深川からサンフラワー北竜へ。温泉とセコマに癒やされる3日目の夜

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デジタル時代に想う「手紙」の価値

 

重い空気が漂う神居古潭を出発し、国道233号を西へと進んでいく。

 

途中、深川市の市街地に立ち寄り、地元のイオンで簡単な昼飯を購入した。

 

深川市のスーパーで購入した昼食

 

食事を済ませた後、通りがかりに見つけた郵便局に寄り、地元の知人宛てにポストカードを投函した。

 

SNSやメッセージアプリが完全に普及しきった現代では、「手書きの手紙をポストに出す」という文化は急速に廃れつつある。
しかし、文章を無料で、しかも一瞬のうちに送れてしまう今の時代だからこそ、旅先でわざわざペンを取り、切手を貼り、時間と手間をかけて送る「手紙」という行為には、より大きな価値と温もりが宿るのではないだろうか。

 

ところで、観光地で売られている「ポストカード」は、自分用のお土産としても非常に優れていると思う。
値段も手頃で、何よりかさばらないため、狭い車中泊の旅でも保管場所に困らない。
美しい写真が印刷されたカードは、後から旅の思い出を鮮やかに蘇らせてくれる最高の品だ。
この北海道一周の旅でも、私は行く先々で気に入ったポストカードを買い集めるようにしている。

 

郵便局を出て再び道路を走り始めると、北海道らしい、どこまでも真っすぐに続く一本道が視界の彼方まで伸びていた。
アスファルトに照り付ける強い日差しのせいで、遠くの路面に「逃げ水」がゆらゆらと揺れているのが見える。

 



道の駅「鐘のなるまち・ちっぷべつ」

 

ひたすら直線を走り続け、秩父別町(ちっぷべつちょう)に到着した。

 

秩父別町ののどかな風景

 

「道の駅 鐘のなるまち・ちっぷべつ」の広い駐車場に車を停める。

 

 

道の駅 鐘のなるまち・ちっぷべつの外観

 

「ちっぷべつ」という文字の並びと響きから、どこかコミカルで親しみやすい面白さを感じる。
以前訪れた占冠(しむかっぷ)と、難読かつ個性的な響きという点で良い勝負だ。

 

この道の駅の敷地内には、街のシンボルである巨大な展望台と、立派な日帰り温泉施設が併設されていた。

 

道の駅にそびえ立つ大きな展望塔

 

運転の息抜きも兼ねて、少し展望台に登ってみることにする。

 

展望台の階段を登る

 

上からの眺めを楽しむ

 

展望台から見下ろす秩父別町の市街地

 

青空の下に広がる広大な農地

 

地平線まで続く平野

 

上からの景色は絶景だった。
町の規模こそ小さいものの、平野の中にポツンとある長閑な雰囲気がとても良い。

 

道の駅周辺の散策路

 

綺麗に整備された花壇

 

こうしてあちこち走り回っていると、北海道の各町ごとに、全く異なる独自の雰囲気や空気感があることに気付く。
予定を詰め込まず、一つの町に滞在してゆっくりと時間を過ごすような旅のスタイルも、いつかやってみたいものだ。

 

道の駅「サンフラワー北竜」と極上の温泉

 

秩父別を出発し、さらに西へ。
今度は北竜町にある「道の駅 サンフラワー北竜」に到着した。

 

 

道の駅サンフラワー北竜の入り口

 

この周辺は広大な田畑ばかりで遮るものが何もなく、そのせいか風がとても強く吹き抜けている。

 

強風に揺れる木々

 

道の駅周辺の広々とした田園風景

 

お城のような外観の道の駅

 

サンフラワー北竜は、道の駅でありながら立派な宿泊施設や日帰り温泉「サンフラワーパーク北竜温泉」が併設された巨大な施設だ。

 

立派な温泉施設の入り口

 

入り口の看板を見ると、ここ北竜町は「太陽を味方につけた町」という力強いキャッチコピーを掲げていた(夏には見渡す限りのひまわり畑が有名らしい)。
なんてスケールが大きく、頼もしいスローガンだろうか。この町なら、どんな自然の危機があっても力強く乗り越えられそうな気がしてくる。

 

至福の「北竜温泉」で長旅の疲れを洗う

 

温泉施設の立派な館内

 

男湯の暖簾

 

さっそく、楽しみにしていた日帰り温泉へ。
サンフラワー北竜のお湯は、うっすらと黄色がかった透明な温泉で、気になるような強い臭いはない。
肌に触れると少ししょっぱく、湯上がりは驚くほど肌がスベスベになる極上の泉質だった。

 

体を温めた後、露天風呂へと移動する。
広大な田園地帯を渡ってきた強い風が、火照った顔に心地よく吹き付けてくる。
湯の温かさと外気の涼しさが絶妙なバランスだ。
自分の心身が、お湯と、そして北海道の風と完全に一体になって溶けていくような感覚に包まれる。このまま永遠にここに入っていられるとすら思えた。

 

夜の荷物整理と、北海道の味覚

 

