稚内へ向けて出発
幌延ビジターセンターを回り終えた。
次は少し北にある、サロベツ原生花園に行こうと思っていた。
だが、暑い中木道を歩いたので、結構疲れてしまった。
今日は稚内のノシャップ岬へ行き、日本最北端の宗谷岬も回る予定だ。
できるだけ体力を温存しておきたい。
稚内でコインランドリーにも寄っておきたかった。
寄り道せず、一路、稚内へ向かうことにした。
ビジターセンターから、下の地図のルートで稚内を目指す。
国道40号をひたすら北上する。
他に車は少なく、快適なドライブだ。
今は日曜の昼頃。
この時間帯に稚内まで観光に行く車は少ないだろう。
もう少しで日本最北端の地。
周りに車もいないので、せっかくの稚内までの道を、感慨をかみしめながら、風景を楽しみながら、ゆっくりと車を走らせる。
稚内市街に到着した。
ノシャップ岬へ
規模も大きく、けっこうな都会だ。
とりあえず稚内を北へ、ノシャップ岬に向けて車を走らせる。
そういえば、稚内まで来たが旭川ナンバーの車ばかり見かける。
オロロンラインを通っているときも旭川ナンバーをよく見かけていた。
オロロンラインで旭川ナンバーを見た時は、旭川周辺から稚内方面に観光に行く車が多いのだと思っていたが、それだけではなく、旭川運輸支局の管轄区域が広いのだ。
調べてみると、南は占冠のあたりから、北はここ稚内の周辺までが、全て旭川ナンバーらしい。
稚内駅を過ぎて海沿いを走るうち、明らかに空気が変わってきた。
風が強くて冷たい。
今日の午前中の、トナカイ牧場や長沼周辺の暑さが嘘のようだ。
潮風のにおいも、今までに嗅いだことのないような、刺すようなにおいがする。
ノシャップ岬の駐車場に着いた。
ノシャップ岬。
何だか北の果てに来たという実感が出てくる。
海は浅く、茶色い海藻が繁茂している。
ノシャップ岬へ
ノシャップ岬の手前にある公衆トイレに寄ったのだが、手を洗う水が異様に冷たかった。
吹きすさぶ寒風といい、白く刺々しい海面といい、北の果てに来たという感じがする。
いや、北の果てに来たという事実が、寒々とした寂寥感を感じさせるのかもしれない。
そんなことはともかく、さてノシャップ岬だ。
海藻が一面に繁茂しているのは、海が豊かな証拠だ。
この海で漁業をしている人たちもいる。
陸の方に目をやると、なだらかな丘陵地帯が続いている。
昆布のお土産
ノシャップ岬から駐車場まで戻ってきた。
大きなお土産屋があったので、お土産を物色することに。
やはり海産物や昆布製品が多い。
北海道を回ってみて思ったのだが、配布用のお土産として、昆布や昆布ダシを買い集めるのはおすすめだ。
北海道ならではのお土産だし、長持ちする。そして美味い。
かく言う私は、北海道を一周する中で各地の昆布を買い求めた。
土産物屋では、昆布3袋で1000円ほど、安いと4袋で1000円ほどという値段で売られていることもある。
昆布にも等級があり、良いものは一袋何千円という値段がする。
私が北海道の土産物店やスーパーを回って見た中では、やはり昆布の有名な産地である、利尻・羅臼・日高の昆布が多く出回っているようだった。
昆布の産地に近い土産屋では、昆布が大量に並んでいる。
ここ稚内は利尻に近いため、利尻昆布の取り扱いが多かった。
昆布の産地から遠い所でも、道の駅などに昆布が売っていることがよくあった。
昆布はメジャーな土産物のようだ。
昆布は、水から茹でてダシをとるのはもちろん、水筒やタッパーに水と一緒に入れ、昆布水を作ることもできる。
あまり料理に手をかけないという人には、顆粒の昆布だしや昆布茶を渡しても良いだろうし、うに茶なんていう変わり物の顆粒ダシもあった。
北海道から帰ってから、昆布でダシをとり、うに茶と塩で味付けして吸い物を作った。
北海道ならではの、贅沢なお吸い物だった。
また、昆布巻きのようなご飯のお供も売られており、これも長持ちするのでお土産におすすめだ。
写真のお土産は後に、日高のあたりで買ったものだ。
昆布巻きは2つしか買わなかったのだが、2つとも配布してなくなってしまった。
食べてみたかった。
もっと買っておけばよかった。
ノシャップ寒流水族館へ
ノシャップ岬を見終え、次はノシャップ寒流水族館へ。
水族館に入場。
アザラシが悠々と泳いでいる。
アザラシのおっちゃん。
いや、おっちゃんのアザラシかもしれない。
北海道では、野生のアザラシを見てみたかった。
後で行こうと思っている襟裳岬に、ゼニガタアザラシというアザラシがいるそうだ。
見ることができるだろうか。
水族館内へ。
タッチプールには白いナマコがいた。
メバルやカレイが舞い踊る。
寒流水族館というだけあり、北方を生息域とする魚の展示が多い。
イシガキダイ。
大きくなると石垣のような模様が消え、くちばしの周りが白くなる。
クチジロと呼ばれるゆえんだ。
NINTENDO64のぬし釣りというゲームで勉強した。
メインの大水槽。
円形の部屋の周囲を魚たちが回遊している。
オオカミ魚にヒラメ。
大きなイトウも泳いでいた。
オオカミウオやイトウは、ほとんどの北海道の水族館で見かけた。
どちらも北方にすむ魚であり、こちらではメジャーな展示魚らしい。
イトウは絶滅危惧種であり、希少な魚である。
淡水魚としては珍しく、大きなもので2mぐらいになるらしい。
ゴールデンカムイにも出てきていた。
フライの雑誌で、朱鞠内湖という所で釣れるというのを、見たことがある。
カレイかヒラメか
これはカレイ?ヒラメ?
