バスターミナルでリキシャに囲まれる
パトナからのバスで、国境の町ラクソウルに到着したのだった。
バスの外を見ると、たくさんのリキシャが待ち構えていた。
外国人の私などは、さぞかし人気者になるだろう。
はたしてバスの外に出てみると、私の元にたくさんのリキシャの運転手が集まってくる。
こうなるのは分かっていたので、事前にどうするかは決めていた。
指を一本立てて、「グッドホテル ワンハンドレッド」と言う。
ヘタに値段のやり取りをするより、先手を取ってこちらの希望を言ってしまった方が、簡単に事が済むと思ったのだ。
すると、一番前にいた若い運転手が、「俺が連れて行く」と言うので、彼のリキシャに乗ってみることにした。
ここの相場的に、ワンハンドレッドがどのくらいの価値なのか分からないが、そのぐらいなら出しても良いだろうという値段を言ってみたのだ。
パトナの駅前で、リキシャにバススタンドへ連れて行ってもらったときと違い、ここでの交渉は私が有利だ。
ラクソウルにはホテルがいくつかあるが、どれもバススタンドから遠くないし、スマホで場所を調べられるので、リキシャを使わなくても自力で行くことができるからだ。
だからもっと安くできたかもしれないが、あまり安くしすぎると、サービスが悪くなるかもしれない。
ここまでなら出しても良いと思える額を言ってみたのだった。
(後で調べた感じだと、ワンハンドレッドは相場よりだいぶ高い値段だったようだ)
リキシャに乗ってグッドホテルへ
リキシャに乗り込み、グッドホテルに連れて行ってもらう。
街を走っている最中、リキシャの運転手がこちらを向き、「ボーダー?」とか「イミグレーション?」とか聞いてくる。
彼は私が「ホテル」と言ったことを分かっていなかったようだ。
たぶん、ここに来た外国人はすぐに国境へ向かい、ネパール側のビルガンジへ抜けるのが普通なのだろう。
何度か「ホテル」と伝えるが、よく分かっていないようだった。
寝るジェスチャーをしながら「スリープ」と伝えたところ、やっと分かってもらえた。
ラクソウルの街中は、大通り以外はほとんど舗装されていない。
運転手は、そういう道の運転の仕方をよく心得ており、リキシャがバウンドするような場所を通るときは、事前にスピードを落としてくれる。
ラクソウルは、これまでに見てきたインドのどの都市よりも、さらに雑然としていた。
やがてリキシャが、一軒のホテルの前で停まった。
グッドホテルにチェックイン
ホテルに入って行くと、バンコクの八陳号ホステルの店員と似ている人が、フロントにいた。
話をするが、彼は英語が分からないようだった。
私が外国人だと知ると、ホテルのオーナーらしき人と交代した。
一泊の値段を聞いてみると、何と外国人料金が適用され、今までに泊まっていたホテルの二倍以上の料金だった。
どこがグッドホテルだ。
安かったら何泊かして、ラクソウルの街中を歩いてみようと思っていたのだが、この値段では無理だ。
やっぱり明日の朝にラクソウルを出よう。
このホテルが高いとはいっても、日本の安いビジネスホテルよりは少し安いぐらいなのだが、これまでに泊まってきたホテルと比べるとべらぼうに高く感じる。
他に安いホテルを探しても良かったが、面倒なのでこの値段で妥協することにした。
ここラクソウルは、観光地ではないので、長く滞在する人もいないのだと思われる。
だから値段を高くしておいても、泊まる人は泊まっていくのだろう。
私のように。
国境を越えるまでにどのくらいお金がかかるか分からなかったので、ブッダガヤで多めにお金を下ろしておいて良かった。
これからネパールに入ると、通貨はネパールルピーに切り替わる。
余ったインドルピーをネパールルピーに変えると、手数料がかかって損してしまうだろう。
そのため、国境を越えるまでに、できるだけインドルピーを使い切っておいた方が良い。
ただ、国境を越えるまでにどのくらいインドルピーが必要になるか、事前に見当を付けておくことが難しかった。
私は心配性なので、多めにインドルピーを用意していたのだ。
さて、オーナーに泊まりたいと伝えると、これまでのホテルと同じく、パスポートのコピーを取られ、来た場所とこれから行く場所を聞かれた。
