行動展示の「旭山動物園」
当麻町を出発し、いよいよ本日のメインイベントである旭川市の「旭山動物園」へと向かう。
当麻町の周辺は、見渡す限りの水田地帯が広がっていた。
昨日訪れた富良野エリアは、畑や田んぼ、牧草地が入り混じり、パッチワークのようにバリエーション豊かな風景だった。
こうして地域ごとに、土地の利用法や風景がガラリと変わるのも、ドライブ旅の面白いところである。
旭山動物園に到着した。
平日であるにもかかわらず、駐車場にはかなりの数の車が停まっている。
昨日の「青い池」と同様に、ここでも海外からの観光客の姿が多く見受けられた。
さっそく入園する。

園内の解説パネルや事前知識として知っていたことだが、ここ旭山動物園の最大の特徴は、独自の「行動展示」にある。
ただ檻の中にいる動物を眺めるのではなく、動物たちの本来に近い動きや生態が観察できるよう、展示スペースの構造に様々な工夫が凝らされているのだ。
園内の掲示には、こう書かれていた。
動物たちの本質的な素晴らしさ・たくましさを感じてもらう
これが、旭山動物園の強いこだわりの一つなのだという。
まずはフラミンゴ舎へ。
生でフラミンゴを見るのは、一体何年ぶりだろうか。


続いて、カモなどがいる水鳥のスペースへ。

可愛い子どもたちが、親ガモの後に一生懸命ついて歩いている。

おや、新潟の瓢湖でも観察したキンクロハジロがここにもいた。

次は、大人気の「ぺんぎん館」へ向かう。

館内には水中トンネルがあり、ペンギンが空を飛ぶように泳ぐ姿を下から眺められるようになっている。

残念ながら、私が通ったタイミングでは頭上を泳ぐ姿は見られなかった。
運良く泳いでいるところに遭遇すれば、さぞかし壮観な光景だろう。


続いて、アザラシの展示へ。

北海道を一周するこの旅の中で、いつか自然の海にいる野生のアザラシも見てみたいものだ。
予定では、後日訪れる「襟裳岬」の周辺に、ゼニガタアザラシが生息しているらしいので期待している。
ここには、アザラシが上下に行き来する様子を観察できる有名な円筒型の水槽(マリンウェイ)がある。

さて、お次は……。

北極の王者、ホッキョクグマだ。

さすがに寒冷地仕様の体にはこの暑さがこたえるのか、ぐったりとへばっている様子だった。

ガラス越しでも分かる、その分厚い手の甲と巨大な鋭い爪。

もしこの手で一撃でも引っかかれたら、人間などひとたまりもないだろうと実感する迫力だ。
猛獣たちの息遣いを感じる
次は、愛らしいレッサーパンダの展示へ。

彼らもやはり暑いのか、口を開けてハアハアと息をしている。


そして、迫力の「もうじゅう館」へと足を踏み入れる。
たぶん、生でトラを見るのは人生で初めてのことだと思う。

巨体を揺らし、のっしのっしと檻の中を練り歩く姿は圧巻だ。

そのトラの檻のすぐ隣には……。

眉間に寄ったしわが、なんともおっかない迫力を醸し出しているライオンの姿があった。
実は、ここのライオンの展示と先ほどのトラの展示は、すぐ隣り合わせに併設されているのだ。

ライオンのメスが隣のトラの動きを鋭く窺い、トラの方もライオンたちの存在を常に意識しているような緊張感がある。
これも動物の本来の闘争心や警戒心を引き出す「行動展示」の一環なのだろう。



一方、立派なタテガミを持つオスのライオンは、マイペースにずっと寝ていた。
それでも、その骨格の大きさは、まごうことなき猛獣そのものである。
近くのエリアには、しなやかなヒョウたちも展示されている。



さらに進むと、珍しい「マヌルネコ」に出会った。


ずんぐりとした独特の風貌は、古代からその姿がほとんど変わっていない生きた化石なのだそうだ。
北海道の自然を代表する動物たち
続いては、北海道ならではの動物「エゾシカ」の森だ。

