マザーハウスからゲストハウスに戻る
マザーハウスを見学し終えた。
ゲストハウスまで歩いて戻ろう。
コルカタの街は独特な雰囲気が漂っている。
西洋建築の中にインドっぽさが混じっているというか、左右対称の建物が建っているのに、どこか歪な感じがしたりして、そのアンバランスさが魅力を醸し出している。
また屋台の出ている通りを歩いたりして、ゲストハウスの部屋に戻った。
何だか今日は疲れた。
全身筋肉痛でだるい。
シャワーも浴びずにベッドにもぐりこむ。
サダルストリートで熱を出す
いつの間にか寝ていたようだ。
起きてみると、なんだかおかしい。
強い寒気がある。
頭も痛い。
たぶん高熱が出ている。
これはまずい、、、
風邪だろうか。
変な病気でなければよいが。
思えば、少し前から前兆はあった。
昨日は咳が出ていたし、今日の朝は喉の様子がおかしかった。
昨日からの筋肉痛も、もしかすると前兆だったのかもしれない。
とりあえず、今までもっと水分を取っておくのだった。
コルカタは乾燥しているし空気も良くない。
喉からの風邪かもしれないな。
気候が涼しいので、水分を取らなくても大丈夫だろうと思い、行動時に水を持ち歩いていなかったし、ゲストハウスでもあまり水分補給をしていなかった。
それに正直なところ、水を買うのが面倒で、あまり水が減らないようにしていた。
私は飲食店や屋台に行くのが苦手だ。
店で水を買うのも躊躇してしまっていた。
熱の原因
熱が出た原因はいくらでも思い付く。
もしかすると、日本ですでに何らかの病気に感染しており、ここにきて発症した可能性もある。
折しも、私が出国する前、日本ではインフルエンザが流行していた。
また、先ほど書いたように、空気が乾燥しているのに水分を取らなかったことや、不衛生な環境が原因ということもありえる。
慣れない環境で気疲れしたことも、理由としては考えられる。
私はよく、環境が変わると熱を出すのだ。
怖いのは、ただの風邪ではなかった場合。
前日の夜に少し書いたが、蚊が媒介する伝染病とかではないとよいのだが。
とにかく睡眠をとる
まあ、熱が出た理由はいくらでも考えられるが、複合的な物かもしれないし、考えても原因が分かるわけではない。
とにかくこういう時は、水分を取って寝ているしかないだろう。
高熱があるのは分かるのだが、どのくらい出ているか分からない。
体温が気になる。
スマホの体温計アプリなども調べてみたが、体温を測れるものはないようだ。
脈を診てみると、早い気がする。
平常時の脈が分からないので何とも言えないが。
一応、熱覚ましの薬を持って来ていた。
だが、熱が上がるのは体がウイルスと戦うためであり、下手に熱を下げない方が良いと聞いたことがある。
とりあえず飲まないでおき、どうしても辛ければ飲むことにしよう。
海外の、誰も知り合いがいない場所で熱を出すというのは、とても不安だ。
不安は不安なのだが、できることは限られている。
こまめに水分を取りつつ、とにかく寝ることに専念した。
寝て何時間かすると目が覚める。
頭痛に悩まされながらも、ひたすら目を閉じて横になっていた。
サダル四日目の朝
次の日、起きてみると、昨日よりは体調が良い。
まだだるさは残っているが、動くのは問題なさそうだ。
夜中に水をたくさん飲んだので、水がほとんど残っていなかった。
水を買うのと、あとは食事に行かなければならない。
ペットボトルでお湯を作る
昨日、マザーハウスから帰ってシャワーを浴びていなかったので、とりあえずシャワーを浴びたい。
お湯で体を洗いたいところだが、シャワー室の蛇口は、お湯ではなく熱湯が出るのだった。
床に伏している時、熱湯を使ってお湯を作るための、良い方法を思い付いていた。
