ブッダガヤでさっそく客引きに絡まれる

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ブッダガヤの朝

ブッダガヤに来て二日目の朝。

 

最高の目覚めだ。

 

コルカタの喧騒が嘘のように、ここの夜は静かだ。

たまに遠くでクラクションが聞こえたり、犬の遠吠えが聞こえるぐらい。

 

静かなのは、ここのゲストハウスが、ブッダガヤのメインの通りから離れているからだろうか。

それともブッダガヤという場所自体が静かなのかもしれない。

 

夜、蚊が何匹か顔の周りを飛び回っていた。

顔にかぶるタイプの小さい蚊帳を持って来ていたので、それも大して気にならなかった。

 

今日はブッダガヤに来て二日目だが、昨日はゲストハウスにチェックインしただけで終わった。

ブッダガヤを本格的に散策するのは、今日が初めてとなる。

 

ブッダガヤはどんな場所だろう。

どんな出会いが待っているだろうか。

 

とりあえず日本寺や、仏教の聖地マハーボディー寺院まで行ってみることにしよう。

 

8:30ごろ、外から大音量で太鼓の音が聞こえ始めた。

それに後押しされるように、外へ。

 



さっそく客引きに会う

 

ゲストハウスを出て、まずは大通りまで出てみることに。

大通りの方に直接向かうのではなく、大通りと反対側の裏道に出て、ちょっと大回りしていくことにした。

 

ゲストハウスから出て田舎道を歩く。

 

少し行くと、一軒の家から男が出て来て、バイクにまたがろうとしていた。

 

男が私の存在に気付き、日本語で声をかけてくる。

やっぱりこちらが日本人だというのは、すぐに分かってしまうらしい。

 

日本のどこから来たかなどを聞かれ、男も少し日本にいたことがあると言っていた。

 

少し話をしていると、バイクに乗せてやると言われたので、それは断った。

初めての場所なので自分で歩いて回りたいし、知らない人のバイクに乗るのはためらわれる。

 

男と別れ、道を歩き始める。

 

ブッダガヤのソリマチ

 

角を曲がり、ゲストハウスの北にある通りを東に向かって歩く。

 

のどかで良い所だ。

道の左側は開けていて、はるか遠くまで見渡せる。

 

時折、後ろからリキシャが追い抜いていく。

 

右手を見ると、五重塔?がある。

素晴らしい。

中には入れるのかな?

 

少し大きい通りに突き当り、今度は大通りに向かって南下する。

 

歩いていると後ろからバイクが来て、

「トウキョウマイフレンドガイル」「ワタシオモシロイヒト」「ソリマチッテイウノ」

などと言われる。

 

面白かったが、無視して歩く。

 

そのまま大きな交差点に出た。

今まで歩いてきた通りと交差する、東西に延びる通りがブッダガヤの大通りだ。

 

今度は東へ。

日本寺の方に向かって歩く。

 

再び客引きに会う

 

大通りを歩く。

ここは左右に屋台が出ており、飲食物はもちろん、服や防寒具、電子機器まで売っている。

 

リキシャも多く行き交う。

ここを真っすぐ行けば、有名なマハーボディー寺院に出るはずだ。

 

とりあえず日本寺に行きたいので、大通りをしばらく真っすぐ行った後で、どこかで右に曲がろう。

 

歩いていると、段々と飲食の屋台が多くなり、果物が山積みにされた屋台もあった。

 

ああ、果物が食べたい。

が、屋台で声をかける勇気がない。

後で挑戦しよう。

 

大通りを歩いていると、また後ろから来たバイクから声をかけられる。

よくもまあ、こちらが外国人だとすぐに分かるものだ。

 

出会ったのは、先ほどゲストハウスを出てすぐに会った男だった。

面倒くさいことになりそうだ。

 

悪い人じゃなさそうなので、無下にできない。

かといって、街中を一人でゆっくり見て回るには邪魔になる。

こういうのが一番困る。

 

どこへ行くかと聞かれ、日本寺に行くと答える。

男はあれこれと話しながら、そのまま付いてくるので、振り切れるだろうかと不安になってきた。

 

男に日本寺へ案内してもらいつつ、さあどうしようかと思案する。

 

日本寺に到着

 

日本寺に着いた。

 

確かに日本っぽい感じがする。

後から聞いた話だが、左に見える丸くて大きいものは、仏舎利を納めている場所らしい。

 

大きな菩提樹と、奥に見えるのはお寺の本堂だ。

 

先ほどの男は、本堂まで付いてくるつもりはないらしい。

 

別れの挨拶をしたので一安心。

どうやらここまで案内してくれただけのようだった。

 

さて、本堂へ。

お堂の前には靴箱があり、靴を脱いで上がるようになっている。

 

堂内へ。

 

