ナブラについて
釣りをしていると、不意に海面からバシャバシャと水しぶきが立ったり、海面に海鳥が集まってくることがあります。
このような状態を「ナブラ」や「ボイル」、「沸き」などと呼びます。
フィッシュイーターが小魚を追い回しているために海面が沸き立ち、その魚たちを狙って鳥が集まってきています。
下の動画は、カヤックフィッシングで遭遇したイナダのナブラです。
青物を陸から釣る上で、ナブラは非常に大切です。
陸から青物を釣る時は、いつ回ってくるのか分からない青物を狙い、ひたすらルアーを投げ続けなければいけません。
これが結構大変で、釣れない時間が続くと、ルアーが悪いのではないか、巻き方が悪いのではないかなどと、色々と雑念が沸き起こってきます。
雑念を振り払いながらルアーを投げ続けていると、さながら修行をしている気分になってきます。
このような停滞ムードを一変させてくれるのがナブラです。
ナブラの下には確実に、活性の高い青物がいるからです。
ルアーを投げればほぼ間違いなく魚が掛かります。
ナブラが起きると、魚や海鳥だけではなく釣り人達も沸き立ちます。
確実に魚が釣れるチャンス、これをものにしない手はありません。
ナブラを釣るときの注意点と釣り方
ただ、自分自身も含めて皆が興奮するからこそ、ナブラを釣る時にはいくつかの注意点があります。
ナブラを釣るときには、釣ろうと思って欲をかかない事が大事です。
まず、周りに釣り人がいるときは、周りの人の挙動に充分注意しましょう。
ナブラが起きれば、釣り場の全員がナブラに向かってルアーを投げるでしょう。
そうなればどのような事が起きるかは、火を見るより明らかです。
青物釣りをしていたとき、偶然私の前でナブラが起きたことがありました。
私の両隣の人たちが、同時にナブラへルアーを投げ、やはりお互いに仕掛けを絡ませてしまいました。
こうなってしまっては目も当てられません。
せっかくのナブラを尻目に仕掛けを解いていなければいけなくなります。
ナブラが起きたときは、まず冷静に周りの挙動を見て、タイミングをずらしながら投げるようにしましょう。
また、ルアーはナブラに直接投げるのではなく、ナブラの周辺に投げるようにしましょう。
そうしないと、せっかく集まってきた魚たちを散らしてしまいます。
ナブラの周辺には魚が集まってきているので、ナブラからある程度離れた場所に投げても、充分に魚は釣れます。
ナブラを釣る時は、ナブラの周辺にルアーを投げ、ルアーが着水したらアクションは付けずにできるだけ早くルアーを巻きます。
そうすると、ガツンという手ごたえとともに魚がヒットしてきます。
魚が掛かったら、慌てず急いで釣り上げて、次を狙いましょう。
私はナブラが起きているときでも、釣った魚をストリンガーにつなぎ、締めてから次の魚を釣りにかかります。
それは偏に、釣った魚をできるだけ苦しませたくないからです。
釣り上げた魚を陸に上げたままにしておくと、呼吸ができず苦しいでしょうし、味も落ちます。
堤防に魚がのたうち回っているのを見ると不憫に思い、最近は人の多い釣り場には行かなくなりました。
たくさん釣っても食べきれないので、釣るのは食べる分だけにして、余裕を持って釣ることにしています。
ナブラが起きても釣れないときは
ナブラは青物釣りの大チャンスなのですが、ナブラにルアーを投げても魚が釣れないことがあります。
以前、湾内でサゴシのナブラが起こり、辺り一面にサゴシが飛び跳ねていることがありました。
ところが、ルアーを投げてもうんともすんとも言いません。
すぐそこでサゴシがバシャンバシャンと跳ねているのに、いくらルアーを投げても手ごたえがありませんでした。
ところが、私の隣で釣りをしていた人にはサゴシが釣れていました。
何故だろうと思って見ていると、何とルアーではなく、ナス型重りに魚がヒットしているようなのです。
その人は意図的にやっているのではなく、偶然だったようでしたが、そのあとも何回かサゴシが掛かっていました。
そこで閃いたのが、私が釣れなかったのは、使っていたルアーが大きすぎるからではないかということでした。
そのときは小さいジグを持っていなかったので、偶然持っていたジグサビキの仕掛けを投げたところ、やはり一発でサゴシが掛かりました。