空になったペットボトルに水を入れ、熱湯を注いで温度を調節すれば良いのだ。
熱湯は本当に熱湯であり、濃い湯気が立ち昇っているし、ペットボトルにかかるとボトルがベコっと凹む。
お湯で頭と体を洗い、さっぱりする。
ゲストハウスにはシャンプーやボディーソープが付いていない。
ボディーソープだけでも持ってきておいて良かった。
※インドとネパールで私が泊まったゲストハウスでは、基本的にシャンプーとボディーソープは付いていないか、付いていても一回分ぐらいしかなかった。
ゲストハウス入り口でのやり取り
シャワーを浴びて身支度をする。
ブルースカイカフェに朝食を取りに行こう。
とりあえず何か食べておかないと。
咳は出ていないが、一応マスクをしていく。
ゲストハウスの入口に、従業員の人たちがいた。
通りがかりにハローとあいさつすると、「ハウアーユー」と聞かれた。
「アイム ファイン,バット アイ ハブ ヘデイク アンド フィーバー」と答えつつ、「ノープロブレム」だとも伝える。
熱があることを伝えておくかどうか迷ったのだが、いざ何かあった時のため、一応伝えておくことにした。
そうすると、「マルディソン?」と聞かれた。
何のことだろう。
そうか「メディスン(薬)」か。
持っていると伝え、ゲストハウスを出た。
薬については昨日書いたとおり、飲まずにいた。
あまりにも体調が悪ければ飲もうと思っていたのだが、一日経って良くなってきたので、とりあえず飲まなくても大丈夫そうだ。
ブルースカイカフェで朝食と水分調達
さて、ブルースカイカフェへ。
歩いていると、物乞いの人がやってきた。
財布にあった1ルピー硬貨を渡すと、額が少ないと怒られる。
他に硬貨を持っていなかったので逃げ出した。
また、サトシさんにも会った。
熱が出て体調が悪いことを伝える。
元気になったらまた話をさせてもらいたいものだ。
ブルースカイカフェで席に着くと、「セーム? チェンジ?」と聞かれた。
何度か来ていたので、昨日と同じ注文で良いかと聞かれたのだろう。
違う物を食べたかったので、「チェンジ」と答え、トーストとコーヒーを注文。
トーストは、、、日本のものと違い、固く食べにくい。
コーヒーも、、、
何とか全部食べ切った。
帰りがけ、店に冷蔵庫があるのを見つける。
そうだ、ここで飲み物を買っていこう。
飲み物がほしい旨を伝え、水とペプシ、セブンアップを冷蔵庫から出す。
袋も付けてもらった。
昨日、熱でうなされていた時、何故だか頭の中がコーラでいっぱいだった。
念願のペプシコーラ。
ゲストハウスに戻り、後は寝るだけだ。
コーラを飲んでは床に伏し、とにかく睡眠をとる。
ちなみに、ペプシとセブンアップは日本で飲むものと少し味が違った。
普通に美味いことは美味い。
寝ていると、昼からまた体調が悪くなってきた。
寒気と頭痛、発熱だ。
吐き気や下痢は無いのが幸いだ。
あったらもっと辛かった。
少し安心したのは、昨日よりは体調が良くなっていること。
変な病気ではなさそうだ。
にしても、この分だと夕飯は食べられない。
とにかく寝るしかない。
寝込みながら考えた今後の計画
夜、カラッポになった胃に水を流し込みながら、寝込み続けていた。
汗をかいたり、鼻水が出るようになってきた。
やっと体中に水分が行き渡ってきたきたようだ。
寝込みながら考えていたのは、今後の計画だった。
コルカタの後は、ブッダガヤという街に行こうと思っていた。
インドでは、長距離の移動は電車が基本になる。
ところが、コルカタからブッダガヤまで直通の電車は無い。
まず、ブッダガヤ近くのガヤという所まで電車で行き、ガヤからリキシャーなどでブッダガヤまで行くことになる。
ブッダガヤはお釈迦様が悟りを開いた場所であり、仏教徒にとっての聖地である。