お堂に入ると、脇のところに、若い男のインドの人がいた。

 

ラフな格好なので観光客かと思ったが、ここを管理している人のようだ。

本堂の周りには、そのような人が何人かいた。

 

ご本尊にお参りし、ここまで無事に連れてきていただいたことを感謝する。

 

上を見上げると天井画が素晴らしい。

 

 

日本寺は落ち着く。

日本風のテイストだが、どこか異国感もあり、それがまた良い味になっている。

 

テープで四角く囲まれた、座れるスペースがいくつかあるので、そこで少し座禅をする。

これからブッダが悟りを開いた場所に向かうわけなので、心をニュートラルにしておきたかった。

 

お堂から出ると、右隣にある保育園から、園児たちの歌声が聞こえていた。

 

日本語の元気な歌だ。

 

この歌は何度も聞いたことがあるが、タイトルが出てこない。

何だったかな。

 

しばらく段差に腰掛け、歌に耳を澄ます。

 

日本を出発して十日ほどが経った。

まだ日本が恋しくはならないが、日本のものに触れるのは良いものだ。

 

さて、マハーボディー寺院に向かおう。

 

客引きが増える

お堂の敷地を出てみると、先ほどの客引きの男がいた。

 

隣にもう一人、人相の悪い男を連れている。

これは面倒なことになりそうだ。

 

二人の関係性を見るに、後から来た男の方が「主」という気がする。

 

この人(人相の悪い男)は、これから話の中に何度か登場してくるので、ガイドの「Aさん」と名付けておくことにする。

文脈から問題なく判別できるときはAさんと書かずに、ただ「ガイドの男」と書くことにする。

 

※賢明な読者の皆様なら、Aがいるなら、いずれBとかCも出てくるのだと気付いたことだろう。

アルファベットはCで打ち止めになる予定である。

 

さて、私が二人と対面すると、最初の男がガイドのAさんを「マイフレンドだ」と紹介してきた。

マイフレンド。

とても便利な言葉だ。

 

Aさんはけっこう日本語ができ、彼がメインで私に話しかけてくる。

話といっても、どこから来たかとか、Aさん自身の自己紹介とか、当たり障りのない話だ。

 

色々と話をした後、Aさんが、これからの私の観光プランを勝手に話し始めた。

 

まずは遠くの前正覚山スジャータ村を見に行く。

その後で、ブッダガヤをゆっくり観光してほしいとのこと。

 

そして日本に帰ってから、ブッダガヤの良さを広めてほしいと言ってくる。

 

ちなみに、前正覚山とスジャータ村は、ブッダにゆかりのある土地であり、今は有名な観光地になっている。

・前正覚山は、ブッダが悟りを開く前に苦行を積んでいた場所。

・スジャータ村は、ブッダが苦行を行った後に、スジャータという娘から乳粥の施しを受けた場所だ。

 

こちらの思惑

とりあえず、今日は前正覚山とスジャータ村に行くのはやめておこう。

 

この人たちが信頼できるか分からないので、一緒に乗り物に乗って遠出するのは避けたい。

 

そういうわけで、「前正覚山には行かない」「私はマハーボディ寺院に行く」と伝える。

 

ガイドのAさんは、「もちろん無理強いはしない」「あなたが行きたいところに行きましょう」と言ってくる。

付いてくる気満々だ。

 

違うんだ。

こうして付き纏われていること自体が、すでに面倒で迷惑だ。

 

私は一人でゆっくり見て回りたいだけなんだ。

 

こういう連中は、魂胆があって話しかけてきているのが明白だ。

ついて来られると、後で碌なことにならないだろう。

 

それならば、はっきりと断れば良いのではと思う人もいるかもしれないが、こちらもこちらで思惑があった。

 

マハーボディ寺院では、入る前に荷物を預けたり、セキュリティーチェックがあると聞いていたので、一人で入るにはちょっと心細かったのだ。

それに、ずっと来てみたかった場所なので、ガイドから説明を受けながら回りたい気もしていた。

 

なんだかんだ言って、この二人はそんなに悪い人でもなさそうな気がする。

 

マハーボディ寺院だけ一緒に回り、その後にうまく別れるような形にしたい。

 

虫が良すぎるだろうか。

いや、相手も相手で思惑があるのだから、私も企みごとの一つや二つ、持っていても構わないだろう。

 

向こうは勝手に付いて来ているわけだし。

 

※この場面を後から思い出したときに、一つ失敗したと思うのは、マハーボディ寺院に一緒に行くときに、ガイド料について聞いておくべきだった。

 

幸い、このときはガイド料を後から請求されたりはしなかったのだが、後から料金を請求されるトラブルもあると聞く。

無料なら無料で、相手から言質を取っておくのは大事なことだ。

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