大雨、エゾシカ、そして旭川へ
後ろ髪を引かれる思いで風呂から上がり、建物の外に出ると、なんと土砂降りの大雨になっていた。

さっきまで少し曇っていた程度だったのに、山の天気は本当に変わりやすい。
急いで車まで走り込み、自販機で買った「アンバサ」で喉を潤す。

疲れ切った後の温泉、そして風呂上がりの冷たい炭酸飲料。これ以上の最高の組み合わせはない。
さあ、気を取り直して今日泊まる場所を探さなければ。
白金温泉を出発し、再び美瑛方面へと戻る。
大雨の中、薄暗い白樺林の道を慎重に車を走らせていた。
その時、道の左側の茂みから、突然エゾシカが飛び出してきた!
雨で視界が悪くスピードを落としており、かなり手前で気付くことができたため、幸いにも衝突は免れた。
飛び出したシカは、そのまま右手の茂みへと消えていく。
よく見ると、左側の茂みにはもう一頭、少し小さめのシカがこちらの様子を窺いながら待機していた。
ニュースなどで「北海道では野生動物との衝突事故が多い」とは聞いていたが、間近で見たシカの巨体を思い返すと、もしぶつかっていれば車もただでは済まなかっただろうと冷や汗が出る。
この日を境に、野生のシカとは旅の中で何度も遭遇することになる。
運転時の野生動物対策として、鹿よけ笛なるものがあるらしい。
車に取り付けておくと、高い音を出し、周りの野生動物に車が近づいていることを教えることができるそうだ。
さて、白樺の林を抜けると、道の両側は再び田んぼと畑に変わり、急に視界が開けた。
それと同時に雨の勢いが弱まり、やがてピタリと止んだ。
さらに進むと、路面が全く濡れていないことに驚く。どうやら雨が降っていたのは、大雪山の麓周辺の局地的なものだったらしい。
青い池から美瑛市街までは、あっという間だった。
時刻をにらみ、「今日中にこのまま旭川まで行ってしまおう」と決断する。
旭川での初体験と、旅の回想
美瑛から旭川までの道のりも、それほど時間はかからなかった。
旭川市内の道の駅を目指したが、入り口が分からず周囲を行ったり来たりと迷ってしまった。

ようやく辿り着いた道の駅には、すでに数え切れないほどの車が車中泊の準備をして停まっていた。

時刻はすっかり遅くなっており、道の駅の施設はとっくに閉まっている。
しかし、今日は休む前にもう一つ、やらなければいけないミッションがあった。
新潟からフェリーに乗って三日目。
連日の暑さで何度も着替えをしたため、車内には洗濯物が大量に溜まっていたのだ。
どうしても今夜のうちにコインランドリーで洗濯を済ませておきたい。
実は私、コインランドリーを使うのは人生で初めての経験だった。
最初は勝手がわからず戸惑ったが、説明書きの通りに使ってみると、拍子抜けするほど簡単なものだ。
自分の洗濯物の量に合ったサイズの洗濯機を選び、コースのボタンを押し、お金を入れる。
たったこれだけで、洗濯から乾燥までを全自動でやってくれるのだからありがたい。
一人分の洗濯物なら、一番小さいサイズの洗濯機で十分だった。
乾燥後、もし生乾きの部分があれば、併設されている乾燥機に放り込んで追加乾燥させれば完璧だ。
全行程が終わるまで、およそ40~50分。
洗濯機が回る音を聞きながら、ベンチに座って今日一日を回想する。
今日たどった道のりは、以下の通りだ。
早朝に道の駅「マオイの丘公園」を出発し、夕張、日高、占冠、富良野、美瑛、そしてここ旭川まで。
今日はかなりの長距離を移動し、数多くのスポットを駆け足で回った。
もっと一つ一つの場所をゆるやかに味わいたいのが本音だが、家の事情もあり、旅に使える日数は限られている。
それでも、事前に立てていた大まかな予定に対し、今日はかなりの距離を稼ぐことができた。
明日以降は、もう少し心に余裕を持って観光できそうだ。
それにしても、札幌に劣らず、旭川も車の量が非常に多い。
入り組んだ市街地で道の駅を探すのに疲れ、そこからさらにコインランドリーを探すのにも神経をすり減らした。
広大で独特のペースがある「北海道の運転」に、私はまだ慣れていない。
日中に通り抜けた富良野も、ものすごい数の車と観光客だった。
魅力的な観光地がたくさんあるはずなのに、人混みを避けるように、ほとんど素通りしてしまった自分がいる。
もっとのんびりとした、車も人もいないような静かな場所に行きたい。
何となく、漫画版『三国志』の諸葛亮孔明の言葉を思い出した。
曰く、「人あるところに人なく、人なき所に人あり」と。
道の駅とうまで迎える静かな夜
旭川市内の道の駅は人が多すぎて落ち着かなかったため、洗濯を終えた後、少し足を伸ばして隣町の「道の駅とうま」まで移動し、今日の行動を終えることにした。

まだ夕食を食べていなかったので、ここへ来る途中にまたしても「セイコーマート」に寄り、夕食を調達してきた。

夕食のお供は、北海道限定の炭酸飲料「リボンナポリン」だ。

初めて見たパッケージだったので気になって買ってみたのだが、マイルドな三ツ矢サイダーのような、どこか懐かしい味わいで美味しかった。
夕食を食べ終えると、長距離運転と情報量の多さによる強烈な疲労感が押し寄せてきた。
目を閉じると、あっという間に深い眠りに落ちた。