仏教の聖地を回るのがこの旅の目的の一つだった。
ブッダガヤの後は、バラナシのサールナートや、ネパールにあるルンビニといった、別の聖地も回ってみたいと思っている。
ブッダガヤでは、お釈迦様が悟りを開いた場所を見に行くのが目的なのだが、もう一つ、瞑想センターでの瞑想体験にも興味があった。
ブッダガヤにある瞑想センターでは、10日間の瞑想体験が行われている。
それがちょうど、今から一週間後ぐらいに開催されるので、参加しようと思っていたのだ。
だが、この体調では参加は無理だ。
一週間もあれば熱は引くだろうが、完治までに時間がかかるような気がするし、咳が出たりすると周りに迷惑がかかる。
瞑想はあきらめることにしよう。
とりあえず、もしこのまま体調が良くなれば、今週末(6日後ぐらい)にもサダルを出てブッダガヤに向かおう。
サダル四日目の終わり
今後の計画もまとまってきて、今頭の中にあるのは、食べ物のことだった。
頭の中で、日本の食べ物がグルグル回っている。
特に恋しいのは、ドリップコーヒーとスーパーカップのアイス。
日本の食べ物が懐かしい。
インドの食べ物は、美味しくないわけではないのだが、食べ慣れないので食べにくい。
美味しんぼでよくある展開だが、美味しんぼのキャラクターが出て来て、私に美味い日本食を食べさせてくれないだろうか、なんてことを空想する。
色々と飲食店を探してみて、口に合う食べ物があれば、そこに入り浸ることにしよう。
インドの帰りに立ち寄ろうと思っているバンコクでは、チャイナタウンに入り浸りたい。
googleマップで、バンコクのチャイナタウンの店を見ていると、カオマンガイだとか、カキのオムレツだとか、美味そうな物がたくさんある。
バンコクの、前にスイカのシェイクを飲んだ店で、今度はマンゴーのシェイクを飲みたい。
早く風邪を治して、次に向かうとしよう。
メリノウールに穴が空く
サダル五日目の朝。
昨日よりも体調が良い。
この分なら問題ないだろう。
お湯を浴びて洗濯も済ませる。
あれ、、、洗濯していたメリノウールの長袖Tシャツが、小さい穴だらけになっている...
※このときは原因が分からなかったのだが、前回洗濯した時、手で強く絞っていたのが良くなかった気がする。
メリノウールは山登り用に買ったもので、普段着たことがなかった。
山登りによく使われているので、頑丈だろうという先入観から、今回の旅行に持って来ていた。
こんなことなら、着慣れている物を持ってきておくのだった。
長袖は、上着を除けばメリノウール一枚しかなかった。
冬のコルカタでは長袖がないと困る、、、
仕方ないので、メリノTシャツの穴に小さく切ったガムテープを貼り、穴が広がるのを食い止めることにした。
腹が減った。
カフェに行こう。
ブルースカイカフェでオムレツを食べる
いつものブルースカイカフェへ。
今日はオムレツとミルクティーを注文。
オムレツはしょっぱい。
今までインドで食べてきたものは、しょっぱいものばかりだった。
これが、こちらでのスタンダードな味付けなのだろう。
テーブルの上のケチャップをかけ、しょっぱさをケチャップの甘みで相殺しながら食べる。
ミルクティー(チャイ)は、日本で飲むものと同じ。
美味い。
チャイはどこで飲んでも美味かった。
飲食店での飲み物は、ミルクティー、もしくはラッシーやスムージー系を頼んでおけば間違いない。
帰りにマウンテンデューも購入。
後でゲストハウスで飲んだが、マウンテンデューは日本で飲むのと同じ味だった。
ブルースカイカフェを出てATMに寄っておく。
体調に余裕があったので、ニューマーケットの辺りまで歩いてみることに。
路上で水浴びをしている人がいる。
水は、地上の低い所にある蛇口から出ているので、そのままでは体を洗いにくい。
