【インドとネパールで出会った詐欺師たちと彼らから学んだ営業のコツ】インドとネパールでの一ヶ月:番外編1

*インドとネパールでの一ヶ月:2025年1月,2コルカタのサダルストリートでの八日間,全ページ,旅の番外編,海外の旅

このページは旅行記の番外編として、インドとネパールの旅を通して会った詐欺師たちのことと、彼らから学んだ営業のコツについて、帰国してから思ったことを書いています。

 

なお、このページでは前のページに引き続き、「詐欺師」という言葉を多用しています。

詐欺師という言葉は、巧妙にこちらからお金を引き出そうと、道端などで話しかけてくる人を指すときに使っています。

 

つまらない詐欺師

前回のページで、しつこい詐欺師をまいたときのことについて書いていた。

 

このページでは備考として、そのときの体験について、インドとネパールの旅を終えてから思ったことを書いている。

 

サダルストリートでの初日、通りを歩いているときに、日本語を話す詐欺師に会ったのだった。

彼はとてもしつこく絡んできて面倒くさかったが、ここまで面倒な詐欺師は、旅を通して後にも先にも彼ぐらいだったと思う。

 

いや、彼は面倒くさいというより、つまらない詐欺師だった。

 

彼は初めから終わりまで自分の意図を隠して接触してきており、あくまでも親切心から話しかけてきたのだという態度を崩さなかった。

親切心からと言いつつ、こちらの行動を阻害してくるわけなので、その矛盾がまず不快だった。

 

また、話の根本であるところの、近づいてきた意図を隠して話しかけてくるため、隠さない方がよい部分まで隠すことになってしまう。

だから会話をしても彼自身のことが何も見えてこないし、向こうからこちらへの質問ばかりになり、会話が不毛になってしまうのだ。

 

せめて自分の欲をむき出しにして来てくれれば、こちらの心も動き、何かしら交渉の余地はあったかもしれないのにと思う。

 

面白かった詐欺師たち

後のページに書いていくが、これから先もたくさんの詐欺師に会うことになる。

 

だが、これから会う手練れた詐欺師たちは、儲けたいという意図がはっきりしていたし、話をしていて不快にならなかった。

 

手練れの詐欺師たちは、9の本音の中に1の嘘を混ぜてくる。

 

だから話をする中で、彼らの人となりが見えてきて、親しみやすく感じてしまうのだ。

そうして話をしているうちに、彼らの術中にはまっていき、この人にならお金を使っても良いかなと言う気分にさせられてしまう。

 

これから道端で会う詐欺師たちに、ガイド料や土産物代としてお金を払うことが何度かある。

 

だが、これらは無理に払わされたわけではなく、

・話をしていて楽しかった

・こちらが何かを勉強させてもらった

・有益な情報を教えてくれた

というようなことがあって、彼らからガイドや土産のサービスを受けた上で、こちらが納得する形で払っている。

 

もちろん払ったことに後悔はなく、彼らの要求額にチップを乗せたこともあった。

 

手練れの詐欺師にかかるとこういうことになる。

こちらを知らず知らずのうちにこういう気分にさせてしまうのが、手練れの詐欺師なのだ。

 

ただ、私も彼らに小金を使わされたとはいえ、クリティカルな詐欺、つまり旅行が継続不可能になるような被害には合わなかった。

 

気を付けていたのは、

・基本的に、路上で声をかけてくる人は無視する

・多対一にならないようにする

・一緒に乗り物に乗るとか、こちらの移動が制限される状況を避ける

・飲み物や食べ物は断る(一緒に飲食店に入るのも避ける)

 

後は、夜は出歩かないことを心がけていたのも良かったかもしれない。

 

詐欺師たちから学んだ営業のコツ

旅で出会った詐欺師たちのことを考えていると、今までしていた営業の仕事を思い出す。

 

実際、詐欺師や客引きたちがやっているのは、営業の仕事に近いとも思う。

 

一応のところ、

・詐欺師は意図を偽って関わってくる

・営業は商品を売るという意図を明確にして関わってくる

という線引きはあるものの、こちらからすれば、道端で声をかけてくる人の目的はお金だと分かっているわけだから、詐欺師も営業と変わらない気がしてくる。

 

話が本筋から外れたが、今回、色々な詐欺師たちと関わる中で、営業の仕事にとって大事なことを再認識した。

 

営業をしていると感じることだが、お客様は商品の内容よりも、営業に来た人を見て、商品を買うかどうかを判断していることがある。

 

商品が良いから契約に至るのではなく、話している人のパーソナリティーを見て、あなたは信用できそうだから、面白い人だから、熱心だからこれを買います、と契約に至る場合が結構あるのだ。

 

もちろん、この話は扱う商品によっても変わってくる。

需要の高い商品であれば、営業が下手な人が扱っても売れることはある。

だが、相手からの関心が薄い商品を売るためには、どうしても営業の手腕が必要不可欠になる。

 

その営業の第一歩として、営業をするときはまず自分から、何らかの形で内面をさらけ出していくのが重要だということが、今回のインドとネパールの旅を通して分かった。

自分が心を開かなければ、相手の心に訴求していくことはできない。

 

前のページに書いた、情に訴えかけるとはそういうことを指す。

表面上の恰好や言動を繕うだけでは、人の心を動かすことはできない。

 

今回の件で言えば、路上で声をかけてくる人間なんて、99%がお金目当てだとこちらは分かっているのだから、まずそこを隠そうとしてはお話にならない。

その点、今回出会った詐欺師は若くて未熟だった。

 

だが、こうして彼のことを批評している私自身、営業で情に訴えかけることができるのかと問われると困る。

仕事をしていた時のことを思い出せば、狙ってできることは稀であり、気が付いたら相手から気に入られていたということばかりだった。

 

また、情に訴えるということについて、私自身、営業の仕事をする上で分かっていたつもりだったが、表面上の理解しかできていなかった気がする。

実際にインドで色々な人から営業をされる立場になってみて、初めて情に訴えることの大切さが、身に染みて理解できたのだった。

 

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