夕方のサダルを歩く
さて、レストランからゲストハウスに戻る前に、もう少しサダルの近辺を歩いておこう。
この辺りの地理はやっぱり難しい。
見知った場所に出て、このまま行けばゲストハウスに近付くかと思ったら、全然違う方向に行っていたりする。
道端には野良犬がたくさんいる。
インドでは宗教上の理由で、動物の殺生を禁じられているため、野良犬が多いと聞いたことがある。
野良犬たちは、昼間は丸まってぐっすり寝ている。
日が暮れてから朝方まで、活発に動き始めるようになる。
今は日が暮れる前で、通りには人が多く出ている。
声をかけてくる人もいるが、大多数の人はただ通り過ぎるだけ。
こちらには関わってこない。
やっぱり見ると聞くとでは大違いだ。
インドでは、道を歩いただけでたくさんの人に声をかけられるのだと思っていた。
物乞いの人たちにお金を渡す
そんなことを考えながら歩いていると、物乞いの男の人が、コインの乗った掌をこちらに向けてくる。
今はレストランを出たばかりで、小銭がある。
いくらかを手に乗せる。
その場面を他の物乞いの人たちに見られていた。
2人の女の人が来たので、その人たちにも小銭を渡す。
彼女らが手に乗せている硬貨より、少しばかり大きい額を渡した。
少し前、アキラさんのところにいたときに物乞いの人が来たのだが、ちょうど良い額のお金がなかったので、お金を渡さなかったことがあった。
そのことがずっと心に引っかかっていた。
サダルストリート一日目の回想
コルカタの街中を歩き、センターポイントゲストハウスに戻った。
シャワーを浴びながら洗濯も済ませる。
給湯器っぽいものがあるので、お湯が出ると思っていたが、いくら待っても水のままだ。
仕方なく水を浴びる。
※後で気づいたが、お湯は出るようだ。
給湯器のスイッチを入れないとお湯が出てこない。
洗濯物を干した。
真ん中の長袖シャツは、後でひどいことになる。
とりあえず、今日やろうと思っていたことは終わった。
サダルストリートでの一日目、会ってみたかったアキラさんとサトシさんに会えたし、SIMの設定をしてもらった。
ATMでお金を引き出すこともでき、飲食店での食事も問題ない。
私は一つの飲食店に何度も通い、色々なメニューを試してみるタイプだ。
これからしばらく、先程行ったレストランのボジに通ってみることにするか。
伝聞と体験の差異
そういえば、買い物などをしていて、特にお釣りをごまかされたりすることもなかった。
今の所、紙幣の受け取り拒否もない。
インドで行動し始めて一日目なので、まだ分からないことも多いが、ここまでの印象は、事前にインドという国に対して抱いていた印象と違っていたことが多い。
思ったよりも色々な面がきっちりしているし、客引きもそれほどしつこくない(一人、とてもしつこい人はいたけれど)。
サダル以外の場所では、ほとんど話しかけられることもなかった。
やっぱり、実際に来て体験してみないと分からない。
これまで、インドについて書いた文章をたくさん読んできたが、そういうものには書いた人の主観が入っている。
物事の受け取り方は人によって違うので、実際に自分で来て体験してみれば、また違った感想を持つのは当然だ。
また、伝聞と体験で差異を感じるのは、個人の主観だけが理由とは限らない。
私が読んできた本やブログは、書かれたのが数年前、古いもので数十年前のものもある。
かなりの速度で色々なものが変化している昨今、ほんの少しの年月で、社会の仕組みが大きく変わることもある。
数年前に書かれた文章の内容が、今の状況に即していないことも十分にありうる。
そして、数年前に世界規模で流行したコロナウイルス感染症の影響も、まだ尾を引いているように感じる。
旅の中、あちこちで耳にしたのが、コロナ禍以降、日本人観光客が全然来なくなったということだ。
コロナだけが原因とは限らないが、観光地の土産物屋の人やガイドたちから、日本人観光客が減って生活が大変だと何度か聞かされた。
インドの物価について
世界中で物価の上昇が起きている今、インドも値上がりが激しいのだろうと覚悟していたが、思っていたより物の値段は安かった。
インドに来る前、コロナ禍以降のインドの物価がどうなっているか分からず、とりあえず一日の生活費を5000円として試算していた。
けれど、一日5000円というのは、インドではまだまだ豪遊できるぐらいの金額だった。
2025年になったばかりの現在、ゲストハウスの料金を含め、一日の生活費を3000円としても、かなり楽に過ごすことができる。
ドミトリーを利用したり、もっと安い所に泊まって食費も節約すれば、一日2000円とか、1500円で生活することもできそうだ。
これからの予定
とりあえず、明日はニューマーケット周辺を見たり、インドミュージアムに行ってみようと思う。
ニューマーケットは今いる場所から北の辺り。
インドミュージアムは、今いる場所から、サダルストリートを真っすぐ行ったところにある。
本場のチャイもまだ飲んでいないので、飲んでみたい。
だが、このページの最初に書いた通り、私は飲食店に入ったりするのが苦手だ。
サダル周辺を歩いていた時、チャイの屋台を何件か見かけたが、屋台で声をかけることすら難しい。
そういう場所で遠慮なく声をかけられるようになるのが、これからの一つの目標だ。
もう一つの目標として、一週間を目安にサダル周辺を歩き回り、この辺りの道を把握することを目指してみよう。
道のつながりが分かってきたら、次の場所に移ることにするか。
幸い、1月のコルカタは涼しくて過ごしやすい。
道を歩いているときに、水を持ち歩く必要がない。
ゲストハウスにいるときは、半袖の下着+長袖では寒く感じるぐらいだった。
インドの懐で夜の物思い
18:00ごろに寝て、夜中の00:00に目を覚ました。
夜中だが、外ではクラクションが鳴りやまないし、喧嘩の声もしている。
かなりうるさいが、それほど気にはならない。
日本でアパート暮らしをしていた時は、夜中もうるさくしていた隣人に、ひどく腹を立てたものだったが。
半年ほど前、初めての海外旅行でバンコクに行ったときのことも思い出す。
バンコクでは、ホステルで目を覚ましたとき、一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなっていた。
そしてバンコクにいるのを思い出し、不安になったものだった。
初めての海外旅行で慣れないことばかり、不安なことだらけだったのだ。
ところが、今回のインドでは全くそういうことがない。
海外旅行に慣れたということもあるのかもしれないが、何故だか街に受け入れられている気がして、安心感がある。
これがよく言われるところの、インドの懐の広さというものだろうか。