やっとガイドと別れる
マハーボディ寺院を、勝手に付いてきたガイドから案内してもらったのだった。
さて、この後どうやってこの男と別れようか。
道を歩いていると、果物の屋台を発見。
どうやって買うのか気になったので、ガイドの男に聞いてみるが、彼はそういう話には乗ってこない。
この男は、私を観光地に連れて行くことしか考えていないようだ。
こちらとしては、屋台での買い方とかの方が、観光地よりも興味がある。
そういうのを教えてくれれば、少しはお金を使おうという気にもなってくるのに。
ガイドは一軒の土産物屋の前で立ち止まる。
知り合いの店らしい。
水をもらって少し休憩。
するとガイドは、「これからバイクで前正覚山に行く」と言う。
「ガソリン代とちょっと寄付も...ゴニョゴニョ...」とか言っている。
それはちょっと遠慮願いたい。
急だし、やっぱり一緒に乗り物に乗るのは避けたい。
いざという時逃げられなくなる。
悪い人ではないと思うのだが...
こちらとしては、観光地巡りをして、お金を落とすことはやぶさかではない。
ただ、このガイドが強引なので、ためらってしまうだけなのだ。
「私の行きたいところに」、とは言ってくれるのだが、そもそもガイドを頼んだわけではなく、向こうが勝手に付いて来ているだけだ。
「山には行かない」と言うと、「では店でチャイでも飲んで話をしよう」と言ってくるので、ホテルに戻ると伝える。
誰かと一緒に飲食店に行くのも避けたい。
飲み物に睡眠薬を入れられ、、、というのも有名な手口だ。
ちなみに、先ほど水をもらっていたが、そちらは先にガイドが飲んでいたので、大丈夫だと判断していた。
道の真ん中なので、何かあっても周りの人が助けてくれるだろうし。
「ホテルに戻る」と言うと、ではバイクで送っていくと言うので、歩いて行くと伝えた。
電話番号を聞かれ、「電話番号は持って無い」と言うと、ガイドの番号だけ教えてもらい、ようやく解放された。
何だか疲れた。
こういうのに慣れていないので、一つ一つのやり取りが面倒だ。
マハーボディ寺院を歩いている時も、猜疑心の塊りになっていたので、思うように見て回ることができなかった。
ゲストハウス前の道の子どもたち
ヘトヘトになりながら、ゲストハウスまでの道を戻る。
ゲストハウス前の田舎道を歩いていると、どこからか「ハロー」という声が聞こえてくる。
子どもの声のようだが、肝心の子どもが見当たらない。
探してみると、車の荷台のところに子どもがいるのを見つけた。
屋根の上にもいる。
挨拶をしてゲストハウスに向かう。
子どもたちと挨拶をしていると癒される。
さっきまで、面倒な大人同士の腹の探り合いをしてきたので、すっかり疲れていた。
こんなのは仕事をしている時だけで十分だった。
何で旅に来てまで、人付き合いで苦労しなければならんのだ。
ゲストハウス前の辺りにも、何人か子どもたちがいた。
彼らとも「ハロー」とあいさつを交わし、なんてかわいい子どもたちなんだろうと思っていると、女の子が一人寄ってきた。
すると女の子が手を出して、、、
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「マネー」
私は膝から崩れ落ちた(ような気持になった)。
もうここでは生きていけない。
大人も子供も強かすぎる。
いかに日本の環境が生ぬるかったか、、、
(心の中で)泣きながらゲストハウスに戻り、ベッドにもぐりこんだ。