私はインドとネパールを旅をする中で、色々な場所でチャイを飲んできました。
その経験を活かし、このページでは、美味しいチャイの作り方と、現地での「チャイ」という言葉の使われ方について書いていきます。
なお、チャイを作るときに、ネパールで買ったCTC茶葉などを使っていますが、日本のスーパーで買える材料だけでも問題なく作ることができます。
その場合のことも書いています。
インドとネパールで様々なチャイを飲む中で感じたこと
前のページで、インドで初めてのチャイを飲んだ時のことを書きました。
インドとネパールでは、インスタントのチャイから屋台のチャイ、一般的な飲食店のチャイ、高めのレストランのチャイまで、色々なチャイを飲んできました。
飲んだ中で一番美味かったのは、どのチャイかと言われると、答えるのは難しいです。
一番最初にインドで飲んだのは、屋台のチャイでした。
屋台のおじさんがヤカンから注いでくれたチャイは、スパイスが入っていなかったのですが、砂糖が多くて甘みが強く、疲れが吹き飛ぶ美味さでした。
飲食店でチャイを頼むと、スパイス類が入っていることもあります。
やはりチャイといえばスパイス。
ミルクでまろやかになった紅茶に、スパイスの刺激的で複雑な味わいが加わって、より一層美味しくなります。
高めのレストランで飲んだチャイは、スパイスが豊富に入っており、やはり高いだけあるなと思ったものです。
総じて、どの店のチャイにも個性があり、一番は決められません。
インドでは、食べ物やコーヒーが口に合わず、飲食物に少し苦労したこともあったのですが、チャイだけはどこで飲んでも美味しかったです。
美味しいチャイ作り
さて、旅を通して、色々なところでチャイを飲んできた経験を活かし、美味しいチャイを作ってみようと思います。
前の項で書いたように、チャイの味は店によって違い、それぞれに個性がありました。
このページで書くチャイの作り方も、私が美味しいと思う材料配分と作り方でしかありません。
たとえば、甘いものが好きな方は砂糖を増やしたり、スパイスの風味が苦手な方は、スパイスを無くしてみたりと、色々と工夫してみてください。
ちなみに、このページの最後で「チャイ」という言葉について説明しますが、現地ではチャイという言葉がいくつかの使われ方をしていました。
とりあえず、これから作り方を説明する「チャイ」は、砂糖とスパイスの入ったミルクティーを指すものとします。
では作り方ですが、まず、チャイ作りの材料について書いていきます。
・チャイに使う茶葉について
ミルクティーに使う茶葉は、高級なものが良いかと言うと、一概にそうとは言えません。
むしろ、高い茶葉はチャイに向いていないこともあります。
インドやネパールでは、「ダスト」と呼ばれる、茶葉を細かくしたものがチャイに使われることが多いです。
日本のスーパーで安価なティーバッグを買うと、中に入っている茶葉がダストです。
現地のチャイでダストが使われるのは、安いからという側面もあるのでしょうけれど、それだけではありません。
ダストはとてもチャイ作りに向いた茶葉なのです。
ダストの茶葉は細かいので、お湯に入れればすぐに紅茶ができますし、成分が濃く出るので、その分紅茶の味を感じられます。
ただ、渋みが出やすいのと、すぐに濃くなるので、長い時間ティーポットに入れておくと、紅茶が飲みにくくなってしまいます。
この特徴が、むしろチャイ作りに向いています。
チャイは、とにかく紅茶が濃く出ている方が美味しいです。
多少の渋みが出たとしても、ミルクとスパイスが入るので、渋みは気にならなくなります。
ミルクに混じる紅茶の紅い色も、チャイの魅力です。
ちょっと良い飲食店に行くと、ダストではなくCTCという茶葉が使われていることもありました。
これはネパールで買ったCTC茶葉です。
上の画像で、茶葉が小さく丸まっているのが見えるでしょうか。
CTCというのは、CRUSH・TEAR・CURLの略で、茶葉を押しつぶし、引き裂いて、丸めた物ということです。
