インドに呼ばれる
インドが頭から離れなくなる
2023年の初めごろから、どうしてもインドに行きたくなってしまった。
この文章を書いているのは、2024年も終わりに近づいたころだが、今ではインドのことを考え続け、インドの夢まで見るようになってしまっている。
そうなるに至った経緯を書いていきたいと思う。
インドに行っていた大学の同級生たち
インドという国が私の頭にインプットされたのは、今から10年以上前、まだ私が大学生だったころだ。
当時、同級生の何人かがインドに行ったという話をしており、何となくインドが気になるようになった。
当時の私がインドについて知っていることといえば、町中に牛がいることや、旅行に行くと必ず下痢をするという噂ぐらいだ。
なぜ同級生たちがインドに行ったのかは分からなかったし、当時はそれほどインドに興味がなかったので、旅行の様子を詳しく聞くこともなかった。
大学生のころは、人生経験としての海外旅行には興味があった。
だが英会話は全く自信がないし、お金もそれほど持っていない。
海外に行ってみたいとは思いつつ、実行に移せないまま社会人になっていった。
ネパールのナムチェバザールに興味を持つ
社会人として仕事を始めてからは、すっかり海外のことが頭から遠ざかっていた。
ところが、仕事で関わる人たちの中に、海外に行ってみたい、もしくは海外に留学したことがあるという人が何人かおり、その人たちと話をするうち、少しずつ海外熱がぶり返してきた。
また、山登りを始めたことで、海外の高い山にも興味を持つようになった。
海外の高い山といえばエベレスト。
エベレストに登ることができたら一生の思い出になるだろう。
夢のまた夢という気持ちではあったが、調べてみると、やはりエベレストに登るには相応の体力と資金がいる。
どちらも不足しているし、仕事が忙しくて長い休みを取ることもできない。
エベレストに登ることは早々に見切りを付けることにした。
では、エベレストに登ることは無理でも、見に行くだけならどうだろう。
ネパールに行けばエベレストを見ることができるらしい。
ルクラという村からエベレストの近くまで、エベレスト街道という道が続いている。
その道の途中にある、ナムチェバザールという町のあたりからエベレストが見えるらしい。
町の雰囲気も良さそうだ。
何だか無性に、ネパールのナムチェバザールに行ってみたくなった。
ナムチェバザールに行ってしばらく滞在してみたい。
白熱する海外への思い
ナムチェバザールに行くため、本格的に調べ物を始めた。
まず私は海外に行ったことが無い。
英会話もほとんどできないので、食事や宿はおろか、現地まで行くことも心配である。
そこで、海外旅行関係の本を片っ端から読み始めた。
地球の歩き方を始めとするガイドブックや、個人旅行の記録など、本屋で目についたものを買っては読みふけった。
そうして出会ったのが蔵前仁一さんの本、ホテルアジアの眠れない夜だった。
アジアを旅する中で出会った、日本では考えられないような出来事が、短いエピソードとしていくつも旅情豊かに書いてある。
約30年近く前の本なので内容は古いかもしれないが、海外で同じような体験をしてみたいと思うようになった。
もう一つ大きな影響を受けた本が、沢木耕太郎さんの深夜特急シリーズだ。
主人公がインドのデリーからロンドンまで、バスを乗り継いで旅をしていくという物語だ。
主人公が、旅先で色々な人や出来事に会うのが面白く、何だか一緒に旅をしているような、自分でも同じような旅ができそうだという気になってくる。
深夜特急を読んで海外熱が一気に高まった。
30代前半という年齢で遅ればせながら、なんとしても海外に行ってみたいと思ったのだった。
それも、せっかく行くなら長期旅行をしてみたい。
興味はネパールからインドへ
最初に興味を持ったのはネパールだったが、本をたくさん読むうち、段々と興味がネパールからインドへと移って行った。
どの本でも、インドについて書かれた箇所を読むと、インドのカオスさがこれでもかと書かれている。
日本では起こり得ないような出来事が、インドでたくさん待ち受けているらしい。
インドについて調べるうち、大学生のころ、同級生たちがインドに行った理由が何となく分かるようになってきた。
私も是非インドに行ってみたい。
インドのバラナシでガンジス川を見てみたい。
インドを回ってみたいという気持ちが次第に強くなっていった。
インドに呼ばれる
作家の三島由紀夫さんが使ったとされる有名なフレーズで「インドに呼ばれる」というものがある。
横尾忠則さんの「インドへ」 (文春文庫) という本にその記述があり、私も読んだことがある。
今はもう本が手元になく、「インドに呼ばれる」という言葉がどのような文脈で使われていたのか覚えていないが、インドに行けるかどうかは、その人の機縁次第だということだろう。
これが例えば、「タイに呼ばれる」とか「アメリカに呼ばれる」だとしっくりこないのが、「インドに呼ばれる」だと感覚的にピッタリくるのが、インドと日本の物理的・精神的な距離感や、インドという国の性格、そして三島由紀夫さんの言葉選びの巧みさを表している。
日本からインドまでは微妙に距離が遠いため、行くには時間と航空券代がかかる。
事前にある程度の下調べが必要だし、ビザの取得にも手間がいる。
さらに、インドを紹介する文章の多くが、インドはトラブルの宝庫だという書き方をしている。
インド人と日本人は人種が違い、見た目も文化も違う。
それらを知ってもなお、インド旅行に価値を認め、実際に行動できるかどうかをインドに試されるのだろう。
さて、これまでに書いてきたように、私はどうしてもインドに行きたくて仕方がなくなってしまった。
行ったことのないインドを夢にまで見るようになったのだ。
これはもう、立派にインドに呼ばれていると言えるのではないか。
ただ一つの問題は、仕事が忙しくて連休を取れないことだった。
どうせ行くなら長期間の旅をしてみたい。
そこで仕事を辞めることにした。
これまでの経緯
これも冒頭に書いたように、海外熱が高まったのは2023年の初頭。
それから1年ほど、仕事をしながら調べ物を続け、2024年になってから仕事を辞めた。
仕事を辞めてからも、都合によりしばらくは長期間の遠出ができなかったので、とりあえず短期間でバンコクに行ってみることにした。
海外旅行をしたことがなく、練習のつもりで行ってみたのだが、英会話ができなくても何とかなることが分かった。
仕事を辞めてからだいぶ時間が経ってしまったが、2025年の1月、とうとうインドに行ける機会が巡ってきた。
この文章を書いているのは2024年の12月。
ビザと航空券を取得し終え、インドに行く日を今か今かと待っている時である。
予定通りならば、1月の後半にインドへ向けて出発していることだろう。
旅がどのくらいの期間になるか分からないが、帰ってきてから、海外での体験を書いて行こうと思う。