絶景ドライブから羅臼町郷土資料館へ。アイヌ文化とオホーツクの歴史を学ぶ

車で北海道一周💼 旅の記録


オホーツク海を望む絶景の峯浜パーキング

羅臼国後展望台を出て、海岸沿いを南へ車を走らせる。
次の目的地は「羅臼町郷土資料館」だ。

 

しばらく走ると、郷土資料館の手前の海岸沿いに見晴らしの良い駐車場があった。

 

 

後で調べてみると「峯浜パーキング」という名前のようだ。

 

峯浜パーキングの看板

 

カメラマークの看板がある通り、展望の良いフォトスポットになっている。
せっかくなので車を停めて、写真を撮ることにした。

 

峯浜パーキングからの海の景色

 

地図を見ると、この辺りの海はまだ「オホーツク海」に区分されるようだ。
もう少し南下して、根室の納沙布岬を越えると太平洋沿岸になるらしい。

 

岩場に打ち付ける波

 

オホーツク海と海岸線の風景

 



廃校を利用した羅臼町郷土資料館へ

この辺りは峯浜町というそうだ。
住所を確認すると「北海道 目梨郡 羅臼町 峯浜町」となっている。
「町」の後にまた「町」が続く地名は、少し珍しい気がする。

 

駐車場を出発し、少し走って羅臼町郷土資料館に到着した。

 

 

小学校の建物をそのまま郷土資料館として再利用しているらしい。

 

小学校の面影を残す羅臼町郷土資料館の外観

 

木造の校舎を見ると、何だかとても懐かしい気持ちになる。
入って左手にある受付に立ち寄り、さっそく館内へ進む。

 

郷土資料館の廊下

 

展示室の入り口

 

廊下の一角に、ヒカリゴケの展示があった。

 

緑色に光るヒカリゴケの展示

 

マッカウス洞窟が立ち入り禁止で見られなかったので、ここでじっくり観察していくことにした。
本当に不思議な色で光っている。

 

一階展示:オホーツク文化とアイヌの信仰

一階の展示室では、縄文期からオホーツク文化期にかけての出土品などが紹介されている。
オホーツク文化とは、本州が飛鳥時代から鎌倉時代だった頃に、北海道の沿岸部で栄えていた文化だ。
その後、本州が室町時代から江戸時代へと移り変わるころに、北海道ではアイヌ文化が広まっていったという。

 

羅臼町付近で出土した土器がずらりと並んでいる。

 

出土した土器の展示1

 

出土した土器の展示2

 

日本最古の銀製品や、巨大な黒曜石なども展示されていた。

 

獣の骨の化石などもあり、当時の狩猟生活が窺える。

 

獣の骨の化石

 

次の部屋は、国指定重要文化財の展示室だ。

 

国指定重要文化財の展示室

 

ケースの中には、貴重な遺物がたくさん並んでいる。
骨で作られた精巧な鍬や釣り針は、見事な造形だ。

 

骨で作られた道具類

 

オホーツク文化期の竪穴住居の模型もあった。

 

オホーツク文化期の竪穴住居模型

 

解説によると、オホーツク文化の時代には、すでにクマ送りの儀式が行われていた形跡があるらしい。

アイヌのクマ送りは「イヨマンテ」と呼ばれ、漫画『ゴールデンカムイ』でも詳しく描写されていた。アイヌ文化の奥深さを知るなら、この作品はぜひ読んでおきたい一冊だ。
ゴールデンカムイ 1巻

 

アイヌにとって、ヒグマはカムイ(神)の一種である。
イヨマンテは、神である熊を神の国へ送り返す大切な儀式だ。
小熊を大切に育て、土産を持たせて神の国へ送り返すことで、「アイヌの土地は良い所だ」と神の国で触れ回ってもらうという目的があるという。

 

ところで、アイヌ関係の書籍を読んでいると「カムイ(神)」という言葉が頻繁に出てくる。
動物の名前にカムイが付いていたり、昔話には「火のカムイ」や「山のカムイ」が登場したりする。
アイヌの人々にとって、カムイは非常に身近な存在だったのだろう。

 

