【羅臼町郷土資料館を見学】車で北海道一周の旅・その56

2024年9月9日*車で北海道一周の旅*,国内の旅,3北見~知床~根室,全ページ

車で北海道をほぼ一周したときの記録です。

このページでは、羅臼町郷土資料館を訪れた時のことについて書いています。

 

峯浜パーキングへ

 

羅臼国後展望台を出て、海岸沿いを南へ。

次の目的地は、羅臼町郷土資料館だ。

 

しばらく行くと、羅臼町郷土資料館の手前の海岸沿いに、駐車場があった。

後で調べると、峯浜パーキングという名前のようだ。

 

カメラマークの駐車場は、展望の良いフォトスポットになっている。

写真を撮りに車を停める。

 

 

 

北海道立総合研究機構のページによれば、この辺りの海はまだ、オホーツク海の区分になるそうだ。

根室の納沙布岬より南から、太平洋沿岸になるらしい。

 

 

 







羅臼町郷土資料館へ

この辺りは峯浜町というそうだ。

 

住所を見てみると、「北海道 目梨郡 羅臼町 峯浜町」となっている。

町の後に町が続く地名は、珍しい気がする。

 

駐車場から街中を通り、羅臼町郷土資料館に到着した。

 

小学校の建物を、郷土資料館として再利用しているらしい。

何だか懐かしい感じがする。

 

入って左手にある受付に寄り、館内へ。

 

 

ヒカリゴケの展示があった。

羅臼のマッカウス洞窟が立ち入り禁止だったので、ヒカリゴケを見られなかった。

ここでよく見て行こう。

 




一階の展示

一階では、縄文期からオホーツク文化期ごろまでの、出土品などが展示されている。

 

オホーツク文化とは、本州が飛鳥時代から鎌倉時代のころに北海道で栄えていた文化だそうだ。

本州が室町時代から江戸時代に変わるころ、北海道ではアイヌ文化が栄え始めた。

 

羅臼町付近で出土した土器が展示されている。

 

 

日本最古の銀製品や、大きな黒曜石なども展示されている。

 

獣類などの骨の化石。

 

次の部屋は、国指定重要文化財の展示だ。

 

貴重なものがたくさん並んでいる。

 

骨で作られた鍬や釣り針。

 




イヨマンテについて

 

オホーツク文化期の、竪穴住居の模型だそうだ。

オホーツク文化の時代には、すでにクマ送りの儀式が行われていた形跡があるらしい。

 

アイヌのクマ送りは「イヨマンテ」と呼ばれ、漫画ゴールデンカムイでも紹介されていた。

 

アイヌにとって熊はカムイ(神)の一種であり、イヨマンテは、神である熊を神の国に送り返す儀式だ。

小熊に土産を持たせて神の国へ送り返し、アイヌの土地は良い所だと、神の国で触れ回ってもらうという目的がある。

 




カムイと神

 

ところで、ゴールデンカムイやアイヌ関係の書籍を読んでいると、カムイ(神)という言葉がたくさん出てくる。

動物の名前にもカムイが付いているし、アイヌの昔話などを読んでいると、火のカムイとか山のカムイなども出てくる。

アイヌにとって、カムイというのは身近な存在だったのだろう。

 

そう考えると、アイヌの「カムイ」という言葉は、「神」という字があてられることが多いが、これは正確ではないような気がしてくる。

少なくとも私からすると、「神」は身近な存在ではないし、動物を見て「神」を思い浮かべたことは無い。

 

私が「神」という言葉をイメージするとき、何となく、雲の上に立っているおじいさんを思い浮かべる。

頭には光輪があり、杖を手に持っている。そして一人だ。

もしくはドラゴンボールの界王様を思い浮かべるかもしれない。

 

アイヌ語を日本語に訳すとき、概念的に「カムイ」と「神」が似ていたので、神という言葉を当てたのだろう。

アイヌの「カムイ」を「神」という言葉で捉えすぎると、本質を見失なってしまうかもしれない。

 

アイヌの人が「カムイ」という言葉からイメージを描くとき、どんな画が浮かぶのだろうか。

 

 

 




二階の展示へ

 

一階を一通り見終え、階段を上がって二階へ。

 

二階には、産業や動植物など、一部屋ごとにテーマに沿ったコレクションが展示がされている。

二階も展示の量が多く、かなり見ごたえがあった。

 

 

まずは産業の部屋へ。

 

ここの部屋には、主に羅臼町周辺での漁業について展示されている。

 

 

羅臼も、昔から漁業が主要な産業だったようだ。

 

 

他の地方と同じくニシン漁で栄えていたが、やはりニシンが獲れなくなってしまったそうだ。

 

 

明治から大正、昭和にかけて徐々にニシンが獲れなくなり、ニシン漁が衰退していく中、羅臼ではイカ漁が注目され始めた。

昭和のころがイカ漁の最盛期で、海を埋め尽くすほどのイカがいたそうだ。

 

 

だが、次第にイカも獲れ高が少なくなっていったらしい。

 

昔に使われていた道具が展示されている。

 

石炭で温めるアイロン。

温度調節がとても難しそうだ。

 

 




動植物の展示

 

他の部屋では、北海道で見られる動物や植物の展示がある。

 

野鳥のはく製も。

北海道で何度も見たキビタキの姿もあった。

 

どの部屋も非常に展示が充実している。

 

海生哺乳類の部屋。

 

こちらは、さすがにはく製ではなく模型だが、造りが細かく、解説も詳細だ。

 

植物の部屋。

 

昆虫の標本がびっしりと。

これまたすごいコレクションだ。

 




文化の展示

 

ここはアイヌ関係の道具の展示だ。

 

チェプケリという鮭皮の履物。

 

アイヌのチセ(家)。

 

知床いぶき樽の部屋へ。

 

冬の間、閉ざされてしまう羅臼地方では、食物の保存に樽が使われていた。

その樽を、盆踊りなどに拍子をとる楽器として流用していたそうだ。

 

現在でも演奏が行われているのだろうか。

 

最後に北方領土の展示室へ。

 

貴重な文章の数々。

 

福井友三郎さんという、大戦前に国後島に勤めていた方の、考古資料コレクション。

 

二階を見終え、郷土資料館を後にする。

 

帰りにアンケートを書き、しおりをもらってきた。

 




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