バンコク駅の手前で疑心暗鬼に・電車でドンムアンへ

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七日目の朝

七日目の朝、今日はドンムアンに行き、ホステルを探して土産を購入する予定だ。

 

次の日の夜中には、飛行機に乗って日本へ帰国する。

 

バンコクに来て七日。

初めての海外で、色々と見て回り、学ぶことがたくさんあった。

名残惜しい気もするし、早く帰りたい気もしている。

 

まだバンコクで、食べておきたいものがいくつかあった。

カオマンガイやパッタイ、後は屋台で売っているココナッツのジュースも飲んでおきたい。

ドンムアンで達成できるだろうか。

 

さて、ロフテルステーションを出発しよう。

とても良いホステルだった。

 

名残惜しい。

 

ホステルを出るとき、ホステルの主人がタイ語で何事か挨拶をしてくれた。

タイ語はさっぱり分からないのだが、呪文を唱えているような、不思議な響きだった。

 

タイの男性が話すタイ語は、呪文のような響きがする。

タイの女性がタイ語を話すと、「~~~ナー」というふうに語尾が間延びしたようになり、子どもに言い聞かせているような感じになる。

 

沖縄の「ナンクルナイサー」と似たような感じだ。

 

「good hostel thank you」と言ってホステルを出た。

 



ロフテルステーションからバンコク駅へ

 

ホステルを出て、近くにある地下鉄の入口へ。

ここから電車に乗るのではなく、通りの反対側に行くため地下道を通る。

 

通りの反対側に見える、あの建物がバンコク駅らしい。

 

バンコク駅は、ファランポーン駅や、クルンテープ駅など、色々な呼び方をされている。

 

地下道を抜け、バンコク駅のそばに出た。

 

バンコク駅の手前で声をかけられる

駅の手前の横断歩道に来た。

 

バンコクでは、横断歩道などあってないものだという認識になっていたので、横断歩道から少し離れたところを渡ろうとする。

 

すると、通りの向かいにいた人が、ジェスチャーで横断歩道を渡るように促してくる。

誘導もしてくれ、車やバイクが来ないか見てくれた。

 

私が歩道を渡り終えると、誘導してくれた人が何事か話しかけてくる。

この時点で私の警戒心が最大になった。

 

駅の手前という、外国人の多い場所。

客引きには好立地だ。

 

これまでに、先生を名乗る客引きに捉まったり、観光地で「オハヨー」「ドコイクノ」だの、「ワットポーシマッテル」だのと声を掛けられていた。

 

おかげで、道で話しかけてくる人は、もれなく怪しい人だという認識が頭の中に固着してしまっていた。

特に優しくしてくれるような人は絶対に怪しい。

 

追いかけてくる声

話しかけてきた人を無視することにし、黙って速足で通り過ぎる。

 

バンコク駅の正面に向かって、右の道へ行った。

 

後ろから、「Hello!!」「Hello!!」と大声が聞こえる。

先ほどの人が呼んでいるのだ。

ますます怪しい。

 

だが、「Hello!!」という声が追い縋って来るのを聞きながら、さすがにおかしいと思い始めた。

客引きならばもっと早くあきらめそうだ。

 

駅の右隣の道を進んで行くも、一向に駅の入り口が見えない。

 

駅の入口は、駅の正面に向かって左側にあったのだろう。

たぶん、話かけてきてくれた人は、親切心から話しかけてきてくれたのだ。

 

申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

このまま右の道を行っても、入り口は見えそうになかった。

駅の正面に戻ろう。

 

バンコク駅の中へ

小さくなりながら駅の正面に戻ってきた。

 

先ほどの人はいなかった、と思う。

 

駅の正面でまた別の人が声をかけてきた。

首から、顔写真付きの証明書のようなものをかけている。

 

正直なところ、この時点では、まだこの人たちのことを疑っていた。

本で、どこかの国で顔写真付きの証明書をぶら下げている人に騙された、なんていう話を読んだことがあったからだ。

 

どこに行くかを聞かれ、ドンムアンに行きたいと答えると、駅の入口を教えてもらった。

 

駅の中に入ると、同じように証明書を首から下げた人たちが、外国人を案内していた。

バンコク駅は国営なので、この人たちは国の職員なのかもしれない。

 