そう考えると、「カムイ」という言葉に「神」という漢字をあてるのは、少しニュアンスが違う気がしてくる。
少なくとも私にとって「神」は身近な存在ではないし、動物を見て「神」を思い浮かべる感覚はない。
私が「神」という言葉からイメージするのは、雲の上に立ち、頭に光輪を乗せて杖を持った一人のおじいさんか、あるいは『ドラゴンボール』の界王様のような存在だ。

 

アイヌ語を日本語に訳す際、概念的に似ていたから「神」という字を当てたのだろうが、「神」という言葉の枠に当てはめすぎると、彼らの自然観の本質を見失ってしまうかもしれない。
アイヌの人々が「カムイ」という言葉から描くイメージは、一体どんな景色なのだろうか。

 

文化展示の様子1

 

文化展示の様子2

 

充実の二階展示:羅臼の産業と自然

一階を一通り見終え、階段を上がって二階へ向かう。

 

郷土資料館の二階へ続く階段

 

二階は、産業や動植物など、教室ごとにテーマが分かれた展示になっている。
こちらも展示量が多く、かなり見ごたえがありそうだ。

 

二階の廊下

 

まずは産業の部屋へ入る。

 

産業の展示室

 

ここでは、羅臼町周辺の漁業の歴史が詳しく紹介されていた。

 

羅臼も、昔から漁業が主要な産業だったようだ。

 

昔の漁具の展示

 

他の沿岸部と同じく、かつてはニシン漁で栄えていたが、やがてニシンが獲れなくなってしまったという。

 

ニシン漁の歴史を伝える展示

 

明治から大正、昭和にかけてニシン漁が衰退していく中、羅臼ではイカ漁が注目され始めた。
昭和の最盛期には、海を埋め尽くすほどのイカが押し寄せたそうだ。

 

イカ漁の最盛期の写真

 

しかし、時代とともにそのイカも徐々に獲れ高が減っていったという。
海の資源を相手にする産業の厳しさを感じる。
部屋の奥には、昔使われていた生活道具も展示されていた。

 

昔の生活道具の展示

 

石炭を入れて温める昔のアイロン。

 

石炭アイロン

 

これで温度調節をするのは、至難の業だっただろう。

 

他の教室には、北海道の動植物の展示がある。

 

動植物の展示室

 

野鳥の剥製がずらりと並ぶ。

 

野鳥の剥製群

 

北海道の旅で何度も見かけたキビタキの姿もあった。
どの部屋も、驚くほど展示が充実している。

 

海生哺乳類の部屋へ。

 

海生哺乳類の展示室

 

さすがに本物の剥製ではなく模型だが、造りが細かく解説も詳細で面白い。

 

クジラやイルカの精巧な模型

 

植物の部屋。

 

植物標本の展示

 

昆虫の標本が、ケースにびっしりと並べられている。

 

壁一面の昆虫標本

 

個人の収集とは思えないほどの、見事なコレクションだ。

 

続いて、文化を伝える展示室へ。
アイヌの人々が使っていた道具が展示されている。

 

アイヌの民具の展示

 

鮭皮で作られた靴チェプケリ

 

チェプケリという、鮭の皮で作られた丈夫な履物。

 

アイヌの伝統的な家屋「チセ」の模型もあった。

 

アイヌの家屋チセの模型

 

「知床いぶき樽」の部屋へ入る。

 

知床いぶき樽の展示室

 

冬の間、雪に閉ざされてしまう羅臼地方では、食物の保存に木樽が欠かせなかった。

 

大きな木樽の展示

 

その保存用の樽を、盆踊りなどで拍子をとる楽器として流用したのが始まりだそうだ。
現在でもお祭りなどで演奏が行われているのだろうか。

 

最後に、北方領土の展示室を見学する。

 

北方領土の展示室

 

貴重な古文書の数々が残されている。

 

貴重な古文書の展示

 

戦前、国後島に勤めていた福井友三郎さんという方の考古資料コレクション。

 

福井友三郎さんの考古資料コレクション

 

二階の展示もすべて見終え、充実感とともに郷土資料館を後にした。
帰りに受付でアンケートを書き、記念のしおりをもらって車へ戻る。

 

郷土資料館でもらった記念のしおり

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