その人は、ペットボトルに水を入れながら体を洗っていた。
私もゲストハウスで同じことをしていたが、やっぱりそこに行きつくのだ。
ニューマーケットの方まで行くと、路上で羽や糞が洗い流されている最中だった。
以前見たように、今朝も路上でニワトリが売買されていたのだろう。
ゲストハウスに戻ってしばらく横になる。
調子はだいぶ良くなった。
この分なら、明日は電車のチケットを買いに行けるかもしれない。
そんなことを考えていたら寒気がしてきた。
また熱が上がるかもしれない。
布団に潜り込む。
ボジでロウチンリを食べる
目を覚ますと、やはり体調は良いようだ。
久しぶりに午後の飯を食べに行こう。
前も行ったレストランのボジへ。
ところで、ボジというのは変わった名前だが、調べてみるとインドの地名のようだ。
ボジという場所は、カルナータカ州の北西の端にある。
この地名が、このレストランの名前の由来なのかもしれない。
レストランに入ると席に案内される。
昨日寝ている間、暇だったので、スマホでメニューについて調べていた。
メニューの中で食べやすそうだったLauChingri(ロウチンリ)というカレーを注文。
ライスはハーフで。
右側がロウチンリだ。
※ これ以降、味について書く場合、風邪で味覚がおかしくなっていた可能性があるので、話半分に見てもらいたい。
ただ、私がインドで食べてきたカレーが、辛くてしょっぱかったのは確かだ。
ロウチンリは、見た目通りの優しい味で食べやすい。
今までに食べたインドカレーのように、しょっぱさとそこそこの辛みはある。
何となくインドの味付けが分かってきた。
カレーに限らず、インドの食べ物はしょっぱいのが基本のようだ。
※なお、ここでインドの食べ物と書いているが、この時点で私が食べたものは、コルカタの(一部の)レストランの食べ物でしかない。
北インドではしょっぱい味付けが基本らしいのだが、インドは広いので、他の地域ではまた違う味付けかもしれない。
今までに食べたインドの食べ物と、日本食を比較すると、最大の違いはダシだ。
インドの食べ物はダシの旨味がない。
今食べているロウチンリは、中に入っているエビから、かろうじて旨味を感じるぐらいだ。
これまでインドで食べてきた食べ物は、全てそうだった。
日本食のような旨味を感じないから食べにくいのだ。
日本では、大体どんな料理にもダシが入っているはずだ。
フランス料理でも、料理にブイヨンなどを入れて旨味を足している。
インドでは、料理に旨味を入れないのが普通なのかもしれない。
インドの人が日本食を食べると、逆に、味が濃すぎて食べにくいと思うのではないか。
とにかく、カレーとライスを食べ切った。
カレーがしょっぱいのでご飯がすすむ。
ライスはハーフでも量が多かったが、何とか食べることはできた。
何日かぶりに夕食を食べた。
まだ、胃が食物を受け付けない感じがするが、食べられて良かった。
五日目の終わり
ゲストハウスに帰るも、昨日と違ってあまり眠くならない。
これも体調が良くなってきたからだろうか。
ただ、咳が出るようになったのだけ面倒だ。
幸い、夜や朝にしかひどくならないが、当分長引きそうな気がする。
外出するときはマスクをし、人前で咳を出さないのを徹底して、人に移さないようにしないと。
咳が出るのは、コルカタの環境も影響しているかもしれない。
車やバイクの往来が多く、ほこりや排気ガスで喉が刺激される気がする。
これから向かおうと思っているブッダガヤは、田舎の方なので、ここよりも空気は良いだろう。
この咳は長引きそうだし、このままここにいても良くならない気がする。
早めにブッダガヤに行き、療養することにしよう。
明日はガヤまでの電車のチケットを買いに行こう。