タメル十二日目の朝
タメルに来て十二日目の朝。
昨日の夜も咳がひどかった。
コルカタで風邪をひいた後、夜や朝にひどく咳が出るようになっていた。
風邪をひいてから半月以上も経ち、帰国の時が来たが、まだ咳は止まらない。
日本に帰って療養しよう。
今日はトリブバン国際空港で、帰国のためバンコク行きの便に乗る予定だった。
移動の日は、いつも不安が付き纏う。
空港までの足が見つかるか、飛行機に乗れるか、両替が上手くいくか、、、
初めての場所に行くときは不安だらけだ。
ネパールに来るときは、インドとネパールの国境を通ったため、トリブバン国際空港で国際便に乗るのは今日が初めてだった。
空港自体は、マウンテンフライトの時に、国内線ターミナルに一度立ち寄っている。
まあ、いつも何とかなってきたので、今日も何とかなるだろう。
トリブバン国際空港でチェックインし、飛行機に乗ってしまえば、見知ったドンムアン空港に着く。
そうすれば日本まですぐそこだ。
荷造りについて
荷物の整理は、昨日にほとんど済ませていた。

土産を結構買っていたのだが、荷物をまとめてみると、手荷物として飛行機に持ち込むのは問題なさそうだ。
私は荷物を預けず、全て飛行機に持ち込むことにしていた。
そうすれば料金もかからないし、余計な手続きを省ける。
さらに、荷物を機内に持ち込めるぐらいのサイズにしておけば、身軽に旅ができる。
荷物を機内に持ち込む際は、たいていの場合、7kgの重量と、サイズの規定をクリアしなければならない。
この規定は航空会社によって変わることがあり、一部の航空会社では規定が厳しかったりする。
旅立つ前から、この規定をクリアしつつ、できるだけ荷物を軽くすることに執心していた。
荷物をたくさん持って行っても、必ず使わない道具が出てくる。
緊急時に必要な物や、よく使う道具は持ち込みながら、いかに使えそうで使わない物を省けるかが、荷造りのポイントだ。
荷造り後、さらに荷物を軽くするため、インドでずっと履いていたサンダルと、服を一枚置いて行くことにした。

もったいない気もするが、どちらもホコリで白く、ボロボロになっていた。
ホテルプレジャーホームをチェックアウト
ずっと気になっていたが、空港に入れるのは何時からだろう。
国によっては、空港の建物に入れる時間が、「フライトの○時間前から」というふうに決まっていたりする。
インドでは空港に警備員がおり、国際線に乗る場合、フライトの4時間前からしか中に入れてもらえないようだった。
トリブバン国際空港も同じような形になっているかもしれない。
とりあえず、時間に余裕を持たせてホテルを出ることに。
カウンターまで行き、チェックアウトの旨を伝える。
チェックアウトの際、やはり行先を聞かれた。
インドとネパールで泊まったホテルはどこも、客がどこから来てどこへ行くのかを把握しておかないといけないらしい。
手続きの最中、オーナーが通りかかったので、挨拶しつつ空港に入れる時間を聞いてみることに。
オーナー曰く、やはりフライトの3時間前からじゃないと、空港に入れないようだ。
私のフライトは15:00出発なので、空港には12:00以降に到着しなければならない。
オーナーによれば、タメルから空港までは、タクシーで30分ほど。
まだだいぶ時間がある。
私はせっかちで心配性なので、早く着くのは得意だが、どこかで時間を潰すのは苦手だった。
気が急いてしまうのだ。
チェックアウトを終え、ホテルの皆さんに礼を言いつつ、ホテルを出る。

このホテルプレジャーホームに11泊させてもらった。
タメルを少しブラブラ
まだ時間があるので、タメルをブラブラして行くことにした。

ホテルの中で待たせてもらっても良かったが、何となく最後にタメルを歩いておきたかった。
宛てもなく、ホテルの南へ向かって歩く。
正面に見える交差点を越え、さらに真っすぐ行くと、タメル南側の市場エリアに出る。

タメルの南側は、土産物の店がなく、店頭には肉や野菜などが並んでいる。
建物も観光地エリアより古めかしい。
通りを学生が歩いていたりして、普通の市民が暮らしているような感じの場所だ。
私はこの南側の雰囲気が好きだった。
交差点の左手に、陶器を売っている店がある。