最初に、駅の正面で声をかけてきた人も、国の職員だったのだろう。

無視して申し訳ないことをしてしまった。

この場で謝りたいと思う。

 

とにかく、バンコク駅の待合室に着いた。

 

バンコク駅で切符を購入

中はガランとして広く、椅子に何人か座っていた。

 

とりあえず切符を買わねば。

 

窓口に行き、「アイ ワントゥー ゴー ドンムアン」と伝える。

 

すると「ファイブバーツ」と返ってきた。

聞いた瞬間、耳を疑った。

 

本当に5バーツ(25円)で行けるのか。

 

5バーツ硬貨を渡してみると、切符を発行してくれた。

本当に5バーツで良かったようだ。

 

待合室で電車待ち

いつどこで切符を渡すのかなど、電車の乗り方は全く分からない。

 

とりあえず、電車が出るまでまだ時間があるので、広い待合室で時間をつぶす。

 

おもちゃを持った子どもが、地面の赤いタイルだけを飛び渡っていた。

どこの国の子どもも、遊び方は一緒だ。

きっと赤いタイル以外の場所は、マグマになっているに違いない。

 

電光掲示板を見ていると、私が乗る電車は7番線から出るようだ。

タイ語は全く分からないが、数字などから、乗る電車やプラットフォームの番号を推測することはできる。

 

ドンムアン行きの電車に乗り込む

時間が近づいてきたので、プラットフォームに向かってみる。

 

電車を待っている人は少ない。

同じ電車に乗る人はあまりいないのだろうか。

ドンムアンには空港があるので、電車の需要はありそうだが。

 

そのまま待ち続けていると、電車がやってきた。

が、二両編成でけっこう古びている。

 

他に停まっている電車は編成数も多く、車体も綺麗だった。

本当にこの電車が、空港までの電車なのだろうか。

 

とりあえず乗り込んでみる。

どの窓も全開になっている。

 

車内にはエアコンがなく、ファンが回っているだけだった。

今どきすごい電車だ。

だから5バーツだったのだろう。

 

ファンだけでも、暑いことは暑いが汗はかかないぐらいだ。

走りだせば涼しくなるだろう。

 

この電車は中々面白かった。

観光客が少なく、現地の人ばかり乗っているし、色々なものを見ることができた。

何より旅をしている感じがする。

 

物売りの人たちが車内を巡っていた。

 

電車が出発

大きな警笛が一発。

 

いよいよ電車が出発した。

 

のだが、減速して停まってしまった。

そして人が乗り込んでくる。

 

乗り込んだ人は座席に座り、隣の人と話し始めた。

 

なんと、乗り遅れた人のために電車が停まったようだった。

日本では考えられないことだ。

 

 

日本と違うことはまだたくさんあった。

 

踏切があったのだが、そこでも電車が停まってしまう。

電車が踏切待ちをするのだ。

目の前の踏切を、車や歩行者が渡っていく。

 

日本では、電車のために踏切がある。

電車が何より優先だ。

電車が駅以外で停まることなど、考えられない。

 

対して、タイでは電車の優先度が低いようだった。

踏切は日本のように電車の通過を知らせるためではなく、電車と車の交通整理のためにあるのだ。

 

その後も色々なものを見た。

線路の間にテーブルを置き、食事する人たち。

踏切のすぐ近くに家があったり、線路を野良犬が歩いていたりする。

 

時折、電車が警笛を鳴らす。

路上にいる人に電車の存在を知らせるため、鳴らしているのだろう。

 

ドンムアンに到着

電車が走っている間、ずっと窓にかじりついていた。

 

途中、乗務員が切符の確認をしに来た。

切符を渡すと、ペンで切符にサインしてくれた。

 

電車は左右に揺れながら、いくつもの駅や建物を通り過ぎる。

 

ずっとゆっくりのペースで行くのかと思っていたら、高架に乗ってからはスピードを出し始めた。

高架の上には、さすがに人がいないからだろう。

 

そんなこんなでドンムアンに着いた。

 

とても面白い列車旅だった。

日常生活とは違う物を見られるのが、やはり海外旅行の醍醐味だ。

 

 

電車でこの駅のさらに先へ行くと、アユタヤがあるようだ。

今度バンコクに来たときは、アユタヤに行ってみることにしよう。

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