五日目の朝
早朝、鳥の声で目を覚ます。
北海道も北の方まで来たが、思っていたより寒くない。
今までに通ってきた場所では、朝でもトラックが多く行き交っていたが、ここは明らかに交通量が少ない。
日曜日だからかもしれない。
今日はいよいよ、日本最北端の地、宗谷岬を踏む予定だ。
宗谷岬の前にいくつか寄りたい場所もあった。
早速、北へ向けて車を走らせる。
幌延町のトナカイ観光牧場へ
稚内方面へは国道40号を行くのだが、少し道をそれ、幌延町へ向かった。
幌延町の、トナカイを見られる牧場に寄ってみたかったのだ。
幌延町まで行く途中、道端に牧草のロールがゴロゴロと転がっていた。
これから出荷されるのだろう。
そういえば道の駅 おびらに寄ったとき、大型トラックの荷台に牧草が積まれていたっけか。
どこかの看板に、日本最北の米の産地は、オロロンラインの途中にあった遠別町だと書いてあった。
これより以北は、牧草などが農業のメインになるのだろうか。
道の駅 おびらで見た牧草も、北から南に出荷される途中だったのではないだろうか。
そんなことを考えながら運転していると、途中で道を間違えてしまった。
まだ時間があるので、小さい駐車スペースを見つけて時間をつぶす。
トナカイ観光牧場に到着した。
花の良い時期だ。
トナカイ観光牧場へ入場
ここのトナカイ観光牧場は、幌延町が運営している町営の牧場だ。
元々、町とは関係なくトナカイを飼育していた人がいたのだが、幌延町が観光用に数十頭を買い取り、牧場を始めたのだそう。
詳しくは観光牧場のホームページで。
今日も暑い。
北海道の北の方に来れば涼しいかと思っていたのだが、全然そんなことはなかった。
管理棟を抜けると、正面にトナカイたちがいる。
どうやら、夏に向けて毛を刈られたばかりだったらしい。
暑いからか、ほとんどのトナカイが日陰で寝そべっていた。
この気温、人間だって暑いのだ。
北極圏周辺が本来の生息地であるトナカイにとって、この暑さは堪えるだろう。
私のほかに、もう一組の観光客がいた。
管理棟で餌が買えるらしく、観光客が餌を持ってくると、一頭のトナカイがこちらを目指してやってきた。
角も毛がフサフサだ。
日陰で涼んでいたほかのトナカイたちも、のっそりと起き上がり、こちらを目指してくる。
しまいに、トナカイ同士が餌の取り合いで喧嘩をはじめてしまった。
餌のおこぼれを拾いにスズメもやってきている。
ヤギも飼われている。
トナカイ牧場の花畑
牧場の敷地内に、花畑もある。
ここでは幻のブルーポピーを栽培しているそうだ。
北海道で何度も見かけたルピナス。
これがブルーポピー?
いまいち判別できない。
6月中旬ごろから咲いているそうなので、今は開花時期だと思うのだが。
きれいなロックガーデンだ。
牧場を一回りし、次の目的地に向かった。
幌延ビジターセンターへ
トナカイ観光牧場を出て、次は幌延ビジターセンターへと向かう。
どこまでも見通せるような開けた道を突き進み、センターの駐車場に到着した。
近くに大きな展望塔もある。
後で登ってみよう。
道路の赤い矢印は、積雪時でも道路の端が分かるようにするためのものだ。
豪雪地帯と言われる新潟で生活し、それなりに雪道運転の経験を積んでいる私であっても、冬の北海道では運転したくない。
たまに、テレビで北海道の雪景色を見ることがあるが、運転の大変さは容易に想像がつく。
いや、想像はするのだが、実際のところは想像のはるか上を行く大変さなのだと思う。
ビジターセンターは工事中のようだった。
入れるかどうか心配したが、入り口は開いていた。
幌延ビジターセンターの中へ
ここの幌延ビジターセンターでは、周囲の長沼やパンケ沼の情報を手に入れることができる。
花や動物の展示が詳しい。
泥炭が展示されている。
枯死した植物が堆積し、炭のようになったものだ。
2階の展望室へ。
ここから、センター周辺の下サロベツ原野を見渡すことができる。
現在、センターからは長沼までしか行けないようだ。
パンケ沼までの道は通行止めになっている。
センターを出て長沼の方に向かう。
センターわきから長沼方面へ
センターわきの道から、奥の長沼へと向かえるようになっている。
雰囲気の良い木道。
様々な野鳥が鳴いている。
カッコウとウグイスの声は判別できた。
と、ウグイスを発見。
ハンノキの球果(だと思われる)。
ハンノキは、湿原で生育できるただ一つの植物だそう。
木道に据えられた看板に書いてあった。
看板を追っていくと、湿原に詳しくなれる。
ゼンマイは指標植物。
ゼンマイの生育から湿原の様子が分かるそうだ。
木道の先端へ
長沼の傍を通る。
とても豊潤な湿原だ。
歩いているだけで楽しい。
木道の先端に着いた。
少し開けたスペースがあり、先客が鳥の写真を撮っていた。
ここから利尻富士が見えるそうなのだが、靄がかかっており、見えるような見えないような、、、
来た道を振り向く。
遠くに展望台が見える。
湿原バードウォッチング
鳥のさえずりが周囲から聞こえてくるので、しばし、鳥の姿を探してみることに。
まず一羽。
300mmレンズとコンバーターで、精一杯ズームする。
おそらくカワラヒワ。
家に帰ってから鳥の名前を調べているのだが、googleレンズが大活躍だった。
もう一羽発見。
どうやらコヨシキリのようだ。
しばらく野鳥を探した後、来た道を戻る。
ノビタキを発見。
展望台からの眺め
駐車場に戻ってきた。
次は展望台に登ろう。
結構きつい。
やっと天辺に着いた。
さっき歩いてきた木道と長沼が見える。
広大な景色。
こんな景色、本州でも見られるものだろうか。
牛が放牧されている。
牧歌的という言葉が良く似合う。
展望台を下りて車に戻った。