この交差点は何度も通り、陶器の店もすっかり見慣れてしまった。
南側をブラブラし、今度は北に向かう。
タメルの中心部へ。

ここはタメル随一のおしゃれな通りだ。

前に食べたさんちゃんラーメンもこの通りにある。


中心部や北の方は、完全に観光客向けのエリアという感じだった。

おしゃれで高そうな店が並んでいる。
昨日訪れたサードアイレストラン。

ここのカレーは特に美味かった。

タルチョがはためく通り。

前に訪れたピルグリムブックハウスや、ダチョウのステーキを食べたレストランもこの通りにある。



しばらくブラブラしたが、まだだいぶ時間がある。

昨日も入ったヒマラヤンジャバコーヒーへ。
ヒマラヤンジャバコーヒーで時間を潰す
洒落た店内。

朝食に、バナナケーキとコーヒーを注文。

コーヒーが思っていたのと違った。
今までよく飲んでいた、こういう物を頼みたかったのだ。

名前がよく分からず、テキトウに頼んだら、思っていたよりだいぶ少ないのが来てしまった。

コーヒーをチビチビ飲みながら、時間を潰そうと思っていたのだが、仕方ない。
バナナケーキ美味い。

丁度良い時間まで、コーヒーを飲んで過ごす。
タメルで空港までのタクシーの交渉をする
時間が近くなってきたので、そろそろタクシーを拾って空港に向かおう。
これは別の日に撮った写真だが、大体のタクシーはルーフが黄色で、何故か車種がSUZUKIであることが多い。

タメルを歩いていると、タクシーが固まっている場所がいくつかあるし、道端で客待ちしていることもあるので、拾えないことはないと思う。
ヒマラヤンジャバコーヒーを出ると、すぐにタクシーが見つかった。
ここから空港までの料金交渉をするわけだが、今までに何度かリキシャに乗り、料金交渉のコツが分かってきた。
その土地に少しいると、何となく物の値段などの相場が分かってくる。
タクシーの料金も、この距離ならこのぐらいではないかという、見当が付くようになる。
知り合った人に相場を聞いておいても良い。
何となく相場を把握しておき、次は料金交渉の落としどころを決めておく。
相場と同じか、外国人なら吹っ掛けられるかもしれないので、早く交渉を終えたいなら、相場よりちょっと高いぐらいに設定しておいても良い。
タクシーに近付いて目的地を伝え、あらかじめ設定していた値段より、少し下の値段を言ってみる。
運転手はこちらを地元の人間だと勘違いしたのか、一瞬「OK」と言いかけた。
ところが、こちらの身なりを見て、私が言ったのより高い値段を言ってきた。
惜しい。
交渉の時はこのように、こちらから先制攻撃で値段を言ってみるのが良いと思う。
最初にハウマッチと聞くのではなく、「ワンハンドレッド」とか「ファイブハンドレッド」とか値段を言ってみる。
ハウマッチと聞くのは、こちらは相場を知らないと相手に教えているようなものだ。
今回は、目的地の場所が分かっているし、周りに客待ちのタクシーもたくさんいる。
最悪、空港まで歩いていくことだってできるのだ。
今回の交渉はこちらが有利なので、強気で交渉ができる。
逆に、こちらが不利なときはハウマッチと聞き、相手の言い値で乗ったこともあった。
ガヤからブッダガヤに向かった時や、パトナでバスターミナルを探していた時だ。
これらの時は、相場も分からなかったし、初めての場所だったので、土地勘も無かった。
バスターミナルを探していた時は、運転手の言い値で出しておけば、バスを探すのも手伝ってくれるのでは、という下心もあった。
ともかく今回は強気で交渉し、あらかじめ設定していた落としどころで簡単に交渉が成立した。
思い返せば、半年前に初海外でバンコクに行ったときは、右も左も分からず、交渉どころではなかった。
道端を歩いていて、今日はブッダホリデーだからトゥクトゥクが安くなると騙され、スーツファクトリーに連れて行かれたこともあったっけ。
インドに来たばかりのころも、客引きたちの扱い方が分からず、道を歩くのが怖かった。
そんな最初のころに比べ、強くなったなあと自画自賛する。
ちなみに値段について、550とか730とか端数が出る場合は、「ファイブヒフティー」「セブンサーティー」というふうに、「ハンドレッド」を抜かして言うのが、こちらの習慣になっている。
私も今回の料金交渉をするときに、それがすっと出てきたので、そんなことも嬉しかった。
このハンドレッドを抜かす言い方は、言いやすくて理にかなっている。
タクシーに乗ってトリブバン国際空港へ
さて、タクシーに乗り込み、改めて目的地を伝える。
前のページにも書いたが、トリブバン国際空港は、国内線・国際線・到着で建物が分かれている。
運転手に予め、「インターナショナル」とも伝えておいた。
タクシーがタメルの狭い道を突き進む。

本当に、この辺りのドライバーは、よくこんな細い道を走れるなあと思う。
道路はそこそこ混んでいるが、やはり30分ぐらいで空港に到着できそうだ。

道にところどころ既視感がある。
パシュパティナートへ行くときに歩いた道なので、それも当然か。
途中、渋滞に捕まって動けなくなった。
止まっているタクシーに、路上で水を売っている人がやってきて、運転手が水を買っていた。
ちょうど30分で、タクシーは空港の敷地内に入った。