十一日目の朝
今日は釧路周辺を観光する。
昨日の疲れが残っているので、湿原を見たら観光を早めに切り上げ、釧路市街でゆっくりしようと思う。
前のページにも書いたが、釧路湿原は広大で、どこを見ればよいのかよく分からない。
とりあえず、市の展望台を見に行ってみようと思う。
昨日は暑かったり涼しかったりしていたのだが、今朝は寒い。
セブンでコーヒーと朝食を購入。
展望台へ向かう途中、3頭のシカが道を横切った。
昨日も屈斜路湖から阿寒湖までの道で、シカをたくさん見たのだった。
道東はシカが多いと聞くが、確かにこれまで何頭も見た。
カーナビを見ながら車を走らせていると、ふと脈絡のない疑問が湧いてきた。
国道と県道(道道)が交差する場所は、国と県のどちらの管轄になるのだろうか。
道路の補修をするときは、どちらがお金を出すのだろうかなどと、つい気になってしまった。
釧路市湿原展望台に到着
市の湿原展望台に到着した。
私が着いた時、ちょうど小学生たちもバスで遠足に来ていた。
時間が早く、展望台自体はまだ開いていない。
展望台の近くに遊歩道があるので、まずはそちらに行ってみることに。
遊歩道はぐるっと一周する形に作られている。
とりあえず、サテライト展望台と書かれている方へ進んでみることにした。
遊歩道の入り口に着いた。
ヒグマ出没注意の看板。
早朝と夜間は通行禁止と書かれている。
湿原展望遊歩道の散策
木道の遊歩道を進む。
ふと、頭上からヒヨヒヨという鳴き声が聞こえてくる。
気になって立ち止まると、声が止まった。
鳥を探しても見当たらない。
おや、これは何だろう。
これはキツツキの巣ではないだろうか。
巣の中のヒナが鳴いていたのかもしれない。
少し離れてみると、またヒヨヒヨという声が聞こえだした。
広場を発見。
奥のパネルには、湿原の役割や生き物について書かれていた。
分岐点に到着。
ここを右へ、サテライト展望台を目指す。
道の先が開けている。
釧路湿原を見渡せる、サテライト展望台に到着。
サテライト展望台からの眺め
これはすごい。
初めて湿原を見た時の感覚は、山登りで山頂についた時のような感じだった。
何枚も写真を撮ったが、私の腕前では、ここからの眺めのすごさを伝えきれない。
広大な湿原の景色が、目の前に延々と続いている。
まるでアフリカのサバンナでも見ているようだ。
高台があるので登ってみる。
湿原の中に動物でもいないかと思い、持ってきていた双眼鏡で探してみる。
林の中に茶色いものが。
これはもしかして、、、
やっぱりエゾシカだ。
駐車場にいた小学生たちが、ガイドの説明を聞きながら湿原を見学していたので、邪魔にならないようにしながら写真を撮った。
小学生のうちにこんなに素晴らしい景色を見られるとは、北海道の小学生たちがうらやましい限りだ。
奥にも展望台がある。
パネルには釧路湿原の説明と、ヤチボウズやヤチマナコについて書かれている。
私がこれまでに見た中で、摩周湖が北海道の絶景第一位だったのだが、甲乙つけがたい眺めだった。
展望台の建物に戻る
サテライト展望台を後にし、最初の建物まで戻ることに。
散策路を一周する形で、来た道とは別の道で建物を目指す。
今度は登りが続く。
途中、足場の木板がグラグラと揺れるので、注意が必要だ。
食べると毒のあるバイケイソウがたくさん。
山菜のウルイと間違いやすいので、注意が必要だ。
暑い。
北海道に来てから、毎日けっこう歩いている。
だが、長年の不摂生を考えれば、まだまだ運動が足りない。
吊り橋を渡る。
登りが連続し、キツイ。
昨日はけっこう歩いたので、足が筋肉痛になっている。
キツツキのマンション。
やっと展望台に戻ってきた。
サテライト展望台を見に行くときは、反対向きに回るルートの方が楽かもしれない。
釧路市湿原展望台の中へ
展望台の館内では、湿原の情報が手に入る。
湿原の歴史や、タンチョウの生態などが詳しく展示されている。
釧路湿原周辺の大きなマップも展示されており、見どころなどが書かれていた。
釧路湿原を観光するときは、まずここの展望台を訪れてみると良いのかもしれない。
屋上の展望台へ。
遠くに湿原が見える。
クチョロ原野塘路線
釧路市湿原展望台を出た。
今日は釧路市街でゆっくりしようと思うのだが、市街地に行く前に、もう一つぐらい展望台を見ておきたい。
