ラクソウルに向けて出発
パトナのバイリヤバススタンドで、国境の街ラクソウル行きのバスに乗ったのだった。
7時間ちょっとでラクソウルに着くはずだ。
バスは中々発車せず、乗客が集まるのを待っているようだった。
次第に乗客が乗ってくる。
座席がほとんど埋まり、私の隣にも人が来てしまった。
まあ仕方ない。
水や軽食を売る人もバスに乗ってきた。
乗客たちを見回しながら声をかけ、バス内を行き来している。
女の人が何か買わないかと、「ハロー」と話しかけてくる。
こちらも何だかよく分からないまま、自分を指さしながら「ハロー ジャパン」とか間抜けな返事をしていると、どこかへ行ってしまった。
しばらくして、バスが出発した。
パトナからムザファルプルへ
都市部は道路が混んでおり、バスは中々パトナを抜けられなかった。
ようやく混雑を抜け出し、川を渡って次の街ムザファルプルを目指す。
ガンジス川にかかる橋の上を通過。
バスが出発してしばらくすると、車掌がチケットの確認に来た。
バススタンドでもらったチケットを見せる。
パトナとムザファルプルをつなぐ道路。
道は空いており、バスが順調に進んでいく。
車内は日差しが強いが、窓から入ってくる風が涼しく、ちょうど良い気温だ。
心地よい風に吹かれながら微睡む。
周りで聞こえているのはヒンドゥー語オンリー。
何だか旅をしている感じがする。
次第に交通量が多くなり始める。
この辺りがムザファルプルだ。
ムザファルプルは大きめの都市で、交通の要衝にもなっている。
ムザファルプルのバススタンドへ
都市の中に入ると、バスは大幅にスピードダウンする。
街中を牛たちが歩く。
バスがムザファルプルのバススタンドに着いた。
周りのバスのクラクションがうるさい。
バスに乗っていた人たちの半分以上がここで降りて行く。
私の隣に乗っていたおじいさんも降りたので、席を広々と使えるようになった。
ムザファルプルのバススタンドでは待ち時間が長かった。
バス内に、水や軽食を売る人たちが入ってきて、賑やかになる。
「パニーパニー」と連呼している人がいるが、パニは水のことだ。
サダルのチャイの屋台で予習していたので、知っていた。
女の人が、私の腕に写真をなすりつけながら、お金を要求してくる。
何の商売かさっぱり分からないし、怖い。
もう一つの街モティハリへ
しばらくして、やっとバスが動き出す。
ムザファルプルから次の街、モティハリへ向かう。
このバスは、日本の高速バスと同じような感じのバスだ。
地元の人が、ちょっと距離のある周辺の都市へ行くためのバスのようだった。
バススタンドを通り過ぎると、車掌が全員のチケットを確認しに来るという仕組みになっている。
モティハリに向かう途中、また車掌がやって来たので、チケットを再度提出する。
またしばらくして、バスがモティハリに近付く。
この辺りがモティハリの中心部(のはず)だ。
地図で見ると分かるが、モティハリには三日月形の池がある。
たぶん川の名残だろう。
インドへの旅の計画段階で、モティハリについて調べていたとき、この池が無性に気になっていた。
モティハリに滞在し、池を見に行こうかとも思っていたぐらいだ。
とりあえず、バスからモティハリ市街を見ることができたので、良しとしよう。
賑やかな市場。
果物や野菜がたくさん売っている。
こういうところは、バスから眺めているだけでも本当に楽しい。
何と象が歩いていた。
モティハリからラクソウルへ
バスがモティハリの中心部を離れる。
モティハリでは、バスが長く停まらなかったので、良かった。
段々とモティハリを離れていく。
また車掌がチケットの確認に来た。
私がカバンからチケットを出そうとすると、出さなくてよいというジェスチャーをされた。
私のチケットを確認したことを、覚えていてくれたようだった。
次がようやくラクソウルのはずだ。
段々とトイレに行きたくなってきた。
まだ十分に我慢できるが、バスに乗るのも飽きてきたので、早くラクソウルに着かないものか。
バスに乗っている時間が長いので、トイレは要注意だ。
トイレ休憩のようなものはないので、出発地のパトナのバススタンドか、長く停車するムザファルプルで済ませておいた方が良い。
もちろん、このバスはムザファルプルに長く停まったが、他のバスも同じかどうかは分からない。
私はコルカタで風邪をひいていたのだが、それから咳が出るようになっていた。
バスの中ではマスクを付け、咳を必死に我慢していた。
それもあって、ラクソウルが待ち遠しい。
知り合いの知り合いの知り合いの知り合いの知り合いの知り合い
一つの家の前に、たくさんの村人が集まっていた。
何をしているのだろう。
一つ一つの家に人が住んでおり、その一人一人に固有の人生がある。
これらの家の中では、どんな暮らしや人生が繰り広げられているのだろうか。
彼らはこれまでも、おそらくこれからも、私と縁のない人々のはずである。
ところが、知り合いを5人介すれば、世界中のだれとでもつながれるなんて話がある。
私も間に5人入れれば、ここの人たちとつながれるのだろうか。
彼らは私の、知り合いの知り合いの知り合いの知り合いの知り合いの知り合いたちなのかもしれない。
5人という数字を見れば近い気がするが、こうして文字に起こしてみると、けっこう遠い気がしてくる。
そんなことを考えていると、バスがラクソウルの近くまで来た。
のどかな風景だ。
ようやく国境の街、ラクソウルに到着。
さて、ラクソウルはどんなところだろう。