CTCは、茶葉が細かく、成分を抽出しやすいというのはダストと同じです。
用途もダストと同じですが、CTCは、よりミルクティーを作るのに特化した紅茶というイメージです。
CTCをブラックティー(何も入れないストレート)で飲むというのは、あまり聞いたことがありません。
CTCで作ったチャイを実際に飲んでみると、ダストより渋みが出にくいように感じます。
また、ダストより粒が大きいので、扱いやすく、ティーカップに茶葉が入りにくいのも特徴です。
後片付けも、ダストを使った時より楽になります。
このページではCTCの茶葉を使いますが、安いティーバッグを買って、中に入っているダストの茶葉を使っても構いません。
茶葉の量としては、800mlティーポットの分のチャイを作る場合、CTCならティースプーン山盛り3杯ほど、ダストならティーバッグ2つ分が調度良いと思います。
1000mlとか600mlで作る場合も、同じ分量で良いでしょう。
ティーバッグを使う場合は、袋を破り、中の茶葉を出して使います。
ところで、この項の最初に書いた、高い紅茶はチャイに向かないという点についてです。
ダストやCTCに比べ、高い茶葉は成分の抽出に時間がかかり、中々濃くなりません。
良い紅茶は味がまろやかで繊細なため、他に何も入れずに飲んで、風味を楽しむのが良いと思います。
ミルクやスパイスを入れるチャイに使ってしまうと、その良さが消えてしまいます。
・水と牛乳の量について
水と牛乳の量ですが、私の場合、水と牛乳を半々にして作ります。
例えば、800mlのティーポットを使うなら、水の量は400ml、牛乳も400mlです。
量は正確に測る必要はありません。
・3つのスパイスについて
チャイに使うメインのスパイスは、シナモン・クローブ・カルダモンです。
スパイスは、どれもホール(粉ではないそのままの物)を使います。
もし、ホールが手に入らない場合はパウダー(粉)の物でも良いですが、やっぱりホールの方が香りがよく出ます。
この3つの中で、シナモンとクローブはスーパーなどで手に入りやすいです。
カルダモンは置いていないことも多いですし、高いです。
もしカルダモンが手に入らなければ、シナモンとクローブだけでもOKです。
ただ、やっぱり美味しいチャイを作るには、カルダモンの風味がかかせません。
私はどのスパイスも、Amazonでまとめ買いしています。
・シナモン
・クローブ
チャイを作るときの、この3つのスパイスの分量は、
・シナモン:大きな物一本を1/4~1/3ぐらいに割ったもの
・クローブ:5粒
・カルダモン:5~6粒
ぐらいを目安にしてみてください。
煮出すときは、シナモンは細かく割り、カルダモンも2つに割って使います。
注意点として、クローブは非常に香りが強いです。
クローブを入れすぎないようにしてください。
逆にシナモンやカルダモンは、多めに入れても大丈夫です。
・しょうがについて
しょうがは、生の物を擦り下ろすか、細かく切って入れるのが一番です。
それが面倒ならば、チューブの物でも構いません。
私はチューブの物をよく使います。
量は目分量で、適当に入れます。
チューブなら2押しぐらい、4~5cmぐらいです。
しょうがは多めに入れても問題ありません。
しょうがには、体を暖める効果があります。
特に寒い時期に飲むチャイには、絶対にしょうがを入れておきたいところです。
飲んだ後の、体の暖まり方が違います。
しょうがの風味を活かすなら、チャイを作っている時、できるだけ後の方に入れます。
・砂糖やはちみつについて
800mlのチャイを作るならば、ティースプーンで多めに6杯ほどの砂糖を入れます。
ティースプーン6杯で、「もう少し甘みがほしい~ちょうど良い」ぐらいの甘さになります。
この分量を目安にして、甘くしたいなら砂糖を多めに、甘みが少ない方が良いなら、砂糖を少なくしてみてください。
砂糖は、チャイを作り終わってから、味見しながら足していっても良いと思います。
