ドライスーツの必要性
カヤックに乗るときの服装は、生死につながるので非常に重要です。
まず、カヤックに乗る上でドライスーツは必須です。
ドライスーツというのは撥水性の生地で作られたスーツです。
首や手首・足首部分などがゴムになっており、スーツの内部に水を通さないようになっています。
なぜドライスーツが必要かといえば、それは偏に、落水したときに生き残れる可能性が高くなるからです。
普通の服を着て水に入ると服が体にまとわりつき、とても動きにくくなります。
ドライスーツを着ていれば、スーツも中に着ている物も濡れないので、水中でも(普通の服に比べて)運動しやすいです。
カヤックが転覆したときなどにリカバリーしやすくなります。
また、濡れないということは体温を奪われにくいということでもあります。
登山などをしている方は経験があるかもしれませんが、汗で服が濡れると、稜線などで風に吹かれる度、急激に体温を奪われます。
ドライスーツならば濡れにくいので、落水してカヤックに上がったときに体温の低下を防ぐことができます。
汗をかいてスーツの中が濡れたとしても、スーツが風をシャットアウトしてくれるので、寒くならずにすみます。
真夏でさえ、服が濡れて風が吹くと寒く感じることがあるぐらいです。
釣りの盛期となる春や秋にはなおさら防寒対策が必要です。
フルドライスーツについて
下の画像の赤いスーツはフルドライスーツというもので、モンベルで購入しました。
フルドライスーツは上下一体型で、ほぼ完全に、内部に水を通さないようになっています。
私が持っているフルドライスーツは、ゴム部分が外側の合成ゴムと内側の天然ゴムの二重構造になっていて、防水性能はかなり高いです。
足部分はゴムではなく、完全に覆われる形になっています。
脱ぎ着するときは少々大変で、背中のジッパーを開けてそこから体を入れます。
ジッパー部分から足を入れ、次に手、頭と通していきます。
私が最初にフルドライスーツを着た時のことです。
ジッパーから足を入れ、かなりきつかったのですが袖のゴムに手を通しました。
この時点で止めておけば良かったのですが、首のゴムも通しました。
首のゴムもかなりきつかったので無理やり通したのですが、ゴムで首が締まり、苦しくなってきました。
首のゴムを外そうにも、手の部分のゴムがきつくて思うように手を動かせません。
何とかして無理やり首のゴムを外したのですが、鼻にゴムが当たり、鼻血が出てしまいました。
この時は誇張でなく死ぬ思いをしました。
購入したばかりだと、ゴム部分はかなりきつく感じると思います。
私が持っているスーツは、ゴムの部分を自分でカットして調節できるようになっています。
スーツを着る前に頭や手だけゴムの部分を通してみて、ゴムを切って調節しておきましょう。
ゴムの部分を切るときは、切りすぎないように注意して下さい。
どうしてもある程度は苦しくなってしまうものなので、使うには我慢が必要です。
フルドライスーツの着方は説明書などに書いてあると思います。
着た後にジッパーを空けたまま(中の空気が逃げられる状態で)水に浸かり、内部の空気抜きを行います。
これをしないと、落水した時に体の上下がひっくり返ることがあってとても危険です。
空気を抜いた後でジッパーの締め忘れに注意が必要です。
セミドライスーツについて
フルドライスーツの他にセミドライスーツというものもあります。
私が持っているものは、上下別々に着用する形になっています。
これもモンベルで購入しました。
胴の部分はマジックテープで留めるため、フルドライに比べて防水性能が弱くなります。
首や手首などのゴム部分も、合成ゴムだけの一重構造なのでフルドライに比べると防水性能は劣ります。
セミドライはフルドライに比べて防水性能が劣る分、脱ぎ着しやすく取り回しが良いです。
年間を通した服装を考えると、春や秋に乗るならセミドライ、冬はフルドライが良いと思います。
インナーと体温調節
ドライスーツの下に着るインナーですが、汗をかくことを考え、乾きやすい化繊のものが良いと思います。 少しゆったりして動きやすいものが適しています。 体温調節は上着の脱ぎ着で行います。 インナー+ドライスーツで涼しく感じるぐらいに調整しておき、寒くなったら上着を羽織るようにすると良いでしょう。 上着は防水のもので、ライフジャケットの上から羽織れるように大き目の物を用意します。 カヤック専用のアノラックなども売っていますし、レインコートのようなものでも良いでしょう。 私はワークマンのイージスをカヤック内部に収納しておき、寒くなってきたら取り出して使っています。 夏だけは、ドライスーツだとあまりにも暑苦しいので、水着の上にウェットスーツを着ています。 中身を濡らさないのがドライスーツの役割でしたが、ウェットスーツは事前に濡らして使うものです。 スーツを事前に濡らしておくことで、スーツと体の間に入り込んだ水が体温で温まって防御壁のようになり、風や冷たい水などから体温が奪われるのを防いでくれます。 水温の高い夏であれば、事前に濡らしておかなくても大丈夫だろうと思います。