タメル七日目の朝
タメルに来て七日目になった。
タメルでの滞在は、今日を入れて後5日の予定。
昨日のマウンテンフライトが、滞在の折り返し地点という感じだ。
昨日の夜も咳が出て、中々寝付けなかった。
インドのコルカタで熱を出して以来、夜に咳が止まらなくなっていたのだ。
熱を出してから2週間以上経つが、まだ咳がひどい。
幸い、私が外に出る時間帯にはあまり咳が出ないので、人に移す心配はなさそうだった。
一応、外にはマスクをして出ている。
そういえばカトマンズ市街では、外出時にマスクをしている人が多かった。
風邪の予防というより、大気汚染対策なのだと思う。
カトマンズは交通量が多く、排気ガスなどによる大気汚染がひどい。
それに加え、カトマンズ渓谷は盆地のため、大気汚染物質が溜まりやすいそうだ。
さて、今日はダルバール広場に行き、クマリ様を見る予定だった。
クマリ様については以前のページに書いていた。
クマリ様は生き神様であり、ダルバール広場のクマリの館というところに住んでいる。
クマリ様は、毎日決まった時間に窓から顔を出すらしい。
ダルバール広場には今までに2回訪れていたが、まだお姿を拝見できていなかった。
地球の歩き方の読者投稿によれば、11:00~12:00に顔を出すと書いてある。
そのぐらいの時間帯に訪れてみたのだが、クマリ様は現れなかったのだ。
今までは、クマリ様を見れたら良いなぐらいの気持ちでいたのだが、今日こそは絶対に見てみたい。
明日、ビジターパスの期限が切れてしまうので、チャンスは後二回だ。
ダルバール広場に向けて出発
朝食に果物をとる。
ダルバール広場に向けて出発。
朝方のタメルは閉まっている店が多い。
ホテルから南に向けて歩いて行く。
トピを売る店を発見
タメルの南側は、土産物屋などの観光客向けの店が少なくなり、食料品などを売る店が多い。
私はこの辺りの雰囲気が好きだった。
ネパールの伝統的な帽子トピを売る店を発見。
ナラヤンヒティ宮殿を訪れた時のページに書いたが、ネパールでは、年配の方がよくトピ+スーツという出で立ちでいるのを見かける。
その姿が格好良く、私もトピが欲しくなっていた。
ところが、タメルの中にはトピを売っている店が見つからなかった。
トピは観光客向けの売り物というより、地元の人が被るものなので、地元の人向けの店が集まるエリアにしか見かけなかった。
この辺りは本当に景観が良い。
いつまでも歩いていたい。
ダルバール広場前の大通りまで来た。
ここを真っすぐ行けば、ダルバール広場に出る。
ダルバール広場の北側へ
さて、ダルバール広場の入口に着いた。
外国人はチケットカウンターで入場料を払わなければいけないが、私はビジターパスを持っているので、無料で入ることができる。
チケットカウンターでビジターパスを提示し、入場。
ダルバール広場の中をブラブラし、奥の方まで行く。
ここは、ダルバール広場の北側にある、小さい寺院が集まったエリアだ。
右に見えるのはJagannath Temple(ジャガンナートテンプル)、手前にあるのはKal Bhairab Shrine(カールヴァイラブシュライン)だ。
ジャガンナートテンプルは、ダルバール広場の中でも最古の寺院で、エロティックな木彫りの彫像が特徴的である。
カールヴァイラブシュラインは、カールヴァイラブという神様を祀った寺院。
この左の石壁のところに、前に見たカールヴァイラブ像がある。
これはChyasin Dega(チャヤシンデガ)。
八角形の建物が特徴的だ。
チャヤシンデガは、クリシュナ神を祀る寺院だそうだ。
1649年、Pratap Malla王が亡き王妃を偲んで建てたらしい。
見知ったガイドと遭遇
広場の中でもひときわ目立つ、シヴァ寺院のところに来た。
ブラブラ歩いていると、見知ったガイドと遭遇した。
彼とは今までに二回会っている。
最初はチケットカウンターのそばで声をかけられ、ガイドの誘いを受けたのだが、断っていた。
二回目に会ったときは、世間話をしていたのだった。
彼は気の良い男で、話好きだった。
また少し世間話をする。
彼は奥さんと仲が良いらしく、ノロケ話みたいなものを腹いっぱい聞かされた。
丁度良いので、クマリ様に会える時間を聞いてみると、今日は10:30ごろらしい。
まだだいぶ早い。
どこかで時間を潰そう。
ガイドと話をしていると、外国人観光客が通りかかった。
彼は獲物を狙うハンターの目つきになり、外国人観光客の方へ向かっていった。
ヒマラヤンジャバコーヒーでチーズケーキを食べる
