【博物館 網走監獄を見物】車で北海道一周の旅・その45
車で北海道をほぼ一周したときの記録です。
このページでは、博物館 網走監獄を訪れた時のことについて書いています。
博物館 網走監獄へ
メルヘンの丘を出て北へ。
途中、左手に網走湖を見ながら進む。
網走市街の手前で道を右に折れ、博物館 網走監獄に着いた。
平日だが、駐車場にはたくさん車が停まっていた。
ここに来るまでの道で、道外ナンバーを全く見なかったのが嘘のように、ここは道外ナンバーだらけだ。
入り口の鏡橋を渡る。
網走監獄は、漫画ゴールデンカムイの作中で重要な舞台として登場する。
放射状に広がる舎房などが有名であり、今回の北海道一周で、ぜひ訪れてみたいと思っていた。
今は博物館になっており、もちろん囚人はいない。
網走刑務所自体は現存しており、ここの博物館から少し北に行ったところにあるようだ。
博物館では、旧網走刑務所の歴史的建造物を見学することができる。
重要文化財として国から指定されている建物も多い。
受付を済ませて内部へ。
網走監獄の中へ
監獄といえば、重い雰囲気の場所を想像していた。
案に相違し、手入れされた花壇が美しく、明るい、開放的な雰囲気だ。
右にいるのは人形だ。
受付でもらったパンフレットに地図が付いているのだが、見どころが非常に多い。
全部をゆっくり回ると半日がかりになりそうだ。
地図とにらめっこしながら、一つ一つ建物を回る。
庁舎から裁判所
まずは国指定重要文化財の庁舎から。
ここでは建物の構造や歴史についての展示がある。
展示が多く、ゆっくり見ていると、ここだけでもかなり時間がかかる。
小川が流れ、監獄とは思えない雰囲気だ。
北海道で何度も見たルピナスの花。
次は職員官舎へ。
博物館内では、至る所に人形が展示され、建物が使われていた当時の雰囲気を感じることができる。
ニポポ人形。
網走刑務所の受刑者が作成しているそうだ。
後で一つ購入した。
釧路地方裁判所、網走支部の復元展示。
建物内では、単独法廷・合議室・合議法廷などを見ることができる。
この裁判所の建物だけでも、展示が多く、見て回るのに時間がかかる。
備品は、建物が使用されていた当時の物が使われているそうだ。
休泊所から監獄歴史館
裁判所を出て休泊所へ。
ここは囚人たちの休泊所だ。
刑務所内にあった休泊所ではなく、刑務所外で作業をする際に囚人たちが組んだ、簡易的な休泊所だそうだ。
寝床も自分たちで確保しなければいけなかった。
耕転庫や漬物庫。
囚人たちがしていた農作業の様子を知ることができる。
旧網走刑務所の囚人たちにより、かなりの面積の土地が開墾されたそう。
この次に監獄歴史館というところを見学した。
建物内の全部だったか一部だったかが撮影禁止になっていたので、写真を撮っていない。
館内では、監獄や囚人にまつわる歴史について学ぶことができる。
中央道路の開削
歴史館の中で印象に残ったのは、中央道路開削の話だ。
明治時代の1891年、網走から旭川までの約160kmを、囚人たちが開削して道を造ったそうだ。
自動車が日本で普及し始めたのは戦後。
1891年に重機などあるはずもなく、全て人力でやらなければならなかっただろう。
約8ヶ月に渡る開削工事で、囚人たちに多数の犠牲者が出たという。
原野を開削するのだから、害虫や熊に出くわすこともあっただろうし、食料や寝床の確保などもままならなかったに違いない。
時代背景的に、北海道の開拓を急がねばならなかったことに加え、今よりも囚人の権利が薄かった時代だからこその出来事だろう。
いくぶん昔のことであり、展示の文章を読んでも想像がしにくいが、当時使われていた足かせなどが展示されており、凄惨さの一端が垣間見えた。
ちなみに、中央道路は今でいう国道333号か国道39号のどちらかの前身かと思っていたが、北見市のページによればそうではないようだ。
現在の国道や道道に完全に一致しているわけではなく、各道路を少しずつなぞるような形の道だったらしい。
二見ケ岡刑務支所
次は博物館の端にある、二見ケ岡刑務支所へ。
二見ケ岡刑務支所は、旧網走刑務所の支所であるが、網走刑務所農作業の先導的施設として作られたそうだ。
旧網走刑務所よりも開放的な施設であり、今で言う模範囚がここに移され、社会復帰に取り組んだそう。
何だか小学校を思い出す。
刑務所の支所なので、食堂や炊場など、生活に必要な設備が一通りそろっている。
2階へ。
ここは何の部屋だろう。
刑務支所なので、当然ながら居房もある。
そして教誨堂も。
旧網走監獄の舎房
二見ケ岡刑務支所を出て、真っすぐ道なりに進む。
すると大きく特徴的な建物が見えてくる。
ここが有名な、旧網走監獄の舎房だ。
中央の見張り所から、放射状に5本の舎房が伸びている。
この特徴的な構造により、中央の見張り所から、全ての監房を見渡すことができるようになっているのだ。
5本の腕をすべて見学することができる。
光の入り方が良く、とても良い写真が撮れる。
扉の開いている房があり、中を見られるようになっている。
房の中もそれぞれ違うようだ。
静謐な場所だ。
監獄だと知らなければ、芸術作品だと思ってしまいそうな建物だ。
網走監獄の出口へ
舎房を見終え、また道なりに進む。
最初に入った庁舎の背中が見える。
ここは浴場だ。
独居房。
教誨堂。
出口まで来た。
とても充実した展示だった。
物産館で、店員としばらく世間話をした。
宗谷岬以来のちゃんとした会話だった気がする。
土産物をたくさん買い、網走監獄を後にした。