コルカタにいたころのページに書いたことがありますが、私は元々、飲食店に入るのが苦手でした。
ですが、インドやネパールで様々な飲食店に入ったところ、だいぶ苦手意識が改善されたように思います。

このページでは旅の番外編として、私のように飲食店に入るのが苦手な方に向け、飲食店への入り方のコツなどを書いています。
また、日本とインドネパールとの、飲食店の違いについて書いています。
私が飲食店に慣れていった経緯
飲食店に入るのに抵抗がない方からは、飲食店に入るのにコツがいるのか、と思われるかもしれません。
ですが、私は日本にいる時から、飲食店に入るのが得意ではありませんでした。
そういう人間にとっては、飲食店に入ることは一大事ですし、ましてや海外の飲食店に入るなどとても勇気がいることです。
私は、特に人付き合いが苦手というわけではなく、仕事では営業をやっていましたし、それを苦にしたこともありませんでした。
ただ、仕事以外でやり取りをするのが面倒くさく、できるだけ人との関りを避けたいというのが、飲食店を避けていた理由です。
日本やタイであれば、街中にたくさんコンビニがあるので、そういう場所で買ってどこかで食べることもできます。
コンビニであれば余計なやり取りも必要ないため、入るのも、商品を買うのも気兼ねなくできます。
ところが、インドやネパールにはコンビニがないため、そういう逃げ道もありませんでした。
そんなわけなので、最初にインドのコルカタに着いた時は、毎日、食事が憂鬱でなりませんでした。
それでも、レストランに行ってみれば暖かく歓待してもらえることもあったりして、インドの人たちの優しさにずいぶん助けられたものです。
とはいえ、飲食店への苦手意識は、そう簡単には無くなりませんでした。
次に行ったブッダガヤでは、ロータスレストランというところに通いました。
一度でも行ったことがある場所は、通いやすくなり、何度も通いたくなります。
結局、他の所に一度だけ行きましたが、ブッダガヤでの滞在中は、ほぼ毎日ロータスレストランに通い続けました。
食べる物も毎日同じで、モモとベジスープです。

ただ、このころから、コーヒーが恋しくなってカフェに行ったりもし始めました。


どこに行っても邪険にされることはなく、徐々に飲食店に慣れ始めました。
それからネパールに入り、峠の食堂でダルバートを食べたりしながらタメルへ行きました。

タメルに行ってからは、ずっと食べたかった日本食を食べ歩きました。


タメルには日本料理屋がたくさんあります。
さすがに日本食を食べ飽きたころ、今度はここでしか食べられない物を食べようと思い、色々なレストランに行ってみました。


このころには、あまり飲食店に入ることに抵抗がなくなり、食べたいものを食べられるようになってきました。
カフェにも何度も入っています。

このような感じで、段々と飲食店やカフェに入るのに慣れていきました。
日本に帰った後も、今まで入ったことのなかった、個人がやっているような食堂にも抵抗なく入れるようになりました。
飲食店に入る流れ
では、ここから飲食店に入るときの一般的な流れを書いておきます。
店に入ったら、まず店員を探しましょう。
店員はこちらを向いていることが多いので、店員に目を向け、店員が挨拶してきたら挨拶を返しましょう。
店員がこちらに寄ってきたら、「ワンパーソン」などと指を一本立てて伝えれば、どこの席に着いたら良いか案内してくれます。
もし店員が寄ってこなかったり、何も言われなければ、空いている席に着きましょう。
店員がメニューを持って来てくれるはずなので、注文を決めます。
注文が決まったら、店員の方を見れば、店員が来てくれると思います。
店員が気付かなければ、声をかけても良いでしょう。
店員が注文を取りに来たら、メニュー名を伝えます。
メニュー名の発音に自信がなければ、メニューを指さしながらメニュー名を伝えても良いでしょう。
もしくは、メニューを指さして、「ディスワン アンド ディスワンプリーズ」などと言いながら、注文を伝えていくこともできます。
食事が運ばれてくるので、食べ終えたら会計です。

会計の時は、大体入口の近くにレジがあると思うので、財布を手にしてそこまで行けば、会計の意思があることを伝えられます。
「会計をお願いします」は、「チェックプリーズ」と言うそうですが、旅の後半、タメルに行くまでそのことを知りませんでした。
むしろ、「チェックプリーズ」と伝えてみても、それが会計だというのを知らない店員もいました。
非英語圏ではこのフレーズを使わない方が、会計がスムーズにいくかもしれません。
飲食店では、大体このような流れになります。
所によっては会計が前払いのこともありますが、順番が変わろうとも、
・注文する
・食事する
・会計してもらう
この3つができていれば問題ないわけです。
カフェに入る流れ
インドとネパールでは、いくつかのカフェにも入りました。
カフェの場合、最初にレジまで行って注文と会計を済ませることが多いです。
これは日本のカフェと似ています。
店によっては、会計が後になることもあります。
私はカトマンズで、ヒマラヤンジャバコーヒーというチェーンに何度も入りました。

同じヒマラヤンジャバコーヒーの系列店でも、店舗によって、会計が後の場合と先の場合がありました。
とりあえず、最初にレジで注文をするという流れは、どこも変わらないと思います。
まずレジに行って、メニューやショーケースを見ながら注文しましょう。
注文すると、会計が後の場合、店員が席に着くよう促してくれます。
会計が先の場合は、そのように言われるので、お金を払いましょう。
また、会計の時に「フォーヒアー オア トゥゴー」と聞かれることがあります。
このフレーズは中学で習ったことをよく覚えています。
店で飲食するなら「フォーヒアー」、持ちだすなら「トゥゴー」と答えましょう。
後は席で待っていれば、注文したものが運ばれてきます。

