朝のシャワーと洗濯
サダルに来て七日目の朝。
昨日の夜は咳がひどく、あまり眠れなかった。
何日か前に風邪を引いており、熱は下がったのだが、咳がなかなか治まらない。
息をするたびに、喉が刺激されて咳が出る。
とりあえず部屋を換気するか。
窓を開けると、外のほこりが入ってきて、また咳が出る。
だが、窓を開けていないと不衛生な気がするので、仕方ない。
シャワーを浴びて洗濯も済ませる。
シャワールームの蛇口からは、熱湯しか出ないと思っていた。
給湯器のスイッチを入れてから、蛇口をひねるタイミングによって、ちょうど良い温度の湯を出せることが分かった。
そういう仕様ではないような気がするのだが、こうして道具のクセが分かってくると、生活が楽になる。
それに、熱湯が出るのは悪いことばかりではない。
熱湯は蒸しタオルを作ることができる。
蒸しタオルで顔を拭くのは良いものだ。
この洗濯袋はかなり活躍してくれている。
これが無かったら洗濯が大変だった。
ビニール紐と洗濯ばさみを使って干している。
ビニール紐も、色々なところで役に立っている。
さて、昨日はガヤ行きの切符を手に入れたのだった。
電車に乗るのは3日後の早朝で、ホステルを出るのは2日後の予定だ。
とりあえず、今日は休養日ということにしよう。
午前中はガヤの情報を集めたり、ゴロゴロしながら過ごした。
サトシさんおすすめのレストランへ
15時ごろになった。
腹が減った。
久しぶりに肉系のカレーが食べたい。
ボジでチキンかマトンのカレーを食べるとするか。
サダルストリートのボジへ向かうも、結構混んでいた。
他の所を見に行ってみるか。
とはいっても、こことブルースカイカフェしか行ったことがなく、他にアテがあるわけではない。
歩いていると、サトシさんに声をかけられた。
また色々と話をしつつ、ガヤ行きのチケットを手に入れたことを伝え、外国人窓口を教えてもらった礼を言う。
両替や土産は?、と聞かれたので、お金はATMで手に入れているし、土産は荷物になるので買わないつもりだ、と答える。
そう言いつつ、少し後悔。
世話になっているので、何らかの形でお金を使っていきたいところだ。
次に会った時にでも、土産を見せてもらうことにしよう。
話の流れで、おすすめのレストランがないか聞いてみると、近くの安くて美味いレストランを教えてもらった。
レストランの名前などは書かないので、気になる方は、現地でサトシさんに会った時に聞いてもらいたいと思う。
レストランでチキンマサラを頼む
レストランに入ると、そこそこの人の入り。
団体で来ている人が多い。
入口にいた人に「ワンパーソン」と告げ、席に案内してもらう。
チキンマサラとライスを注文。
ペットボトルの水をもらった。
水は無料のようだ。
ボジでもそうだったが、インドのレストランは、ペットボトルの水をサービスしてもらえるところが、そこそこある。
インドの人の団体が、入り口近くの手洗い場で手を洗い始める。
彼等を見ていると、運ばれてきた料理を手で食べていた。
今回の旅行では、ぜひインドのカレーを手で食べてみたいと思っていた。
とりあえず、まだ勇気が出ないので、ここではスプーンで食べようと思うのだが、いずれ挑戦してみたい。
しばらくすると、チキンマサラが運ばれてきた。
美味そうだ。
やっぱりライスは結構な量。
ライムも付いてきたのだが、何に使うのだろう。
カレーにかけるのだろうか。
カレーを食べてみると、やはり、辛くてしょっぱい。
ボジと同じような味付けだ。
インド(コルカタ)ではこういう味付けが基本なのだろう。
慣れるしかないのだ。
しょっぱいけれど、美味いことは美味い。
ご飯がすすむ。
ところで、チキンの味にクセを感じる。
このクセは、このレストラン特有のものだろうか。
それとも、この辺りで使われている肉類に共通したクセなのだろうか。
※ここで感じたチキンのクセに関しては、私が風邪をひいて、味覚が変わっていたことが原因のようだった。
日本に帰ってから食べた肉類からも、同じクセを感じた。
インドの食事の様式美
チキンマサラを食べていると、レストランが混み始めてきた。
私のいた4人掛けのテーブルに、二人のインド人が案内されてくる。
彼らは私と向かい合う形で座った。
彼らをこっそり観察していると、彼らの食事の流れが非常に美しく感じられた
彼らはまず、運ばれてきたライスを手で均し始めた。
そして別皿の付け合わせを、ライスの端に見た目よく並べている。
スプーンで取ったカレーを、ライスの手前にかけ、指でライスとカレーを混ぜて口に運び始めた。
あるいは、さらにカレーをかけたり、付け合わせを混ぜて味変しつつ、カレーとライスを口に運び続ける。
ライムを取ったので、どうやって使うのかと見ていると、カレーを混ぜたところに絞り、味にアクセントを足している。
こうして書いてみると、大したことではないと思われそうだ。
だが、一連の流れが淀みなく行われるので、ライスの上に芸術作品でも作っているような、誇張ではなくそのように思えたのだ。
彼らにとっては、これが日常生活の一部だが、普段見慣れない私にとっては、そこに様式美を感じたのだ。
別のテーブルで食事を終えた人たちが、店内備え付けの水道で手を洗っていた。
七日目の終わり
チキンマサラを食べ終わり、入り口のカウンターへ行く。
お金を払おうとすると、係りの人(おそらくオーナー)がにっこり笑いかけてくれた。
こういう何気ないことが、とても嬉しい。
レストランでお金を払ってゲストハウスに戻る。
後はもう寝るだけだ。
明日がサダルでの最後の一日になる。
明日はどうやって過ごしたものか。
出発を間近に控えているので、少しでも風邪が良くなるよう、寝て過ごすことになりそうだ。
それにしても、やっぱり日本食の味付けが懐かしく、恋しい。
コルカタの日本食レストランを検索してみたが、数件しかないし、ここより遠い所にあるようだ。
これについては、少し考えて良い案が浮かんだので、明日に試してみよう。
夜中、やはり咳がひどく、中々寝付けない。
毎日、夜中の2:00ごろにようやく寝付き、朝の7:00に起床するのを繰り返している。
でも考えてみれば、日本にいる時も同じような生活をしていた。
最近は、風邪を治すためにゴロゴロしてばかりなので、このぐらいの睡眠時間でも大丈夫なのかもしれない。