芯まで温まった体で入浴を終え、使ったタオルを車内に干してから、日課である荷物の整理を始める。

 

日中、あちこちを観光して行動している間は、どうしても買ったお土産や使った道具類を、適当に後部座席へ放り込んで散らかしてしまう。
そのため、その日の活動を終えた夜に、車内を一度リセットして整理し、翌日の準備まで済ませてしまうのが旅の重要なルーティンになっているのだ。

 

この旅も三日目の夜を迎えた。
車に積んできた大量の荷物の中で、実際に「使うもの」と「全く使わないもの」が、自分の中ではっきりと分かってきた。
万が一のために積んできたテントや自炊用のバーナー、重い300mmの望遠レンズ、そして大きな三脚などは、今の旅のスタイルでは出番がない。これらはまとめてトランクの奥深くへと押し込んだ。

 

車内がすっきりしたところで、近くの「セイコーマート」へ夕食の買い出しに向かう。

 

セコマのパスタとソフトカツゲンの夕食

 

私見だが、セコマの神髄は、このプラスチックパックに入った100円台のパスタ類(ペペロンチーノやナポリタン)にあると思う。
驚くほど安いのに、旨味があって本当に美味しいのだ。
値段なりに量は少なめだが、ここにフライドチキンやおにぎりなどをもう一品付け足せば、立派な夕食として十分なボリュームになる。

 

飲み物は、北海道民のソウルドリンク「ソフトカツゲン」を選んでみた。
味は、カルピスに少し酸味を足して、全体の甘さをスッキリと控えめにしたような乳酸菌飲料だ。
風呂上がりの体に、このさっぱりとした酸味がたまらなく美味しい。

 

ふと気付けば、北海道に上陸してからというもの、三食すべてをコンビニ(主にセコマ)の弁当やパンで済ませている。
いくら美味しいとはいえ、せっかくの北海道なのだから、もう少し新鮮な海産物などを食べたいという思いも湧いてきた。
明日からはようやく内陸を抜けて海岸沿いを走るルートになるので、地元の食堂などを少し探してみようか。

 

3日目の行程と、孤独な夜の回想

 

今日一日で走ったルートを振り返る。
朝、当麻町の道の駅を出発し、小沢ダムで野鳥を探し、当麻鍾乳洞を探検。午後は旭山動物園を満喫し、北鎮記念館で歴史を学び、夕方に神居古潭を訪れた。そして今、北竜町にいる。

 

 

スポットにはたくさん立ち寄ったが、純粋な移動距離としては昨日よりもだいぶ短い。

 

シュラフに潜り込み、ぼんやりと思考を巡らせる。
新潟の港を発ってから四日目。フェリーを降りて北海道を走り始めてから、丸三日が経とうとしている。
決してホームシックになっているわけではないのだが、自宅のマグカップで淹れる熱い紅茶や、香りの良いドリップコーヒーの味が、ひどく恋しくなってきた。

 

これまでの三日間は、札幌、小樽、旭川といった大きめの市街地周辺を走ることが多かった。
そのため、常にカーナビや地図アプリと睨めっこしながら、複雑な道を神経を尖らせて走ってきた。
しかし、明日からは日本海沿いにひたすら北上する一本道、「オロロンライン」へと入る予定だ。細かいルート選択に頭を悩ませる必要は、しばらくなくなるだろう。

 

今日、長い直線道路を運転している最中、ふと奇妙な感覚に囚われた。
「自分が今ハンドルを握っているここは、本当に北海道なのだろうか? どこか全く別の、見知らぬ場所に迷い込んでしまったのではないか」と。

 

新潟からフェリーに乗って小樽に着いたはずなのに、実は睡眠中に全く別の架空の土地で降ろされ、そこを延々と走らされているような……そんなSFチックな妄想だ。
もちろん、そんな馬鹿げたことがあるはずはない。
しかし、そんな錯覚に陥ってしまうほど、私にはこの北海道という広大な土地に対する「土地勘」が全く欠落しているのだ。

 

東西南北のどちらの方向に、どんな街や山があるのか、肌感覚として全く掴めていない。
ただカーナビの指示する赤い線に従って、無機質に車を走らせて目的地に向かっているだけ。その不安感と孤独感が、そんな妄想を生み出したのだろう。
こんな心細さもまた、知らない土地を一人で長距離旅してみないと決して味わえない、貴重な感覚なのかもしれない。

 

北海道の夏は、昼間は30度近くまで上がって暑いが、日が暮れると急激に気温が下がる。
そのおかげで、寝苦しさはなく夜は快適に眠りにつくことができる。

 

しかし、深夜。ふと目を覚ましてしまった。
胃に重しが乗ったような、嫌な胃もたれ感があって苦しい。連日のコンビニ弁当が祟ったのだろうか。

 

体調が優れない時、見知らぬ土地での一人旅というのは、底知れぬ不安に襲われるものだ。
街灯もない真っ暗な駐車場。車の外からは、無数のカエルたちの鳴き声だけが、遠くから単調に響き続けていた。

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