遠別町の「金浦原生花園」で野鳥と花に出会う
今日の「必ず行きたい」という目的は、初山別の真ふぐ丼と金比羅神宮の鳥居でほとんど達成した。
後は体力と時間の許す限り、オロロンラインをさらに北へと走り、適当な場所で車中泊のポイントを探すだけだ。
初山別村の道の駅を出発し、オロロンラインを再び北上する。
まだ日没までは時間に余裕があるため、隣の遠別町(えんべつちょう)に入る手前にある「金浦(かなうら)原生花園」へ寄り道してみることにした。

幹線道路から少し外れた場所にあり、入り口が少し分かりにくいため、訪れる際はカーナビや地図アプリでよく確認しながら行くよう注意が必要だ。

車を停め、湿地に整備された木道をのんびりと歩いていく。

足元に咲く鮮やかな黄色い花は、案内看板によれば「エゾカンゾウ」という種類だそうだ。
初夏の北海道を代表する美しい花である。



ふと視線を上げると、遠くの枯れ枝の先に小さな野鳥の姿を見つけた。

このように、遮るもののない枝のてっぺんに止まってくれていると、バードウォッチング初心者でも容易に発見することができる。
後で特徴を調べてみたところ、この鳥は「ノビタキ」のようだ。
北海道の広大な自然を旅していると、様々な野鳥との出会いがある。気になった鳥をその場ですぐに調べられるように、ポケットサイズの野鳥図鑑を一冊持っておくと旅の楽しみがぐっと広がる。

さらに木道を奥へ歩いていくと、エゾカンゾウが群生している見事な密生地に出た。



白い花を咲かせる「イソツツジ」も発見した。

北海道には、このような美しく手つかずの「原生花園」が各所に点在している。特に、厳しい環境の海岸沿いのルートに多いようだ。
長距離ドライブの合間に看板を見つけたら、車を停めて少し歩いてみるのも、素晴らしいリフレッシュになって面白い。
「道の駅 えんべつ富士見」から天塩町へ
原生花園での散策を終え、すぐ北にある「道の駅 えんべつ富士見」に立ち寄った。

真新しい館内で土産物をひと通りサーチした後、敷地内に展望用の高台があるのを見つけたので登ってみる。


高台からは、遠別町ののどかな市街地と、どこまでも平らな地形が一望できた。

さて、今日の行程をどうするか。ここで車中泊にして行動を終わらせるか。
しばし逡巡したが、まだ日暮れまで少し時間があるため、もう少しだけ北に距離を稼いでおくことに決めた。
遠別を出て、オロロンラインをさらに北へ。
やがて天塩町(てしおちょう)の市街地に入り、中心部にある「道の駅 てしお」に到着した。

運転の疲れを癒やすため、館内の売店で「カフェオレソフト」を購入した。

冷たいバニラソフトクリームの上から、温かいカフェオレをかけてくれる。いわゆる「アフォガート」のスタイルだ。
冷たさと温かさ、甘みと苦味が混ざり合うアフォガートは最高に美味い。スターバックスなどのカフェに行った時にはよく注文するし、自宅でもおやつとして手作りしているほど好きなデザートだ。
作り方は簡単で、適当なバニラアイスを器に盛り、その上から濃い目に淹れたドリップのホットコーヒーを、アイスが半分かぶるくらいまで注ぐだけで絶品のスイーツが出来上がる。
ノスタルジー漂う「天塩川歴史資料館」
冷たいソフトクリームで一息ついたが、日が完全に沈むまでにはまだ時間がある。
道の駅から歩いてすぐの場所にある、「天塩川歴史資料館」を見学してみることにした。

もともと町役場として使われていたという、レンガ造りの重厚で美しい建物だ。
受付を済ませ、誰もいない館内をゆっくりと自分のペースで見学する。

展示の解説パネルを読むと、ここ天塩町は、かつて日本海を行き来する「北前船(きたまえぶね)」の重要な寄港地裁であり、小平町などと同様にニシン漁でも大いに栄えた港町だったという。
だが、午前中に訪れた旧花田家番屋の歴史でも学んだように、次第に海からニシンが姿を消し、人々は産業の大規模なシフトを余儀なくされていったそうだ。
館内には、役場だったこの建物が郷土資料館として生まれ変わった経緯なども丁寧に記されていた。
苫前町の資料館もそうだったが、北海道の地方にある郷土資料館は本当に人が少なく、それでいて展示物の質が高く、入場料も非常に安い。
地元の歴史を深く知ることができる、最高の観光穴場スポットだと確信した。


展示品を眺めていると、思えば故郷の新潟からずいぶんと遠く北の果てまで来たものだという実感が湧いてくる。
同時に、古びた生活道具の数々が、私の心に強い郷愁を呼び起こした。
フロアの奥には、役場時代に使われていた巨大な金庫が、扉を開いた状態で展示され、内部の構造が見えるようになっていた。







続いて、建物の二階へと続く階段を上がる。



二階には、昭和天皇の「人間宣言」の詔書のコピーや、教育勅語の文章など、日本の歴史の転換点を示す重みのある公的資料が展示されていた。
さらに奥へ進むと、巨大な骨格標本が目に飛び込んできた。
「テシオコククジラ」の化石だ。

驚くべきことに、このクジラの化石は現在の天塩町の陸地(地層)から発掘されたものだという。
太古の昔、この辺り一帯は深い海の底だったという事実を、この化石が静かに物語っている。

こちらは「山神講(やまがみこう)」という、山の安全を祈る伝統的な行事の様子を再現した展示エリア。



別のパネルには、天塩町がアメリカ・アラスカ州のホーマー市と姉妹都市提携を結んでいることが紹介されていた。
同じ厳しい北の海に面した町同士、通じ合うものがあるのだろう。


一通りの展示をじっくりと見終え、充実感とともに歴史資料館を後にした。
車を停めてある道の駅へと、歩いて戻る。


