魚の口のフッキング位置について

2023年9月21日




一つの疑問


 

今までに釣った青物たちの画像を見返していたとき、ふとあることに気が付きました。

 

下の画像は、最近釣った青物の画像です。

鮮明でないものなどは除外しています。

 

画像の青物は全てルアーを早めにただ巻きさせて掛けたものです。

見ていると疑問が浮かんでこないでしょうか。

 

 

 







魚の口とフッキングの位置


 

上の画像では、フックの刺さっている箇所が魚の口の下側か、閂の部分(魚の口の横側、下の画像2枚目の場所)にかかっているものばかりでした。

 

魚の口の上側にフックが掛かっている画像は見当たりませんでした。

 

これはとても不思議なことです。

何故なら、私はフックをセッティングする際、シングルフック一本を上向きにセットしているからです。

この状態のルアーを魚が追い食いしてきたら、魚の上顎にフックが刺さりそうなものです。

ところが、そうはなっておらず、逆側の下顎に刺さっていることが大半です。

 

これは何故なのでしょうか。

考えてみましょう。

 




事実


 

まずは事実として、以下の点が挙げられます。

1.魚の下顎にフックが掛かっていることが多い

2.魚の閂にもフックが掛かっていることがある

3.上の画像の魚はただ巻きで掛けたものばかり

4.アタリがあったときもそのまま巻き続け、巻きアワセをしている

5.どれも表層近くを巻いているときに掛かったもの

 

3と4に関してですが、私は基本的にメタルジグをただ巻きしかしません。

上の画像はどれもただ巻きで掛けました。

 

また、5に関してですが、上の画像の魚たちに共通しているもう一つの点として、どれも表層を巻いているときに当たったという点が挙げられます。

カヤックフィッシングのときも砂浜での釣りでも、ナブラが起こっていたので、ルアーを着水させてすぐに巻いていました。

 




下顎にフックが刺さる理由


 

さて、何故下顎にフックが掛かることが多いのか考えてみたいと思います。

ここからの話は魚の個体差なども無視していますし、統計的に優位なほどサンプル数があるわけでもありません。

あくまで一つの推測としてご覧いただければと思います。

 

結論からいきましょう。

下顎にフックが掛かる理由を色々と考えてみると、思い当たる理由は一つです。

魚が体を上下逆にしてルアーをくわえているからです。

 

魚が体を上下逆にしてルアーをくわえることで、上側にきた下顎に、上向きのルアーフックが刺さるのでしょう。

 

さらに考えてみると、魚がルアー(エサ)をくわえる直前には、すでに魚体の上下がひっくり返っていることも分かります。

なぜかといえば、ルアーをくわえてから体を上下逆にした場合では、ルアーとフックも一緒に上下逆になってしまい、そのまま上顎にフックが掛かるはずだからです。

 

また、魚の閂にフックが掛かることもあることから、魚がルアーをくわえたときに、エサを追っていた向きとは違う方向に体を翻し、反転していることも分かります。

閂にフックが掛かる場合というのは、うまく下顎にフックが掛からないまま魚が体を反転させ、フックが閂まで移動してきて掛かるという具合なのでしょう。

 

以上のことから、青物がルアーを捕食する流れを見てみましょう。

1.青物が泳いでいるルアーを発見する

2.青物がルアーを追いかける

3.ルアーの位置を見定めつつ、体を上下逆にしながら飛び掛かる

4.体を上下逆にしたままルアーをくわえ、違う方向に体を反転させる

 

魚がルアーをくわえたところでしっかりとルアーを巻き続けると、下顎にフックが刺さります。

そこでうまく刺さらなければ、魚が体を翻す時にもう一度フッキングのチャンスがあり、ここでヒットすると閂に掛かります。

体を翻したときに針がすっぽ抜けてしまうと、あえなくフックアウト、ということになるのでしょう。

 

ところで、上の推測が正しいとしたら、何故魚は体の上下を逆転させてルアーに食いつくのでしょうか。

これも考えてみたところ、体を翻しやすくして、早く水面から逃れるためなのではないかという気がしています。

 

上の画像では、どれもルアーは表層を泳がせていました。

魚にとって水面は危険な場所です。

息ができませんし鳥に襲われやすくなります。

 

そこで、水面を泳いでいるルアーに飛び掛かるとき、飛び掛かってからすぐに水面から離れられるよう、体を翻しながら飛び掛かるのではないでしょうか。

魚種にも依りますが、下の画像のように、魚の体は背中側の方が重い構造になっています。

重い背中を下に向けることで、より早く潜ることができるのではないでしょうか。

 

さて、推測ばかりになってしまいました。

本当の理由は魚に聞いてみないと分かりませんが、こうして色々と気付いたり考えたりすることは楽しい物です。

 




ルアーを動かす時に気を付けること


 

青物は捕食が下手だというのをどこかで聞いたことがあります。

それは、この独特な捕食の仕方をしているからなのかもしれません。

 

もし、この体を逆転させて食いつくという捕食の仕方が正しいとしたら、ルアーを動かす時に気を付けなければいけないことは何でしょうか。

それも考えてみましょう。

 

一つ目は、ルアーを動かすリズムを崩さないことだと思います。

 

体を反転させてルアーに食らいつくのであれば、魚はある程度ルアーの動きを予測しながら体を反転させ始めるはずです。

反転している間はルアーに狙いを定めることが難しくなるからです。

その間にルアーが不規則な動きをすると、魚の予測が外れてしまい、上手く掛からないことがあるかもしれません。

 

「ルアーを動かすリズムを崩さない」というのは、何もただ巻きだけが良いというわけではありません。

ルアーにアクションを付ける場合は、一定のリズムでルアーがバランスを崩さないようにアクションを付けるようにします。

そうすることで魚がルアーの動きを予測しやすくなります。

実際、良く釣る人のアクションを見ていると、非常にきれいなリズムでアクションを付けています。

 

また、気を付けることの2つ目は、ガツガツとバイトがあった時もしっかりと巻き続けることだと思います。

魚がルアーをくわえてから、何度かフッキングのチャンスがあります。

くわえたときに掛からなくても、くわえたまま体を翻した時に掛かるかもしれません。

しっかりとルアーを巻き続け、できるだけくわえたときに違和感を与えないようにしたほうが良いでしょう。

もしフッキングしなくても、そのまま巻いていると再度アタックしてくることがあります(同じ魚かは分かりませんが)。



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Posted by 無郷庵