ジグサビキというのは、先端にジグを付けて飛ばせるようになっているサビキ仕掛けです。
ちなみに、下の画像がアジ釣りに使うようなサビキ仕掛けで、釣具屋に行くとたくさん並べられています。
ジグサビキは、アジのサビキ仕掛けより針の本数が少ないのですが、大物用ということで針が大きく、糸が太くなっています。
ジグより小さい疑似餌が数本付いており、疑似餌の数が増えることでアピールが増します。
ジグサビキの疑似餌は、私が使っていたルアーよりかなり小さく、サゴシが食べていた小魚の大きさに近かったのでしょう。
ジグサビキに変えてからサゴシが入れ食いになりました。
ただ、サゴシ釣りにジグサビキを使うのは、実はあまり良くありません。
ジグサビキの疑似餌にサゴシが掛かると、サゴシの口と糸との距離が近いため、糸が切られやすいからです。
ナブラにルアーを投げても魚がヒットしない場合、使っているルアーが大きすぎて魚が見向きしていない可能性があります。
人間が、ラーメンを食べたい時は他のものを食べたくなくなるのと同じで、魚も今追っている餌と同じシルエットのものしか目に入らなくなるのでしょう。
そのようなときのために、小さめのジグをいくつか用意しておくと良いでしょう。
私の経験上、陸から青物を釣る場合、ルアーのシルエットは小さければ小さいほど良いです。
ナブラが起きているのに釣れない時、ルアーの大きさ以外にもう一つ原因が考えられます。
それは、サバがナブラを起こしている場合です。
次の項で詳しく書きますが、サバのナブラは中々釣れません。
サバのナブラがあるときは、表面にいるサバを狙うのではなく、ルアーを沈めて深いタナにいるサバを狙うのが良いです。
これも何故か分かりませんが、深い所にいるサバは針掛かりしやすいようです。
魚ごとのナブラの違い
最後に、青物ごとのナブラの違いを書いておきます。
サゴシのナブラは、サゴシが派手に水しぶきを立てたり、ジャンプしたりするのですぐに分かります。
ジャンプは散発的で、バシャン...バシャン...バシャンというように、一定の間隔で水音が立ちます。
下の画像は、カヤックフィッシングをしているときに捉えたサゴシのジャンプです(が、遠くだったので鮮明に見えません)。
私がよく行く釣り場では、シーズンになると朝方の7時くらいからナブラが立ち始め、昼頃までナブラが続きます。
9時頃がナブラのピークなのですが、時間帯は日によって変化しますし、ナブラが起きない日もあります。
サゴシのナブラは規模が大きくなりやすいのも特徴です。
小魚を追い回し、かなり広いエリア中をサゴシが跳ねまわることがあります。
あっちでサゴシが飛んだと思ったら、遠くで別のサゴシが飛び跳ねたりしています。
もしかすると、サゴシは個人プレー派で、集団で連携を取って魚を追うのが苦手なのかもしれません。
サゴシが跳ねたら、すぐにその近くにルアーを投げましょう。
ルアーを巻くと、ガツンとアタリが来ます。
サゴシのナブラを釣る時は、できるだけルアーを早く巻いて追い食いさせ、ルアー後ろのリアフックに掛けるようにしましょう。
サゴシがアシストフックに掛かってしまうと、高確率で根付け糸を切られてしまいます。
次にイナダのナブラですが、イナダのナブラはサゴシのものより規模が小さいことが多く、ジャンプも見られません。
海面が黒くなったり、バシャバシャと水しぶきが立ったりします。
ザーッという音がして、急に海中からイナダの群れが出てくることもあります。
イナダはサゴシと違い、常にある程度の群れでまとまって行動しているようです。
イナダのナブラを見ていると、コイが水面に集まって口をパクパクさせている様子を思い浮かべてしまいます。
イナダの顔も、口の周りが何となくコイに似ている気がします。
最後にサバのナブラです。
ナブラの立ち方はイナダと似ており、海面が黒っぽくなったり、小さい飛沫がたくさん立ちます。
ですが、イナダのナブラより規模が小さいことが多いですし、ナブラが早いスピードで移動していくこともよくあります。
ナブラの周りに海鳥がいると、海鳥も高速で遠ざかって行ってしまいます。
前述の通り、ルアーを近くに投げるとナブラが沈んでしまうことも多く、ナブラの近くにルアーを通しても釣れないことが多いため、とても釣りにくいナブラです。