はちみつについてですが、砂糖の代わりに入れると、味がより複雑で美味しくなります。
砂糖6杯のうち、3杯をはちみつに変えてみるとか、そんな使い方をしてみると良いでしょう。
はちみつも高いので、無ければ無いで問題ありません。
今回の作り方では、ネパールのお土産に買ったヒマラヤンジャングルハニーという、非常にフルーティーなはちみつを入れてみました。
はちみつを入れるなら、もちろんスーパーに売っているはちみつでも構いません。
美味しいチャイの作り方
さて、チャイを作ってみましょう。
まず、ティーポット半量の水を火にかけます。
材料を煮出す順番ですが、煮ても成分が出にくいもの、長く煮ても大丈夫なものから先に入れていきます。
スパイス→茶葉→砂糖の順番で鍋に入れ、最後にミルクを入れます。
水が沸かないうちから、スパイスを全部入れてしまいましょう。
水が沸いたら、しばらくそのままスパイスを煮出しておきます。
煮出す時間はテキトウで、数分ぐらいです。
スパイスの良い香りがしてきたら、次に紅茶を入れます。
これも煮出す時間はテキトウで大丈夫です。
茶葉の量は、先に書いたように、CTCならティースプーン大盛3杯ぐらい。
ティーバッグなら2つ分が目安です。
ティーバッグを使うなら、袋を破り、中の茶葉だけ鍋に入れます。
茶葉を入れてしばらく煮出したら、次は砂糖とはちみつです。
これも先に書いた通り、合わせてティースプーン6杯が目安です。
好みに合わせて調節してください。
そのまま煮つつ、牛乳を入れる直前にしょうがを入れます。
しょうがは、できるだけ後に入れた方が、風味が残ります。
しょうがの量は適当です。
多めでも問題ありません。
火にかけたまま、牛乳を入れます。
牛乳を入れて、十分に暖まったら完成です。
牛乳を入れた後に注意が必要な点が、牛乳を入れて沸騰させてしまうと、固まりが出てきてしまいます。
固まりが出ると風味が落ちますし、後片づけも面倒になります。
沸騰する前に火を止めましょう。
火を止める目安として、チャイの様子を見ておき、液面や中のスパイスが動き出したころが良いと思います。
他の目印として、表面から煙が出てきたり、小さい泡が出てきたりもします。
十分に暖まったら、茶漉しなどで茶葉やスパイスを濾しながら、ティーポットやカップに注いでいきましょう。
これでチャイの完成です。
チャイにまつわる言葉について
ところで、ここまでチャイの作り方について書いてきましたが、そもそもチャイとは何でしょうか。
インドやネパールの色々な場所でチャイを頼んだ結果、「チャイ」という言葉は、大きく分けて2つの意味に使われていることが分かりました。
・砂糖の入ったミルクティー
・砂糖とスパイスの入ったミルクティー
共通しているのは、砂糖の入ったミルクティーだということですが、店によってスパイスが入っているかどうかが違います。
ちなみに、「チャイ」という言葉は、基本的に屋台で使われる言葉です。
多くの飲食店にもチャイはありますが、メニューには、
・砂糖の入ったミルクティーは「ミルクティー」
・砂糖とスパイスの入ったミルクティーは「マサラティー」
と書かれていることが多いです。
ただ、砂糖とスパイスが入ったミルクティーを、「マサラティー」ではなく「ミルクティー」と記載している店もあったりして、言葉は結構テキトウに使われている気がします。
もし、飲食店のメニューに「ミルクティー」と「マサラティー」の2つがあった場合、
・「ミルクティー」を頼むとスパイスの入っていないミルクティーが来て、
・「マサラティー」を頼むと、スパイスの入ったミルクティーが来ます。
メニューに「ミルクティー」しかない場合、頼んでみると、本当の意味での「ミルクティー」が来る場合もありますし、スパイスの入った「マサラティー」が来る可能性もあります。
そこは店によって様々です。
とりあえず、チャイと言う言葉は「ミルクティー」と「マサラティー」のどちらの意味にも使われることがあるということです。