【野付半島のナラワラ見物とネイチャーセンターを訪問】車で北海道一周の旅・その57
車で北海道をほぼ一周したときの記録です。
このページでは、野付半島のナラワラと、ネイチャーセンターを訪れた時のことについて書いています。
野付半島へ
羅臼の郷土資料館を出て、海岸沿いの国道244号を南へ。
次の目的地は、北海道で一番気になっていた場所だ。
標津町を通り過ぎ、国道を左折して道道950に入る。
野付半島に到着した。
ここ野付半島は、形が非常に特徴的だ。
渦を巻いたような形をしている。
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドで、全体マップの右上あたりに、渦巻き状の半島があった。
現実の世界に、フィクションのような形の場所があるというのが興味深く、気になっていたのだ。
今回の北海道一周の中で絶対に訪れようと思っていた。
どのような場所か楽しみにしていたので、興味津々で車を走らせる。
ここの道路は、南北の両側を海に挟まれている、珍しい道だ。
こちらは北の方、外海側だ。
こちらは南の湾側。
渦を巻いている方だ。
水面が緑色になっているのは、水深が浅く、底から生えている海藻が見えているからだろう。
半島の先の方向。
建物も見える。
先へ進もう。
野付半島のナラワラ
野付半島に入ってからしばらく車を走らせ、ナラワラが見える駐車場に到着した。
野付半島は開けており、とても風が強い。
ナラワラというのは、立ち枯れしたミズナラの木のことだ。
駐車場からナラワラまでは結構遠い。
300mmレンズを持ってきていて良かった。
ここ野付半島は、地殻変動や砂礫の堆積作用により、数千年の間でも大きく形を変えている。
一度生えたミズナラの木が、地盤沈下などで海水や塩分にさらされてしまい、立ち枯れしてしまったのがこのナラワラである。
そういえば、美瑛の青い池でも池の中の木が立ち枯れていた。
青い池は人造池であり、元々木が生えていたところに美瑛川の水を引き込んだので、木が立ち枯れしてしまっていた。
立ち枯れした木のすぐそばには海水面がある。
土壌が塩分を含み、木が生育できる環境ではなくなっているのだろう。
野付半島のネイチャーセンターへ
ナラワラを見終え、野付半島をさらに進む。
ネイチャーセンターに到着。
一階は土産屋があり、二階にはインフォメーションセンターがある。
最近観察された生き物など、野付半島のリアルタイムの情報が手に入る。
おすすめの探鳥地も掲示されている。
野付半島はバードウォッチングにも良さそうだ。
センターから、これから訪れるトドワラの方向を見ることができる。
国後島も見えていた。
野付半島の歴史と北海道の古代文化
センターのパネルによれば、ここ野付半島では、古くから人々の生活が営まれていたらしい。
そのことを示すように、半島の各地には遺跡があり、会津藩士の墓まである。
古くは擦文時代の竪穴式住居まで発見されているようだ。
擦文文化については、先ほど訪れた羅臼町の郷土資料館で勉強していた。
古代から北海道では、本州と違った文化を発展させてきた。
擦文文化は、本州が飛鳥時代から鎌倉時代のころ、北海道で主流だった文化だ。
飛鳥時代から鎌倉時代といえば、西暦約600年~1300年。
年代は幅広いが、そのぐらいの昔から、野付半島には人が住んでいたということだ。
野付半島に来てみると、開けているので風が強く、とても住みにくい場所だと思う。
家も建てにくそうだ。
それでも人が住んでいたということは、相応の利益があったからではないか。
野付半島の湾内には、広くアマモという海藻が繁茂しており、シマエビがたくさん生息している。
エビを求めて大きな魚も入り込んでくるだろうし、もちろんエビ自体も漁獲の対象になる。
満足な道具や船が作れない時代でも、浅瀬なので漁がしやすかっただろう。
だからこそ、古代から人が入り込んでいたのではないか。
以上は推測だが、知識を組み合わせて推測をするのは楽しいものだ。
郷土資料館やネイチャーセンターを巡る楽しみは、こういうところにあると思う。