カレイとヒラメは間違えられやすいが、ヒラメは魚食性で、大きい口に鋭い歯を持っているのが特徴だ。
カレイは雑食で、口が小さめである。
なので、この魚はヒラメかと思ったのだが、「左ヒラメに右カレイ」の原則からいくと、カレイのような気もする。
「左ヒラメに右カレイ」というのは、魚の頭と向かい合った時に、目が左にあればヒラメ、右にあればカレイだとする見分け方である。
例:粟島で釣ったヒラメ。
魚の頭と向かい合った構図だが、目が左側に来ている。
口から小魚が飛び出しているのも見える。
展示を見終え、外に出る。
ペンギンたちが毛づくろいをしている。
フンボルトペンギンだそうだ。
青少年科学館へ
水族館を出て、隣にある青少年科学館へ向かった。
近隣には飲食店が多い。
ウニとかカニとか、海産物を食べていきたいものだ。
2階の展示へ
科学館に入り、まずは2階を見に行く。
様々な化石が展示されていた。
アンモナイトと一口に言っても、実は1万以上の種類があるそうだ。
アンモナイトの種類と産出する年代の表なども展示されていた。
一階の展示へ
二階を見終え、一階の展示を回る。
南極の風景がパネルで展示されている。
南極の地形やオーロラなど、貴重な写真ばかりだ。
南極地域観測隊にまつわる道具なども展示されていた。
南極での生活が分かりやすい。
タロとジロの物語
正直なところ、青少年科学館という名前なので、子ども向けの展示が主だろうと侮っていた。
今回、北海道を一周する中で一番心を動かされたのが、ここで見たタロとジロの話だった。
けっこう有名な話で、映画も作られている。
Wikipediaのタロとジロのページにも詳しい。
昔の南極地域観測隊では犬ぞりが用いられ、牽引に樺太犬が採用されていた。
1956年、南極観測の第一次越冬隊に連れられ、何十頭もの樺太犬が一緒に、南極の昭和基地へと向かった。
翌年、第二次越冬隊が南極に着いたのだが、天候が悪化し、昭和基地での活動が困難になってしまう。
第一次・第二次越冬隊ともに本国へ退避せざるをえなくなったが、樺太犬たちを一緒に連れ帰ることができず、基地に置いていかなければならなくなった。
南極の気候や、基地の残存食料などを考えれば、犬たちに悲惨な運命が待ち受けていることは明白だった。
そして、約一年後、昭和基地に戻ってみると、なんと二頭の犬(タロとジロ)が生存していた。
この件で日本中が感動に包まれたが、犬を置き去りにせざるを得なかった隊員たちは、大きな非難を浴びたという。
そんな内容を展示で読み、何ともやるせない気持ちになった。
南極観測には大きな意義があり、そのために、当時はどうしても犬を連れて行くことが必要だったのだろう。
だが、大義など犬たちにとってはどうでも良いことだ。
何もなければのんびりと生き、天寿を全うできたかもしれないのに、南極に連れてこられたばかりに早死にすることになってしまった。
隊員に非難を浴びせた人たちの気持ちも良くわかる。
けれども一番つらかったのは、犬たちと長い間一緒に生活していた隊員たちだっただろう。
犬たちを置き去りにすれば、その後どうなるかは容易に想像できる。
隊員たちがそのことに思い至らぬはずがない。
犬たちを置いて行かなければならなかった無念さは、想像するに余りある。
厳しい言葉を浴びせかけられれば、なお一層心痛は増すだろう。
世の中は割り切れないことばかりだ。
仕事でも私生活でも、簡単には片付かないような、判断の難しいことばかり。
稚内港北防波堤ドーム
ノシャップ岬の辺りを見終え、稚内駅に戻る。
次の目的地は、駅の近くにある北防波堤ドームだ。
駅の近くに道の駅があるので、車を停める。
北防波堤ドームは道の駅のすぐ近くにあり、歩いて行ける。
ノシャップ岬は寒風が吹いていたが、この辺りまで来るとだいぶ風が和らいでいる。
ここは神殿を思わせるような造りの防波堤で、ガイドブックにも載っており、観光地として有名なようだ。
確かにすごい眺め。
昭和を代表する横綱、大鵬関の上陸記念碑もあった。
稚内駅周辺と野生のエゾシカ
防波堤ドームから、海沿いを回って駅の方まで歩いていく。
稚内の港湾を挟み、対岸に南稚内の市街地が見える。
大きな建物の裏手を歩いていると、茶色いシルエットが、、、
エゾシカだ。
野生のシカが、街中で草を食んでいる。
北海道ならではの光景。
ゴールデンカムイを見ていたので、シカが美味そうに見えてしまう。
後でシカ料理を食べてみることにしよう。
これで野生のシカを見たのは3頭目。
5日で3頭というのは多いのか少ないのか。
後に道東で、もっとたくさんのシカと出くわすことになる。
道の駅に戻ってきた。
駅に寄り、土産を探す。
駅を出た後、セイコーマートに寄って昼飯を買うことに。
月寒あんぱんがあったので購入。
ゴールデンカムイに登場しており、一度食べてみたいと思っていた。
昼飯はパスタと総菜。
これで300円しないぐらい。
やはりセイコーマートはお得だ。