次はサルボ展望台というところに向かってみよう。
自販機でガラナを購入。
湿原展望台のある道道53号を北へ。
道道243号に入り、途中で右折して道道1060号へ。
道道1060号に入ってしばらく行くと、駐車場があった。
そこがコッタロ湿原展望台の駐車場だったのだが、知らずに通り過ぎてしまった。
寄っておけばよかったと後悔。
コッタロ湿原展望台の駐車場を越えると、道は未舗装になる。
この道道1060号は、クチョロ原野塘路線という名前がついているが、両側を原野に囲まれたワイルドな道だ。
走っていると土埃が舞い上がる。
外国のようだ。
市の展望台から釧路湿原を眺めた時と同様、自然とアフリカのサバンナが想起される。
行ったことはないのだが。
道のすぐ脇を、川がゆったりと流れている。
ここはカヌーの発着場らしい。
後で調べると、この川は釧路川だった。
釧路川といえば昨日、弟子屈の、道の駅 摩周温泉の近くで見ていた。
昨日見たところが上流、今いるところが下流になる。
直線距離で約35kmだ。
釧路川はこの後、約20km流れ、釧路市街を通って海に出る。
サルボ展望台へ
道道1060号をさらに進む。
国道391に出たところで少し北へ行くと、サルボ・サルルン展望台の駐車場に出る。
駐車場は少し分かりにくく、狭いので注意が必要だ。
車を降りてみると、土埃でドロドロになっていた。
釧路市街に行ったら洗車もしよう。
駐車場から、国道沿いに少し北へ歩く。
ここがサルボ・サルルン展望台の入り口だ。
階段を上っていく。
分岐に出た。
まずは右のサルボ展望台へ。
ここからサルボ展望台までは110m、サルルン展望台までは710mだそうだ。
市の湿原展望台でたくさん階段を上ったので、もう階段はこりごりだった。
サルルン展望台までは行かず、サルボ展望台を見て帰ろうかと弱気になる。
サルボ展望台に到着。
サルボの語源だが、看板によれば、「サル」はアイヌ語で「湿原」、「ボ」は「子」の意味だそうだ。
看板には他に、塘路湖の説明や、付近に生息する生き物について書かれていた。
サルルン展望台へ
来た道を引き返す。
分岐に着いた。
ここまで来たのだから、サルルン展望台まで行ってしまおう。
そしたら釧路市街に行って風呂に入ろう。
湿原展望台でも見た、バイケイソウが繁茂している。
たぶん、ここの下の辺りに駐車場があるはずだ。
帰りはここを下りてショートカットしたい、、、
サルルン展望台に到着した。
手前に見えるのはサルルン沼だそうだ。
左奥は塘路湖。
一番手前がサルルン沼。
真ん中がポン沼、一番奥がエオルト沼だそうだ。
左奥の塘路湖。
飛んでいる鳥を発見。
何だろう。
タンチョウだろうか、、、
展望台のさらに上へ。
カンボクの花。
全ての沼が一望できる。
原野の中の線路。
一通り見終え、サルルン展望台から駐車場に引き返した。
釧路市街へ
さあ、釧路市街へ向かおう。
歩きっぱなしで疲れた。
今日は2か所しか回っていないが、観光はここまでにしよう。
市街地でコインランドリーやガソリンスタンドに寄りたい。
それと、何はともあれ風呂に入りたかった。
サルルン展望台に行くまでにけっこう汗をかいていた。
釧路市街のさくら湯へ。
良い湯だった。
広めの、町の銭湯という感じだ。
いつものように、ひたすら露天に浸かっていた。
しばらくコインランドリーに行っていなかったので、洗濯物が溜まっている。
次はコインランドリーだ。
昼なので、コインランドリーはどこも混んでいる。
開いている所を見つけて洗濯物を放り込む。
ランドリーの待ち時間にガソリンスタンドに行っておこう。
道道1060を通ったので、砂ぼこりで車がドロドロになっていた。
普段はあまり、車が汚くても気にしないのだが、そうも言っていられない見た目になっていた。
スタンドで洗車とガソリン補給を済ませた。
フィッシャーマンズワーフMOOへ
今日やろうと思っていたことを一通り終え、釧路フィッシャーマンズワーフMOOに向かった。
ここには土産物屋や飲食店が集まっている。
施設の端には温室が。
温室から建物の外へ。
雄大な釧路川
フィッシャーマンズワーフの隣には釧路川が流れている。
そういえば、昨日から今日にかけて何度も釧路川を見てきた。
釧路川を最初に目にしたのは、昨日、弟子屈の道の駅近くでなんだろう橋を渡った時だった。