実は昨日の夜、青い池からの帰り道で、いきなり道路に飛び出してきた野生のエゾシカに遭遇して冷や汗をかいたばかりだ。
北海道に来たからには野生のシカに会いたいと願っていたが、この旅を通じて、これから嫌というほど何頭も見かけることになろうとは、この時はまだ知る由もない。
エゾシカの立派な角は、なんと毎年春に抜け落ちて生え変わるらしい。


抜け落ちたエゾシカの角は、北海道の立派な特産品として有効活用されている。
角を加工したキーホルダーや、硬さを活かした犬用の噛むおもちゃなどを、各地の土産物屋でよく見かけた。
エゾシカの展示のすぐ隣には……。

かつては北海道の頂点捕食者だったオオカミ(シンリンオオカミ)の姿があった。

トラに続き、オオカミも生で見るのは初めての経験だ。
今日は暑いせいか、みんな日陰でぐったりと寝ている。

あるいは、彼らが夜行性の動物だから昼間は休息しているのかもしれない。
そして、北海道最強の野生動物がいる「えぞひぐま館」へ。



分厚い毛皮に覆われた巨体を揺らしながら、のそり、のそりと重々しく歩き回っている。
時折、飼育員が出入りするバックヤードのドアの前までやってきて、餌をねだるような仕草を見せていた。
こうして頑丈なガラスや檻を隔てて見る分には、どこかユーモラスで可愛げすら感じる。しかし、もし実際に深い山の中でこの巨体と出くわしてしまったら……想像するだけで絶望的な気分になる。
多彩なサルたちと、癒やしの牧場
続いては「てながざる館」だ。
長い腕を器用に使って移動しながら、まるで歌うような独特の甲高い鳴き声を出している。

その声は遠くまで響き渡り、聞いているとなんだか少し悲哀を感じるような不思議な響きだった。
こちらは、今まで見たことのない珍しいサルだ。

解説板を見ると、「ブラッザグェノン」という種類らしい。
立派な白いあごひげが生えているようで、どこか仙人のような威厳がある。
そして、しっぽを第5の手足のように使うクモザル。

しっぽに入ったシマシマ模様がとても特徴的だ。

「北海道小動物コーナー」にも立ち寄ってみた。
こちらはエゾユキウサギの展示エリア。

パッと見では姿が見えなかったのでじっくり探してみると、大きな葉っぱの間に身を潜めるようにして、丸くなって寝ていた。
キタキツネのコーナーにも行ってみたが、残念ながらどこかに隠れてしまっているようで姿を確認できなかった。
夜行性の傾向が強い小動物は、日中は見えにくい場所に隠れて休んでいることが多いようだ。
のんびりとした雰囲気が漂う「こども牧場」へ。
ここでは、様々な動物の子どもたちと間近で触れ合うことができるらしい。


野生動物だけでなく、身近な家畜として飼われている動物の姿もある。
丸々と太ったブタが、気持ちよさそうにスヤスヤと昼寝をしていた。

続いて、巨大な水槽のある「かば館」へ。

水底を蹴って泳ぐ姿を下から見上げる大迫力の展示だ。
間近で見ると、その皮膚は鎧のように分厚く頑丈そうに見える。

動物園の締めくくりは、「きりん舎」だ。

長いまつげと、優しげでつぶらな瞳。

驚くほど長い舌を器用に伸ばし、高い場所にある葉っぱを巻き取るようにして食べていた。

これで、園内を一通り見終わった。
ブログにはすべて載せきれなかったが、他にもハヤブサ、エゾモモンガ、カピバラ、タンチョウヅルなど、実に多種多様な動物たちが展示されている。
工夫を凝らした行動展示は、大人でも時間を忘れて見入ってしまうほど素晴らしいものだった。
北海道を訪れた際は、ぜひ時間をとって旭山動物園に立ち寄り、動物たちのリアルな姿をご自身の目で確かめてみてほしい。