インドのホテルでは、客がどこから来てどこへ行くのかを把握しておくのが義務のようだ。
ホテルの部屋に落ち着く
部屋に案内され、サービスの水を受け取った。
今日は何も食べていなかったので、飯を食いに出ようかとも思ったが、腹が減っていないし、出るのが面倒なので止めておいた。
シャワーを浴びるのも面倒で、今日はすぐに休むことにした。
明日は7:00ごろに出発しよう。
荷物は広げず、すぐに出られるようにしておく。
額のティラカ
鏡を見ると、額に赤いマークが付いており、汗でにじんでいた。
ガヤの駅で寄付をした時に額を触られたのだが、そのときに付けられていたのだろう。
これをつけたままここまで来たのか。
ちょっと恥ずかしい。
ただ、インドでもこれから行くネパールでも、額に赤いしるしを付けている人はそこそこ見かけた。
ここら辺の人たちからすれば、私の額に赤いマークが付いていても、特に変だとは思わないのだろう。
Wikipediaによれば、額に赤い装飾をするのはビンディーやティラカというらしい。
ビンディーは、
原則として既婚で、なおかつ夫が存命中のヒンドゥー教徒の女性がつけるもの
だということだ。
私は未婚だし、夫もいない。ヒンドゥー教徒でもないし、何より男である。
全ての条件に当てはまっていないが、あくまで原則とあるので、原則を打ち破ってビンディーを付けられたのかもしれない。
それか、赤いしるしをつけた男からは、私が
既婚で、なおかつ夫が存命中のヒンドゥー教徒の女性
に見えた可能性もある。
一方のティラカについては、
ビンディーと違い性別や既婚/未婚は問わず、聖職者や修行者に多いが一般人でもつけることは多い
とのことであった。
私が付けていたのはティラカということになるのだろうけれど、ビンディーとティラカは混同されることもあるらしい。
一種のファッション感覚で付けるような物なのかもしれない。
ラクソウルの夜
ラクソウルに夜が訪れる。
ホテルの外からは、牛の鳴き声がひっきりなしに聞こえている。
それと、駅が近いので電車の汽笛も聞こえてくる。
不思議とクラクションは聞こえてこなかった。
明日は、いよいよ国境を越える。
歩いて国境を越えるのは初めての経験だし、日本にいると経験できないことだ。
国境はどんなところだろう。
明日に備えて早めに寝ることにしよう。
バカデカイ音楽で目を覚ます
早朝に目を覚ました。
ラクソウルは、ブッダガヤより北にあるからか、ブッダガヤよりも寒かった。
モンベルのシーツを持ってきておいて良かった。
いよいよ今日は国境越えの日だ。
国境はどんなところだろう。ワクワクする。
そんな私の気持ちを代弁するかのように、外では大きな音楽が鳴っている。
いや、音楽のボリュームが大きすぎる。
どうなってるんだ。
どうやらこの音楽で目が覚めてしまったようだった。
二度寝はできなさそうなので、このまま起きていよう。
朝日がきれいだった。
ラクソウルの街を歩く
7:00を過ぎた。
ホテルをチェックアウトして外へ。
ホテルの部屋で聞こえていた音楽が、まだガンガン鳴り続けている。
牛が歩く。
何だか雑然とした街だ。
子犬が固まっている。
カワイイ。
音楽の発生源を見つけた。
ここのスピーカーから、超大音量で音楽が流れ続けている。
大音量で音楽を流しているブースが、街の中に何か所かあるようだった。
何のためにこんな大音量で音楽を流しているのか。
住民は文句を言わないのか。
意味が分からない。
祭りでもやっているのだろうか。
この街はいつもこんな感じなのか。
ラクソウルの大通りへ
駅前の大きな通りに出た。
ここを真っすぐ行き、さらに大きな通りを左に曲がればイミグレがあるはずだ。
霧がかかって良い雰囲気だ。
いかにも国境の街という感じがする。
水辺の近くにイノシシがいた。
あれ、そういえば道の左側に水辺があるということは、イミグレとは逆の方向に歩いているのではないか、、、
方向転換して、イミグレのある大通りに向かった。
国境前のイミグレーションオフィスへ
ラクソウルのメインの通りに出るが、まだ早朝だからか、車通りは少なかった。
国境前の通りなので、日中はかなり混むことだろう。
線路を渡る。
イミグレーションオフィスを発見。