳴き声を出している。
なんだか悲哀を感じる響きである。
見たことのないサルだ。
ブラッザグェノンというそう。
クモザル。
しっぽの縞々が特徴的だ。
北海道小動物コーナーに来た。
エゾユキウサギ。
姿が見えないので探してみたら、葉っぱの間に隠れて寝ていた。
キタキツネのコーナーもあったが、姿が見えなかった。
日中は隠れている動物が多いようだ。
こども牧場~きりん舎
こども牧場では、動物のこどもたちと触れ合うことができるようだ。
ここには家畜となっている動物もいる。
ブタがすやすやと眠っている。
次のかば館へ。
分厚い皮膚。
最後はキリン舎へ。
つぶらな瞳。
舌を伸ばして葉っぱを食べようとしている。
動物園内を一通り見終わった。
他にも、ハヤブサ・モモンガ・カピパラ・タンチョウなど、写真を載せなかった動物もたくさんいる。
ぜひ動物園を訪れて、実物を目にしてほしいと思う。