一ヶ月かけてインドとネパールを旅してきた時の記録です。
このページでは、サダルストリートでの二日目、サダルの端にあるIndian Museum(インド博物館)に向かう途中、詐欺師たちに会った時のことや、
博物館内で考えた、道端で話しかけられた時の対応策について書いています。
※なお、このページでいう「詐欺師」という言葉は、巧妙にこちらからお金を引き出そうと、道端などで話しかけてくる人を指すときに使っています。
インド博物館に行くまでに出会った詐欺師たち
朝にニューマーケット周辺を歩き、BlueSkyCafeで朝食をとった。
これからインド博物館に向かう。
インド博物館は、ゲストハウスから見て、サダルストリートのちょうど反対側にある。
行くまでにサダルを通り抜けることになるので、たくさんの客引きに声をかけられるだろう。
ワクワク。
さて、インド博物館に向かってサダルを歩き出す。
相変わらず野良犬が多い。
朝にニューマーケット周辺で見た野良犬たちはウロウロ歩き回っていたが、昼近くになり、今は皆寝転がっている。
歩いていると、これも相変わらず、タクシーやリキシャーの人に声をかけられる。
「ハロー」「ハワーユー」「ジャパン」「トウキョウ・オオサカ・ナゴヤ」
全て無視する。
インド博物館に近付くとこんなことも。
「ニホンジンデスカ?」
無視すると、「オレノコトワスレタノカヨ!」
ちょっと振り向きかけたが、無視。
なお、びっくりマーク付きで書いたが、怒鳴られたような感じではなく、ちょっとユーモアの混じったような口調の大声だった。
頭の中で、昨日のしつこい詐欺師から言われた、「警戒ばかりしていると、旅が楽しくなくなるよ」という言葉が思い出されてきた。
この言葉は、言っていた本人が詐欺師であるから、「お前が言うな」と言いたくなる。
とはいえ、この言葉がちょっとだけ心に引っかかるようになっていた。
ここまで路上で話かけてくる人は完全無視し、目が合わないよう、目を伏せながら黙々と歩いてきた。
おかげでトラブルには会っていない。
だが、こうやってすべてを無視して歩くことに、一抹の寂しさを感じてもいた。
間違いなく彼らは私の懐を狙っているし、反応すると付け込まれる可能性があるので、無視するのは正解のはずである。
それでも、実は彼らは気の良い人たちなのじゃないかと思い始めていたのだ。
そう感じるのは何となくなのだが、彼らが呼びかけてくる声の端々に、ユーモアや人の良さを感じることがあった。
あまり人と話していないから、こういう風に感じているだけなのかもしれない。
警戒感が薄れ始めているのかもしれないな。
なお、こういう似非日本語を話す人たちは、大体のところ、日本人の足を止めさせるための日本語しかしゃべれない。
こうやって日本人にささる?日本語を使って足を止めさせると、後は英語で話しかけてくる。
サトシさんのように日本語を(それも関西弁で)操れる人は稀なのだ。
インド博物館に入場
さて、インド博物館に着いた。
入口の左に受付があり、そこで入場料を払う。
私はデジカメを持っていたので、その分も料金を払った。
入口を進むとチケットを確認する人がいる。
その先に金属探知機のゲートがあり、入念にボディーチェックが行われている。
結構物々しい。
手荷物をX線検査装置に通すと、金属探知機のゲートを通り、両手を上げてボディーチェックを受ける。
カバンの中は全て調べられ、中に入れていた折り畳み式のエコバッグも広げることに。
私のセキュリティーポーチが金属探知機に引っかかっていたようで、出してみると、そういえばゲストハウスの鍵を付けてきていたのだった。
鍵にちょっと大きめの金属板が付いているので、それが検知されたのだろう。
ちょっと時間がかかったが、セキュリティーチェックを通過した。
インド博物館の二階へ
博物館は二階建てになっている。
そこそこ広く、どこから回ろうかと思いながら、とりあえず二階へ。
ちなみに、インドはイギリスに植民地支配されていた名残から、階数の呼び名が、
・日本でいうところの「一階」→「グランドフロア」
・日本でいう「二階」→「ファーストフロア」
・「三階」→「セカンドフロア」
となっている。
しばらく後に、ネパールのレストランに行った時も、同じ階数の呼び方をしていた。
とりあえず、寺院と同じく右回り(時計回り)で回って見ることにしよう。
そういえば、タイのお寺に初めて入った時、右回りで回るよう言われたのだが、右回りがどちらか分からず、逆の向きで回ってしまったことがあった。
その時は、周りに参考にできる人がいなかったのだ。
二階から中庭を見下ろす。
聴衆と、何かの説明か演説をしている人がいる。
ヒンズー語なので、無論、何を言っているかはさっぱり分からない。
絵画の部屋で若者に声をかけられる
二階を回り、最初に見つけた部屋に入ってみる。
ここでは絵画を展示しているようだ。
これは中々どうして、見ていて面白い。
ここは歴史画が多く、たぶんギーターなどの場面が描かれている。
一つ一つじっくり見ながら回っていく。
絵の精細さに見とれていると、3人の若者から声をかけられた。
英語で「where are you from.」と聞かれ、「Japan.」と返す。
その後も何か聞かれたが、彼らに警戒心を持ったのと、絵に集中したかったので、「ソーリーソーリー」と言って絵に向き戻った。
彼らは特に何も言わず、つきまとってくることもなかった。
たぶん、普通の暇な若者たちだったのだろう。
道端で声をかけてきた人への対応の基準
こういう時が判断に困る。
入場料を払って入るような場所で、詐欺師がいることは少ないと思うのだが、詐欺師が話しかけてくる可能性も無いとは言い切れない。
かといって、好奇心で話しかけてきた若者を無視するのも、ちょっと気が引ける。
こういう時は、自分の中に軸(判断基準)を立てておくのが良いだろう。
まず私は、インドの人たちと仲良くなりに来たのではない。
インド(の表面に表れている物)を見に来ただけだ。
それゆえ、道端で声をかけてくる人は基本的に全無視。
彼らと親しくなってまで、彼らの生活を垣間見たいとは思わない。
そういうことをしようとしても、結局表層の所しか分からない。
インド博物館には展示物を見に来たわけで、彼らとの触れ合いは望んでいない。
特に今回は、近づいてきたのが3人の男だったので、かなり警戒した。
インド博物館内は警備の人がいるので、館内で何かをしてくることはないと思う。
だが、つきまとわれて一緒に外に出ることになり、もし彼らに囲まれでもしたら、太刀打ちできないだろう。
近づいてくるのが、力で負けないような女子供だったら、そして周囲の目もあるような開けた場所だったら、話に付き合っても良いかもしれない。
ただどんな場合でも、食べ物と飲み物を渡されたときは注意が必要だ。
そんな風にして、自分の中で、現地の人に対応するときのルールを再確認した。