ダルバール広場の入口広場まで戻ってきた。
ここに隣接して、Himalayan Java Coffee(ヒマラヤンジャバコーヒー)という店がある。
ヒマラヤンジャバコーヒーは、ネパールにいくつもの支店を持つ、有名なコーヒー店だ。
ダルバール広場にある店舗は、広場の様子を見ながらコーヒーが飲めるらしい。
店に入り、カプチーノとチーズケーキを注文する。
ここは後払いらしい。
窓際の席に座ると、確かに広場の様子がよく分かる。
手前には土産物の露店が並ぶ広場があり、右に旧王宮の博物館、奥にはシヴァ寺院のあるエリアが見える。
ちなみに、奥の左側にあるレンガ色の建物は、クマリの館だ。
奥の真中にある寺院は、Trilokya Mohan Narayan(トリロキャモハンナラヤン)という、ビシュヌ神を祀る寺院である。
左側には、カフェやホテルのあるエリアが見える。
ガイドから聞いた話では、今はタメルに旅行者が集まっているが、昔はこの辺りが旅行者の集まる場所だったようだ。
チーズケーキとカプチーノが来た。
チーズケーキはフレッシュな感じで、濃厚で美味い。
カプチーノもグッド。
何のキャラクターだろう。
カフェで時間を潰し、お金を払って外に出た。
クマリの館へ
良い時間だ。
先程のガイド曰く、今日、クマリ様が顔を出すのは10:30。
今はその30分前ぐらい。
もう少しだけ時間があるので、寺院の段差に腰掛け、パンフレットを読んで時間を潰す。
正面奥の少し左に見えているのが、クマリの館だ。
段差の向かいにある土産物屋。
どの建物も本当に素晴らしい。
さて、15分前になったのでクマリの館へ。
クマリの館でクマリ様に会う
クマリの館に到着。
あまり人がいない。
ネパリが数人来ていたが、自撮りをした後いなくなってしまった。
クマリ様目当てではなかったらしい。
10分前だが、館には私しかいなくなった。
数分前になると、何組かの観光客が来た。
そこに、始めて会うガイドの人もおり、私に「元気か」と声をかけてくれた。
私が一人で段差に腰掛け、ボーっとしていたので、気を遣ってくれたのかもしれない。
クマリ様が顔を出すのを待っているということを伝えるため、腕時計を指して「テン サーティー」と伝えた。
観光客の中には、私と同じ一人旅の日本人もおり、日本語のガイドから説明を聞いていた。
声をかけようかと思ったが、ガイドの邪魔になるので止めておいた。
待っていると、「観光客立ち入り禁止」と書かれた扉の中から人が出てきた。
ここで暮らしている人なのかもしれない。
あの上にある窓から、クマリ様が顔を出すことになっている。
写真の左下に赤い看板があるが、「クマリ様の写真を撮ることは固く禁ずる」と書いてある。
窓の奥から、おばちゃんっぽい大きな声が聞こえている。
10:30を五分ほど過ぎたころ、下にいた人が、窓に向かって声をかけた。
窓からおっちゃんが顔を出す。
おっちゃんがクマリ様か?
おっちゃんが引っ込むと、窓からクマリ様が顔を出した。
中庭にいた皆で、「ナマステー」と挨拶。
クマリ様の様子は...
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気になる方は、ぜひ現地に見に行ってもらいたい。
クマリ様が顔を出していたのは、数十秒ぐらいだっただろうか。
クマリ様がいなくなると、観光客は散り散りになっていった。
ガイドと話をする
クマリの館には募金箱があった。
ヒマラヤンジャバコーヒーのお釣りを少しばかり喜捨し、外に出ようとする。
入口の所で、先程館内で私に声をかけてくれたガイドに話しかけられた。
これからどうしようかと思っていたので、少し話し相手になってもらうことに。
各地のクマリ様(クマリ様がいるのはこのダルバール広場だけではない)の写真を見せてもらったり、彼自身の話を聞いたりした。
彼が、クマリの館を案内すると言ってきたが、「ノーマネー」と言うので、少しだけ説明してもらうことに。
クマリ様のことや、ブッダとマンダラのこと、飾り窓の彫刻について説明を聞いた。
その後、ガイドを受けないかという話になったのだが、「前にガイドを受けたことがある」「この後の予定が決まっている」ことを拙い英語で伝え、その場を後にした。
ガイドが「ギブミーワーク」と言ってきて、心が動かされそうになったのだが、申し訳ないと言いつつ断った。
コルカタで会った客引きのように、「インド人が嫌い?」とか言われるのは全く心に響かない。
このガイドのように、プライドを捨てて自分をさらけ出してくる相手が、一番やりにくい。