徒歩で粟島を一周
ふと思い立ち、徒歩で粟島を一周してみることにした。
粟島へは、2019年の5月に一度行ったことがある。
岩船から、フェリーで粟島まで向かい、島の反対側にある釜谷という所のキャンプ場で寝泊まりした。
その時は、内浦と釜谷を往復するだけになってしまったので、島の北や南がどうなっているか分からない。
何となく、粟島の全貌を知りたいと思い、一周してみることにしたのだ。
一周するだけなら、自転車で半日もかければ回れるようだ。
だが、せっかくのゴールデンウィークで、時間がある。
贅沢に時間をかけて徒歩で回ってみることにしよう。
久しぶりのフェリー
さて、久しぶりの粟島汽船乗り場へ。
この日は波が高く、高速船は運航中止だった。
こういった情報は当日に公式サイトに載るため、事前に見ておくと良いだろう。
基本、波が高い日は高速船が運休となるため、粟島に行く日の波高予報を見ておき、予定を立てておくと良い。
今回は10:30発のフェリーで粟島へ行くことに。
船に乗るには、乗り場で下の乗船名簿を書く必要がある。
さらにこのときは、コロナ禍のため健康記録票を提出する必要があった。
二週間前から体温を記録しなければならず、結構大変である。
島には病院がないため、コロナが蔓延すると大変なことになるだろうから必要な措置であろう。
2023年の5月8日からは不要になるらしい。
提出が必要なくなったとしても、島に迷惑をかけないよう、健康管理には充分気を付けなくてはならない。
乗船名簿と健康記録票を提出し、料金を払い、チケットを購入する。
チケットは、船に乗る時に係員に見せる必要がある。
粟島汽船乗り場には、ガイドブックも置いてある。
これももらっておくと良いだろう。
汽船乗り場の外には、手荷物預かり所がある。
ここで大きな荷物は預けておくと良い。
一つ200円くらいで預かってもらえる。
船に乗る前に、チケットの購入や手荷物を預けたりしていると、あっという間に時間が過ぎていく。
フェリーには、出航の30分前ぐらいから乗れるようになる。
汽船乗り場には早めに到着し、手続きを済ませておきたい。
フェリーがやってきた。
係員にチケットを見せ、フェリーに乗る。
フェリーで粟島へ
席は自由に選ぶことができる。
フェリー内には、腰掛けられる座席と、下の画像のような座敷のスペースがある。
今回はこのような座敷の一角に陣取った。
これは後述するが、良い選択だった。
外にも座席があるが、乗客が多いと、そこしか空いていない可能性もある。
今回は、行きは乗客が少なかったので中に座れたが、帰りは乗客が多く、外の席しか空いていなかった。
海の上は風が冷たいので、ウィンドブレーカーは必須である。
出航時間が来た。フェリーが岩船港を出発する。
川の水が入り込む湾内と、外湾とでは水の色が全く違う。
遠くには粟島が見える。
湾から出ると、揺れが大きくなる。
今日の波は1.5mらしい。
フェリーが波に揺られると、船体が上に持ち上がった後、グワンと下に下がる。
この上下動が地味に辛い。
ディズニーランドのスプラッシュマウンテンやカリブの海賊で、乗り物が急降下するときのような、腹がひゅんとなる嫌な感じを受ける。
座敷席では、周りの人が皆横になっていた。
私も横になってみると、なるほど、嫌な感じがだいぶ軽減された。
島に着くまでこのまま横になり、鋭気を蓄えておこう。
一時間半後、フェリーが内浦の港内に入る。
手続きをして内浦キャンプ場へ
まずは観光案内所に入り、キャンプ場の手続きをする。
内浦と釜谷で一泊ずつという予定を伝え、二泊分の料金を支払う。
キャンプ場の説明書をいただいた。
高速艇が見える。
この波の高さでは、運休せざるをえないだろう。
さて、これからどうしたものか。
まずは内浦キャンプ場にテントを張ってこようか。
本格的に島の一周を始めるのは明日からなので、今日はゆっくり内浦の集落を歩くことにしよう。
南にあるキャンプ場に向かって歩き始める。
海岸沿いの道を南へ行く
ウミウがいる。
鵜の仲間は首の感じが特徴的だ。
下の画像は信濃川のカワウ。
粟島内には、このような句碑がいくつもあるらしい。
島を一周するついでに探してみよう。
粟島からは本土が見える。
あの冠雪している山は、朝日の方だろうか。
内浦キャンプ場は、テントを張れる区画がいくつもある。
利便性とテントの張りやすさを考え、トイレの近くにテントを張った。
このツェルトの張り方については、釜谷キャンプ場で改めて説明しようと思う。
さあ、内浦の集落を散策しよう。
内浦の散策
今は13:00過ぎ。
今日は時間があるので、ゆっくり内浦を散策する。
資料館がある。
前回は入らなかったので、今回は入ろうと思っていたのだが、休館になっていた。
資料館の奥には学校がある。
ここは島唯一の学校で、小学校と中学校が一緒になっていたはずだ。
内浦集落の北側へと移動する。
上の画像は、内浦の北のはずれの辺り。
静かな浜辺などがあり、私のお気に入りの場所だ。