飲食店に入るときのコツ
ここまで、飲食店に入るときの基本的な流れを書いてきました。
他に、飲食店に抵抗なく入れるよう、コツをいくつか挙げてみましょう。
店の前に店員がいるところに入る
インドやネパールの飲食店では、店の前や、店に入ってすぐの所に、従業員が立っている店がそこそこありました。
そういうところは、その従業員に近付けば色々と案内してくれるので、入りやすいです。
店員に挨拶する
店に入るときは、店員に挨拶しておきましょう。
その国の言葉(インドやネパールなら「ナマステー」)が良いですが、「ハロー」とかでも構いません。
とにかく愛想よくしておきましょう。
店に入るときの意識
あくまでこちらは客であり、店はサービスを提供する側です。
(もちろん、店員に横柄な態度を取って良いという意味ではありません)
店は利益を出したいわけなので、こちらに飯を食わせ、お金を払ってもらいたいわけです。
そのための案内はちゃんとやってくれるはずです。
それは日本であろうと海外であろうと、大して変わりません。
実際の所、インドとネパールで入った店で、嫌な思いをしたことは一度もありませんでした。
むしろ、どこも大体店員がフレンドリーで、良い印象を持つことが多かったです。
飲食店に入る程度のことで、何をそんなに気負う必要がある、というぐらいの認識で入るのが良いのでしょう。
日本とインドネパールの飲食店との違い
最後に、インドとネパールで入った飲食店と、日本の飲食店との違いについて書いておきます。
もちろん、インドとネパールでもまた違いはありますし、同じ国の中でも、その店ごとに対応は違います。
あくまで傾向としての話です。
インドとネパールでは、店員が気さくに話しかけてくることが多かったです。
思い返してみると、私が入った飲食店では、結構な割合で、店員が何かしら話しかけてくれた気がします。
話の内容も、「東京にフレンドがいる」という客引きが使うような文句から、
「日本のどこから来た?」
「料理の味はどうだった?」
「どこのゲストハウスに泊まってる?」
というようなものまで、色々なことを聞かれました。
これは、親切でやっているのか、それともただの興味本位なのか、何とも判断が付きませんでした。
ただ、一人で飲食店に来ている身としては、話しかけてもらえるのはありがたく感じました。
話しかけてもらうだけでなく、会計の時にニコニコ笑いかけてもらったり、帰りに握手を求められたこともあります。
日本の飲食店では、店員がこのように接してきた記憶があまりなかったこともあり、インドとネパールは温かみがあって良い国だと思いました。
ただ、旅を終えて日本に帰り、飲食店に入ってみると、また少し認識が変わりました。
帰国後、日本のラーメン屋に入った時、店員全員が元気な声で挨拶してきました。
注文を取りに来るときなども、急いできてくれますし、帰るときも声を合わせて挨拶してくれました。
そういえば、日本の飲食店はこんな感じだったかと思いつつ、インドやネパールとは違った歓迎の仕方だと思いました。
日本の飲食店、特にチェーンでは、サービスが均質化されていますし、システム化もされています。
店員と個人的なやり取りをする必要はほとんどありません。
日本の飲食店の良さというものは、その均質化された中で、最大限、より良いサービスを提供しようとしてくれるところにあるのではないかと思います。
挨拶や、注文を取りに来るスピード、また食べ物を提供するスピードなどは、日本が優れています。
また、システムが均一化されているおかげで、客も店員も余計なことを考えず、飲食や仕事に集中できるというのもメリットです。
対してインドやネパールでは、日本のラーメン屋のように、店員全員が声を合わせて大声で挨拶するような光景は見られません。
代わりに、客と店員の関係が、日本より近い気がします。
店員が客に対して個別に話しかけてきたりと、何かと気を使ってくれます。
このことは先程書いたように、外国の飲食店に一人で入った身として、有難く感じました。
余計な気を遣わなくて良い日本と、店員との距離が近いインドネパール。
どちらのシステムも一長一短があります。
また、日本とインドネパールの飲食店の違いについて、もう一点書いておきます。
インドとネパールの飲食店、特に小さめの所では、店員がスマホをいじっているのが当たり前でした。
私としては、このことに不満を持ったことはありません。
店員が注文を取りに来て、食べ物を出してくれさえすれば、スマホをいじろうが何をしようが、こちらとしては構わないわけです。
むしろ、そのぐらいの調子でいてくれた方が、こちらとしても気楽に過ごせる気がします。
インドのどこかで入った飲食店では、店員が、スマホで電話をしながら注文を取りに来たことがあります。
スマホで話をしながら、私が注文するのをメモに取り、厨房にメモを渡しに行っていました。
その後、私が店を出るまで、店員は電話で話を続けていました。
日本の飲食店だったら問題になりそうなことですが、私としては、対応が円滑に行われていれば問題なかったので、文化の違いは面白いと思いながら見ていました。
ずっと電話をかけていることも、シーンとした中で食べるより、話し声でもBGMが聞こえていた方が食べやすいので、私としては、むしろありがたく感じたぐらいです。
それに、店員がテキトウであれば、こちらもテキトウに対応しやすくなります。
また、彼らはスマホをいじっていても、客のことをよく見ていますし、よく覚えています。
インドのある飲食店では、二回目に入った時、「セイム?」と聞かれました。
セイムとは「同じ」という意味ですから、「前に注文したのと同じで良いか?」と聞かれたわけです。
前に来たとき、店員はずっとスマホをいじっていたのに、客の姿だけでなく、注文したものまでよく覚えているなと思ったものです。
こんなふうに、日本の飲食店とインドネパールの飲食店では、色々な違いがありました。
とはいえ、大筋の所、
注文する→飯を食う→お金を払う
という部分は変わらず、日本の飲食店と同じような感じで入ることができます。