ブッダガヤ五日目の朝
ブッダガヤの滞在も五日目になった。
そろそろ、次の目的地ヴァラナシまでの足を確保したいところだ。
今日明日で目途を付けたい。
今日はとりあえず、考古学博物館を見に行った後で、近くにあるツーリストオフィスに行ってみようと思っていた。
ツーリストオフィスなので、観光地の情報がメインだろうから、移動手段の情報は得られないかもしれないけれど。
その後はマハーボディ寺院の北で、また旅行代理店を回ってみようと思っていた。
ゲストハウスの外へ。
突き当りにある通りでは、よくたくさんの子どもたちが遊んでいる。
もう日課になっていたが、ゲストハウスの裏を通り、ブッダガヤの大通りへ向かう。
ゲストハウスの裏の通りは開けた田舎道になっており、何となく通りたくなってしまう。
裏道から見える、ベトナム寺の五重塔もお気に入りだった。
いつものように、裏道から南北の通りに合流し、そこから大通りを目指して南へ。
これまたいつものように、まずは日本寺を目指すことにする。
しつこい客引きに会う
南北の通りを歩いている時、後ろから来たバイクに声をかけられた。
昨日は客引きから声をかけられず、ラッキーと思っていたのだが、今日は幸先の悪いスタートだ。
相手は流暢な日本語で話しかけてきて、無視しても離れていかない。
ちょっとこれは面倒だぞと思いつつ、仕方ないので話をすることに。
スジャータ村には行ったか?と聞かれたので、「メジャーな観光地は全て回った」と嘘をつき、「もうここには何日も滞在している」と伝える。
相手がガイドをすると言い出すのを、事前に潰しておくことにしたのだ。
ブッダガヤでガイドたちから声をかけられ、少しずつ彼らとの関わり方、あしらい方が分かってきた。
この客引きは、また今後も何度か関わることになるので、「Cさん」と名付けておくことにする。
ちなみに、今までに名付けた登場人物は、
・ブッダガヤを歩いた初日に出くわしたガイドのAさん(マハーボディ寺院を案内してくれた)
・日本寺の管理人?をしているBさん(私に家で飯を食わせようとしてくる)
の二人だった。
彼らの名前も聞いたのだが、プライバシー保護のため名前は出さない。
ヴァラナシへの交通手段を聞く
まあ丁度良いので、日本語をしゃべれるCさんから、交通手段について聞いてみることにした。
バスでヴァラナシまで行きたいと伝えると、今はヴァラナシ方面が祭りで混んでいるので、バスは乗りにくいと言う。
何とか電車のチケットを手に入れた方が良いとのこと。
そう、日本でもニュースになっていたが、今はちょうどクンブ・メラの真っ最中だったのだ。
クンブ・メラは、毎回何億人もの人が参加すると言われる、世界最大の宗教行事であり、祭りである。
よりにもよって今回のクンブ・メラは、マハー・クンブ・メラと呼ばれる、12年に一度の最大規模のクンブ・メラだった。
開催地はアラーハーバードであり、私の行きたいヴァラナシから、一駅先ぐらいの位置にある。
ガヤ、ヴァラナシ、アラーハーバードの位置関係。
クンブ・メラにはインド各地から人が集まるので、ガヤからヴァラナシ・アラーハーバード方面へ向かう人も多いだろう。
そのせいで、交通手段の確保が難しくなっている。
昨日の夜にゲストハウスで、ヴァラナシ行きの電車について調べていた。
電車の席は、何日も先までWL(ウェイティングリスト:キャンセル待ちのこと)ばかりになっており、チケットが手に入りそうになかった。
ちょっと手詰まり感が出てきた。
祭りが終わるまでブッダガヤに滞在するか。
どうしたものか。
日本寺で心を落ち着ける
ガイドのCさんと別れ、何はともあれ日本寺へ。
今日の日本寺。
本堂で座禅するが、今後のことばかり考えてしまい、座禅がはかどらない。
思うようにいかないものだ。
当たれるところを当たってみることにしよう。
ブッダガヤの考古学博物館へ
とりあえず、見てみたいと思っていたブッダガヤの考古学博物館を訪れてみることに。
なお、考古学博物館は撮影禁止らしいので、写真は撮っていない。
入口のある道に入って行くと、門の前に警備員が数名いた。
近づいて、ジェスチャーで中に入りたい旨を伝えると、チケットを買うよう言われる。
チケットは売り場は門より前にあり、通り過ぎてしまっていた。
チケット売り場に戻ってチケットを買う。
けっこう安かった。
警備員にチケットを見せ、博物館内に。
中はこじんまりとしているが、発掘された仏像がたくさん並んでいる。
色々な時代の仏像があり、各時代ごとの違いが見て取れる。
袈裟の衣装や、足裏のハス模様などは各時代で共通しているようだ。
社会科見学のような、学生服を着た一団がおり、一緒に見て回る。
女学生の一人が、仏像を指さして私に何か言ってくる。
彼女が何を言っているか分からないので、「その通りだ」と分かったふりをしながら頷いた。
展示室は何部屋かあり、いずれにも仏像が展示されている。
一つ、何故か心惹かれる仏像があった。
その仏像の顔を見ていると、ほんの少し微笑んだような表情に、全ての迷いがなくなり、生死を逸脱した境地にいるところの安心感が見て取れる。
私は今、次の目的地への交通手段が見つからず、やきもきしているところだった。
この仏像ように、どっしりと構えなければいけないと思った次第だ。