内浦集落の北側には、銭湯の「おと姫の湯」や、「直売所ばっけ屋」、「カフェそそど」などがある。
とりあえずおと姫の湯へ。
ここは島唯一の銭湯。
館内に入って左にある券売機で、500円の入館券を購入し、受付に提出する。
レビューを見ると、お湯が熱めというのをよく見かけるが、そんなに熱いとは感じなかった。
シャワーは6つあり、浴槽はそれなりの大きさで伸び伸びできる。
休憩所もあり、アイスなども売られている。
おと姫の湯に浸かった後は、近くのカフェそそどでカレーをいただいた。
3種の添え物にスープも付いている。
カレーはカルダモンなどのスパイスが効いた、本格的なキーマカレーだった。
腹を満たし、キャンプ場に向かってブラブラと歩く。
内浦キャンプ場で物思いにふける
キャンプ場に戻ってきた。
道の奥は、南側の週遊道に続く。
この先はどうなっているのだろうか。
気になるが、明日の楽しみということで見ないでおく。
午後のコーヒータイム。
スキットルの中には、ジャックダニエルテネシーハニーが入っている。
ハチミツフレーバーのウイスキーだ。
そのまま飲んでも良し、コーヒーに入れても良しだ。
フェムトストーブで湯を沸かす。
旅の荷物はできるだけ軽い方が良いが、バーナーが一個あると、料理したり温かい飲み物を飲んだりと、できることが格段に増える。
フェムトストーブは、本体だけなら手のひらの1/4ぐらいのサイズ。
ガスカートリッジを合わせても、文庫本一冊ぐらいの面積である。
本体の重さは57gと非常に軽く、それでいて火力も十分なので、とても重宝する。
ガスカートリッジは、一番小さいIP-110という型番のものを使っている。
先ほどの写真で、カートリッジの蓋に「2」と書いていたが、今回の粟島にはカートリッジを2つ持ってきていた。
一つ目の物は、去年御神楽岳に登る前に購入し、何度か使っていたため、いつガスが切れるか分からなかったからだ。
実際、粟島で一台目のガスが切れてしまい、2台目を使うことになったので、予備を持ってきておいて良かったと思う。
これ一台でどのくらい湯を沸かせるかは、後で書こうと思う。
湯を沸かし、コーヒーの粉と粉末ミルクを入れる。
開高健さんのオーパ、オーパ!! モンゴル・中国篇 スリランカ篇を旅のお供に持ってきていた。
万人にはおすすめできないシリーズだが、面白い。
内容としては、アウトドアや釣り、海外の文化の話がメインである。
だがそれよりも、開高健さんの文章表現に瞠目するのが、このシリーズの楽しみ方だと思う。
本に出てくる谷口教授の書いた、開高健先生と、オーパ!旅の特別料理も大好きで、よく読んでいる。
海を見ながらのんびりする。
内浦から海を眺めると、眺望が良い時には、海の向こうに本土の山々の連なりが見える。
前回粟島に来たときは、内浦から見た本土の景色に、何の感慨も抱かなかった。
今回は内浦から本土を眺めるたび、このような景色をどこかで見たことがあると思っていた。
思いを巡らすうち、青森に行った時に見た、十和田湖のことが頭に浮かんだ。
十和田湖は、地図で見ても分かる通り広大だ。
靄が掛かって対岸が見えなかったりすると、海と錯覚してしまいそうな湖である。
対岸に山々が見える内浦からの景色は、この十和田湖で見た景色とそっくりだったのだ。
逆に本土から粟島を見ると、下の写真のように見える。
これまでは、海を見れば大海原が広がっているのが当たり前のことだと思っていた。
それが、今回内浦から本土を見て、ところ変われば常識も変わるものだと思った。
内浦の人たちからすれば、海の向こうに本土の連なりがあるのが、見慣れた光景なのだ。
そうして考え事をしているうち、あっという間に時間は過ぎ・・・
太陽が背後の山に沈み、暗くなってきた。夕飯にしよう。
本日の夕食
アウトドアの場合、日が沈むとあっという間に暗くなるので、食事の準備は早めに行うのが良い。
ここは街灯があってそこそこ明るいので、ゆっくり準備に取り掛かった。
今回持ってきた食材。
尾西食品のアルファ米を中心に、各種乾燥食品を持ってきている。
調味料は、塩・こしょう・醤油・中華スープの素がある。
アルファ米に中華スープが毎回の献立の定番となる。
本日の夕食は、赤飯と中華スープだ。
クッカーに、乾燥キクラゲ・干しエビ・クコの実と水を入れておく。
シェラカップに湯を沸かし、アルファ米のパッケージに入れる。
赤飯のパッケージには、味付けの食塩が入っている。
中華スープを濃い味付けにしようと思うので、食塩は入れないでおく。
クッカーを火にかけて湯を沸かし、食塩・こしょう・中華スープの素を入れる。
味を見ながら塩とスープの素を足し、丁度良い味付けにする。
赤飯は赤飯らしいもっちりとした感じがある。
中華スープも良い出来だ。
さくっと夕食を済ませ、食器類を洗い、テントのロープに吊るして干しておく。
寝る前の間食に、今はもう売っていない、カロリーメイトのフルーツ味を食べる。
寝袋に潜り込む。
夜は更けてゆく。