それから今日、サルボ展望台を見に行くとき、道道1060号でも釧路川を見た。
釧路湿原の中を、釧路川はゆったりと流れていた。
実は昨日、釧路川の源流近くも通っていた。
釧路川は屈斜路湖から流れ出ている。
その流れ出しの部分が釧路川の源流域ということになる。
昨日、車で屈斜路湖畔から美幌峠に向かう途中、そのあたりを通っていたのだ。
はからずも、釧路川の源流から中流、下流を目にしてきたことになる。
今日の回想
フィッシャーマンズワーフを出て、市街地で早めの夕食を取る。
フィッシャーマンズワーフで食べることも考えたのだが、どうしてもハンバーグを食べくなった。
ハンバーグにパイナップルは素晴らしい組み合わせだと思う。
脂の多い肉類には果物が合う。
果物の酸味が、脂のくどさを打ち消してくれる。
ハンバーグと一緒にコーヒーも。
コーヒーを飲みながら、今日一日のことを思い起こす。
今日は走行距離が短く、訪れた場所も少ない。
まずは釧路市湿原展望台へ行った。
展望台から見た湿原の雄大さは、北海道らしさの極致とでも言うべき風情があった。
そして道道1060号を通り、サルボ・サルルン展望台へ。
大小の沼が点在し、野鳥も多く見かけた。
そして釧路市街で用事を足した。
明日の予定
夕食の後、今日の宿泊地に着いた。
ガイドブックとwifiにつないだスマホを見ながら、明日の予定を立てる。
明日の一番の目的地は、襟裳岬だ。
釧路から南下し、観光地を回りながら襟裳岬に向かう。
途中、帯広に寄って豚丼を食べようかとも思うのだが、少し遠回りになるので、どうするか分からない。
襟裳岬を見たら、そのまま海岸沿いに西へ。
浦河町を越えて三石の辺りまで行ければと思うのだが、結構な移動距離になりそうだ。
どこまで行けるかは明日の気分次第だ。
十一日目の終わり
地図を開いて考えてみれば、北海道にいるのも、後5日か6日ほどとなりそうだ。
北海道に来てから11日、フェリーで新潟を出てから12日が経つ。
感覚的には、そのぐらいの日数が経過している気もするし、まだそのぐらいしか経っていないのかという気もする。
もっとローペースで周り、観光に時間をかけられればとも思うのだが、どんどん先へ行きたくなる性分なので、こればかりは仕方ない。
北海道一周も、おそらく2/3は過ぎた。
ここまで来ると、早く家に帰ってのんびりしたいという気持ちも大きくなってくる。
今日はエルデンリングというゲームのDLCが発売される日だった。
早くプレイしたいと思い、なおさら家に帰りたくなる。
だが、北海道で訪れたい場所はまだたくさんある。
中々来られる所ではないので、できるだけゆっくり行くことにしよう。
眠れない夜と根源へ
北海道に来てから、一日の大半を一人で過ごしている。
そうすると昔のことばかり思い出す。
思い出すのも、良い記憶ならば良いのだが、そうではないから始末が悪い。
昔の未熟だったころを思い出し、恥ずかしくなってくるのだ。
これは自分が成長した証でもあると思うのだが、、、
仕事をしていた時は、忙しさのためか、こんなに昔のことを思い出すことは無かったように思う。
色々と考えてしまって眠れない。
こんなときは、いつも本が助けてくれる。
北海道に持ってきていた根源へを取り出す。
仕事に詰まった時、何度もこの本に助けられたものだった。
困ったときに読むと、必ずどこかのページが困りごとにヒットしてくれる。
今回はそのものずばり、「罪と恥」についての項目があり、特攻薬になってくれた。
この本を最初に読んだとき、これは本物の本なのだろうか、というのが率直な感想だった。
以前に読んできた本とは書いてあることが別次元に違うし、内容に強く共感できたのだ。
だが、筆者の名前は聞いたこともなく、書評を見ても評価が分かれていた。
それで一度、古本屋に売ってしまったのだが、本の存在が心に強く残り続け、結局買い戻した。
善し悪しを判断するうえで大切なことは、他人の評価ではなく、自分がどう考えるかなのだ。
本から影響を受けるかどうかは、自分が本に共感できるかどうか次第なのだから。
以来、この「根源へ」を含め、著者の執行草舟さんの著作は全て買い求め、ずっと読み続けている。
この本には大学生のころに出会いたかった。
特に現代の若者(自分もまだ若いけれど)に読んでほしい本だとも思う。